ドパミンD2受容体刺激薬
中枢神経系に存在するドパミン神経系と関与する機能
- 中脳辺縁系→幻覚・妄想など陽性症状
- 中脳皮質系→陽性症状・陰性症状
- 黒質-線条体系→パーキンソニズム・錐体外路症状
- 下垂体漏斗系→プロラクチンなどのホルモンバランスの調整
- 化学受容器引き金帯(chemoreceptor trigger zone「CTZ」)(脳幹領域に存在) →催吐作用
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ドパミンD2受容体刺激薬の作用
ドパミンD2受容体作用薬はパーキンソン病に使用されます。
パーキンソン病とは、中年期以降に発症する比較的罹患率の高い疾患です。
無動、振戦、筋固縮、姿勢障害の4つを主症状とする、錐体外路症状が特徴的です。
発生原因は、黒質―線条体系のドパミンニューロンの変性・脱落に基づく、線条体のドパミン量の減少と、それに伴うアセチルコリンの相対的増加とされています。
パーキンソン病の治療薬は、はじめドパミンの前駆体であるレボドパが使用されてきました。ドパミンを直接投与したほうが効果が高いのですが、ドパミンは血液脳関門を通過できないため、前駆体を使う必要があったのです。
しかし、レボドパは長期間使用することにより効果が低下し、不随意運動、on-off現象(服薬時間に関係なく、急激な症状の軽快と増悪が繰り返される)などの副作用が発生しやすくなるため、コントロールが難しい薬です。
そこで、最近は治療の開始をドパミン受容体刺激薬で始めることが多くなっています。
ドパミンD2受容体刺激薬は、主に線条体のD2受容体を刺激することにより、錐体外路症状を改善します。
脳全体にあるすべてのタイプのドパミン受容体に対して作用するレボドパに対して、ドパミンD2受容体刺激薬はD2受容体に対して選択性をしめすため、副作用が少ないという利点があります。また、効果の持続時間が長いという利点もあります。
また、パーロデル(ブロモクリプチンメシル酸塩)やカバサール(カベルゴリン)は、下垂体前葉のドパミンD2受容体に作用してプロラクチン分泌抑制、成長ホルモン分泌抑制を起こすため、高プロラクチン血症、乳汁濾出症、末端肥大症に対しても適用があります。
ドパミンD2受容体刺激薬の作用まとめ
(中枢神経系)
- 線条体→錐体外路症状の改善
- 辺縁系→幻覚・妄想の発現
- 下垂体前葉→プロラクチン分泌抑制、成長ホルモン分泌抑制
- 化学受容器引き金帯(chemoreceptor trigger zone「CTZ」)→催吐作用
「医薬品例」
麦角系
- ペルマックス(ペルゴリドメシル酸塩)
- カバサール(カベルゴリン)
- パーロデル(ブロモクリプチンメシル酸塩)
非麦角系
- ビ・シフロール(プラミペキソール塩酸塩水和物)
- レキップ(ロピニロール塩酸塩)
- ドミン(タリペキソール塩酸塩)
ドパミンD2受容体刺激薬の副作用
ドパミンD2受容体刺激薬は線条体以外のD2受容体にも作用します。
そのため、高頻度でみられるのが、嘔吐、悪心などです。これは、化学受容器引き金帯(chemorecepter trigger zone : CTZ)のD2受容体にも作用してしまうからです。
また、ドパミンD2受容体作用薬を突然中止したり急激に減量したりすると、悪性症候群(高熱、筋固縮、無動、意識障害、CK上昇など)が発生することがあります。
悪性症候群は向精神薬、抗不安薬、抗生剤、コレステロール低下剤など様々な医薬品で発生することが報告されていますが、原因がはっきりしているものは少ないです。
ドパミンD2受容体刺激薬の場合は、自律神経中枢(体温中枢および錐体外路系)でのドパミンD2受容体の強力な遮断によると考えられています。