セロトニン 5-HT(1A)受容体刺激薬の作用
5-HT(1A)受容体は中枢神経系に分布しており、この受容体に作用する物質は、不安抑制、抑うつ効果、食欲促進、低体温、睡眠促進をもたらすと考えられています。
また、ねずみではオスの性行動を促進する効果も報告されています。
5-HT(1A)受容体は、中枢神経系の特に縫線核、海馬に分布しており、セロトニン症候群の病態に関与していると考えられています。
※セロトニン症候群
脳内セロトニン濃度が過剰になることによって起きる副作用。
腹痛、下痢、顔面紅潮、発汗、催眠、精神変容などの症状が発生し、心原性ショックや致死性の場合もある。
セロトニン作動薬の併用やそれらの大量投与、急速な中断がリスクとなる。
「医薬品例」
- セディール(タンドスピロン)
日本で唯一のセロトニン 5-HT(1A)受容体作用を持った抗不安薬です。抗不安作用は強くありません。
依存性や眠気がほとんどないため、使いやすい薬です。
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セロトニン 5-HT(1A)受容体刺激薬の副作用
セディールは依存性や眠気がほとんどなく使いやすいですが、少ないながらも眠気の副作用が報告されています。
また、上記のようなセロトニン症候群が発生した場合は、すぐに投与を中止しなければなりません。
ベンゾジアゼピン系薬から切り替える場合
ベンゾジアゼピン系薬とセディールは交差依存性がありません。
これは、セディールは、ベンゾジアゼピンレセプターとは相互作用せず、セロトニン 5-HT(1A)受容体に選択的に作用するためです。
このため、ベンゾジアゼピン薬からセディールにすぐに切り替えると、ベンゾジアゼピン系薬の退薬症候が引き起こされる場合があります。
切り替える時は、前薬を除々に減量するなど注意が必要です。
※交差依存性
アルコールとベンゾジアゼピン系薬のように、両方を摂取していると、より依存が形成されやすくなる性質。