アドレナリンα1受容体遮断薬
アドレナリンα1受容体はGqタンパク質共役型です。
血管平滑筋、前立腺、膀胱括約筋、瞳孔散大筋などに分布しており、α1受容体が遮断されることで弛緩します。
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アドレナリンα1受容体遮断薬の作用
高血圧症治療薬
非選択的なα遮断薬は、昔から高血圧治療薬としての臨床応用が期待されてきましたが、降圧作用が弱いという理由から実用化されることがありませんでした。
その原因は、交感神経終末に分布するα2受容体も遮断してしまうことにあります。α2受容体は交感神経終末からのノルエピネフリン放出を抑制する負のフィードバック機構を有する受容体なのですが、α2受容体が遮断されることで逆にノルエピネフリンの放出が促進されてしまうのです。
この問題を解決したのが、プラゾシン(商品名:ミニプレス)、ブナゾシン(商品名:デタントール)、ドキサゾシン(商品名:カルデナリン)といった選択的α1受容体遮断薬です。これらの薬はα2受容体遮断作用が非常に弱く、著しい降圧作用を発現します。そのため、高血圧症の治療薬として用いられています。
「医薬品例」
- ミニプレス錠(プラゾシン塩酸塩)
- デタントール錠(ブナゾシン塩酸塩)
- カルデナリン錠(ドキサゾシンメシル酸)
- エブランチル(ウラピジル)
緑内障(他の緑内障治療薬で効果不十分な場合)
ブナゾシン(商品名:デタントール)は、ぶどう膜強膜流出経路からの房水流出を促進することで眼圧を下降させます。
「医薬品例」
- デタントール0.01%点眼液(ブナゾシン塩酸塩)
前立腺肥大症に伴う排尿障害
前立腺肥大症で問題となる症状は排尿障害です。これは、後部尿道、前立腺、膀胱三角部平滑筋にたくさん分布するα1が刺激されることで起こっています。
つまり、ここに薬を作用させてα1受容体を遮断すれば、平滑筋を弛緩させ尿道抵抗を減少させ、排尿障害を改善することができます。
前立腺肥大症に伴う排尿障害に使用される薬は、プラゾシン(商品名:ミニプレス)、ウラピジル(商品名:エブランチル)、ナフトピジル(商品名:フリバス)、タムスロシン(商品名:ハルナールD)、シロドシン(商品名:ユリーフ)などです。
最近ではα1受容体にはα(1A)とα(1B)のサブタイプに分けられることがわかり、血管には主にα(1B)受容体が関連していることから、前立腺に発現しているα(1A)受容体だけに作用する薬が開発されました。
それが、シロドシン(商品名:ユリーフ)です。
血管に関連するα(1B)受容体に作用しないことから、過度な降圧作用によるめまい、動悸などの副作用が起こりにくいとされています。
「医薬品例」
- ミニプレス錠(プラゾシン塩酸塩)
- エブランチル(ウラピジル)
- フリバス(ナフトピジル)
- ハルナールD(タムスロシン塩酸塩
- α(1A)受容体選択的
- ユリーフ(シロドシン)
アドレナリンα1受容体遮断薬の副作用
α1受容体を遮断することで強力な降圧作用を発現することから、初回投与時や増量時は過度な血圧低下、起立性低血圧によるめまい、ふらつき、動悸、失神などに注意しなければなりません。
デタントール0.01%点眼液(ブナゾシン塩酸塩)は局所に作用する薬なので全身的な副作用は少ないですが、やはり注意は必要です。血管を拡張させることから、結膜充血、頭痛などの副作用が報告されています。