医療薬学コンテンツ・基礎編

医薬品

医療薬学の基礎となる知識をまとめました。

 

薬理学や薬物動態の基礎を学ぶことで

 

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  • 「なぜ薬が効くのか」
  • 「なぜ副作用が起こるのか」

 

を深く理解できるようになります。

 

薬の概論

  1. 薬の作用機序
  2. 理想的な薬の条件
  3. 薬の投与方法

 

薬物受容体

  1. 薬物受容体とは
  2. 薬物受容体の構造と細胞内情報伝達機構

 

自律神経の働き

  1. 自律神経の働き
  2. 自律神経の拮抗的二重支配

 

薬物受容体と関連薬(作用と副作用)

 

アドレナリン受容体と刺激薬・遮断薬

  1. アドレナリン受容体
  2. カテコールアミン
  3. アドレナリンα1受容体刺激薬
  4. アドレナリンα1受容体遮断薬
  5. アドレナリンα2受容体刺激薬
  6. アドレナリンβ1受容体刺激薬
  7. アドレナリンβ2受容体刺激薬
  8. アドレナリンβ3受容体とアドレナリンβ3受容体刺激薬
  9. アドレナリンβ受容体遮断薬
  10. アドレナリンαβ受容体遮断薬

 

アセチルコリン受容体と刺激薬・遮断薬

  1. アセチルコリン受容体
  2. ムスカリン受容体刺激薬
  3. ムスカリン受容体遮断薬(抗コリン薬)
  4. コリンエステラーゼ阻害剤

 

ドパミン受容体と刺激薬・遮断薬

  1. ドパミンとドパミン受容体の種類
  2. ドパミンD2受容体刺激薬
  3. ドパミンD2受容体遮断薬

 

セロトニン受容体と刺激薬・遮断薬

  1. セロトニンとセロトニン受容体の種類
  2. セロトニン 5-HT(1A)受容体刺激薬
  3. セロトニン 5-HT(1B/1D)受容体刺激薬
  4. セロトニン 5-HT(2A)受容体遮断薬
  5. セロトニン 5-HT(3)受容体拮抗薬
  6. セロトニン 5-HT(4)受容体刺激薬

 

ヒスタミン受容体と拮抗薬

  1. ヒスタミンとヒスタミン受容体の種類
  2. ヒスタミンH1受容体拮抗薬
  3. ヒスタミンH2受容体拮抗薬

 

ベンゾジアゼピン受容体と作用薬

  1. ベンゾジアゼピン受容体とGABA受容体
  2. ベンゾジアゼピン系薬の作用と副作用

 

バルビツール酸受容体と作用薬

  1. バルビツール酸受容体とバルビツール酸系睡眠薬の特徴

 

メラトニン受容体と作用薬

  1. メラトニンとメラトニン受容体作動薬(ラメルテオン)

 

オレキシン受容体と拮抗薬

 

グルタミン酸受容体(NMDA受容体と)拮抗薬

 

薬物動態

  1. 薬の吸収(経口投与)
  2. 消化管以外からの薬の吸収
  3. 薬の分布
  4. 薬の代謝
  5. 薬の排泄

 

薬物相互作用

  1. 吸収過程での薬物相互作用
  2. 分布過程での薬物相互作用
  3. 代謝過程での薬物相互作用
  4. 排泄過程での薬物相互作用
  5. 薬力学的な薬物相互作用
  6. いろいろな薬物相互作用(物理化学的相互作用・食物、環境物質などとの相互作用)

 

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医療薬学コンテンツ・基礎編記事一覧

薬は様々な作用機序で生体に薬効を生じさせます。作用機序は、以下のように分類できます。細胞への作用酵素への作用代謝拮抗作用物理・化学的作用細胞への作用●医薬品の細胞への作用人間の身体は、約60兆個もの細胞から成り立っています。私達が健康で活動するためには、膨大な数の細胞が互いに連絡を取り合いバランスを保つ必要があります。細胞の中と外を隔てているのが細胞膜ですが、ここには小さな穴が空いており、様々な物...

患者さんによく聞かれることがあります。それは、「副作用がない薬はないか」ということです。もちろんそのような薬があったら理想的なのですが、現実的に副作用が100%ない薬を創るのは不可能だろうと思います。副作用は大きく3つに分類できます。薬の効きすぎ薬物アレルギー薬物毒性薬の効きすぎとは、期待する薬効はでているもののそれが過剰に発現していまい、なんらかの害が発生している状態です。例えば、睡眠薬による起...

薬は様々な方法で投与されます。患者の状態によって使い分けているのですが、薬の性質によって投与方法が選択される場合もあります。それぞれの投与方法のメリットとデメリットを確認しておきましょう。経口投与もっともポピュラーな投与方法です。口から投与された薬は消化管で溶け、主として小腸粘膜から吸収されます。次に門脈を通って肝臓に入り、続いて肝静脈、心臓を経由して全身を回ります。経口投与のメリットは簡単かつ苦...

薬理学を理解する上で、「薬物受容体」の考え方を理解することは非常に重要です。なぜなら、「薬と受容体の関係」を理解できれば、「薬の効果」を理論的に理解できるようになるとともに、「薬の副作用」も予想できるようになるからです。臨床の現場では、投与した薬で副作用らしき症状が出た場合、「この薬はどの受容体に作用しているのか」という思考が、副作用の原因を推測する有効な方法の1つとなります。例えば、統合失調症治...

受容体は、大きく2つの群に分けられます。1.細胞膜表面に存在する受容体主要な薬物は、細胞膜表面にある受容体と結合します。細胞膜表面に存在する受容体は、さらにGタンパク質共役型受容体イオンチャネル内蔵型受容体チロシンキナーゼ型受容体の3種類に分類されます。2,細胞内に存在する受容体ステロイドホルモンなど、細胞膜を透過する脂溶性ホルモンと結合する受容体は細胞質に存在しています。また、ビタミンD3や甲状...

自律神経は交感神経と副交感神経よりなり、心臓、平滑筋、分泌腺など身体全体に広く分布しています。自律神経の働きは、「自動で身体機能をコントロールする」ことです。意志とは関係なくその機能を調節しているので、不随意神経とも呼ばれます。対して「自分の意思でコントロールできる神経」を体性神経といいます。体性神経には、刺激を中枢から末梢(おもに骨格筋)に伝える運動神経と、末梢(皮膚などの知覚受容体)から中枢に...

交感神経と副交感神経は「自動で調節されている」という意味から自律神経と呼ばれます。この2つの神経は、効果器(眼、心臓、血管、胃、膀胱、など)を二重で支配し、かつ拮抗的に作用しています。拮抗的とは、一方の神経の影響が促進的なら他方は抑制的という具合に、逆の作用を持ちながら効果器の状態のバランスを保っているということです。交感神経は「闘争と逃走(fight and flight)の神経」と言われるよう...

交感神経と副交感神経の節後線維から放出されたノルエピネフリンやアセチルコリンなどの情報伝達物質は、末梢臓器などに存在するアドレナリン受容体やアセチルコリン受容体に結合することで、身体に様々な効果を発生させます。アドレナリン受容体は、交感神経節後線維から放出されたノルエピネフリンやエピネフリンを受け取り、効果器に情報を伝える役割を担います。アドレナリン受容体には、α受容体とβ受容体があり、α、β受容...

カテコールアミンとは、以下のようにカテコール核とアミンを持っている化合物の総称です。アドレナリン作動薬のうち、エピネフリン、ノルエピネフリン、ドパミン、イソプレナリン、ドブタミンがカテコールアミンです。カテコールアミンは体内に分布しているアドレナリン受容体に作用し、交感神経興奮に似た効果を示します。しかし、α作用、β作用の強さがそれぞれ異なるため、その違いにより発現される効果が異なり、医薬品として...

アドレナリンα1受容体はGqタンパク質共役型です。血管平滑筋、前立腺、膀胱括約筋、瞳孔散大筋などに分布しており、α1受容体が刺激されることで収縮します。アドレナリンα1受容体刺激薬の作用散瞳薬フェニレフリンは、瞳孔散大筋に分布するα1受容体を刺激することで瞳孔散大筋を収縮させ、散瞳させます。そのため、フェニレフリンを含む点眼薬が、目の診断や治療を目的とする散瞳薬として使用されています。「医薬品例」...

アドレナリンα1受容体はGqタンパク質共役型です。血管平滑筋、前立腺、膀胱括約筋、瞳孔散大筋などに分布しており、α1受容体が遮断されることで弛緩します。アドレナリンα1受容体遮断薬の作用高血圧症治療薬非選択的なα遮断薬は、昔から高血圧治療薬としての臨床応用が期待されてきましたが、降圧作用が弱いという理由から実用化されることがありませんでした。その原因は、交感神経終末に分布するα2受容体も遮断してし...

アドレナリンα2受容体はGiタンパク質共役型です。α2受容体はアドレナリン作動性神経終末に分布し、ノルエピネフリン遊離を抑制する負のフィードバック機能を持っています。アドレナリンα2受容体刺激薬の作用高血圧症(本態性、腎性など)クロニジン(商品名:カタプレス)、グアナベンズ(商品名:ワイテンス)、メチルドパ(商品名:アルドメット)は中枢性抗高血圧薬に分類されます。延髄にある血管運動中枢のα2受容体...

β1受容体はGsタンパク質共役型です。心筋、腎臓、脂肪細胞などに分布しており、β1受容体が刺激されることで心機能亢進(心拍数増加、心収縮力増強)、腎臓からのレニン分泌促進、脂肪分解の促進が起こります。アドレナリンβ1受容体 刺激薬の作用β1受容体を刺激する薬には、ノルエピネフリン、エピネフリン、ドブタミンなどのカテコールアミンや、チラミン、アンフェタミン、メタンフェタミン、エフェドリンなどの非カテ...

β2受容体はGsタンパク質共役型受容体です。β2受容体は、冠血管、排尿筋、子宮筋、骨格筋、毛様体筋、気管支平滑筋などに分布しており、β2受容体が刺激されることで弛緩します。また、肝臓や骨格筋のβ2刺激作用はグリコーゲン分解を促進し、肝臓における糖新生を促進します。アドレナリンβ2受容体 刺激薬の作用気管支拡張薬サルブタモール(商品名:サルタノール)、フェノテロール(商品名:ベロテック)、プロカテロ...

アドレナリンβ3受容体はGsタンパク質共役型受容体です。アドレナリンβ3受容体は、脂肪細胞、消化管、肝臓や骨格筋などに存在が認められています。基礎代謝に関与?アドレナリンβ3受容体の役割として有名なものは、脂肪分解作用です。つまり、アドレナリンβ3受容体は、基礎代謝に関与しているのではないかと考えられています。脂肪の貯蔵や燃焼を行なう白色脂肪細胞や褐色脂肪細胞ですが、その働きは、それぞれの細胞の表...

アドレナリンβ1,β2受容体ともにGsタンパク質共役型受容体です。β1受容体は主に心筋と腎臓(レニン分泌に関与)、脂肪細胞などに分布していますが、β2受容体は骨格筋、肝臓、肺、腎臓、冠血管、気管支平滑筋、子宮平滑筋など全身的に分布していますアドレナリンβ受容体遮断薬の作用β遮断薬が使用される疾患は狭心症、高血圧、頻脈性不整脈、緑内障など様々です。それらの疾患の状態によりβ遮断を第一選択として用いる...

アドレナリンα・β受容体 遮断薬は、β遮断薬のデメリットを解消する特性を持つ薬です。アドレナリンα・β受容体 遮断薬の作用高血圧β遮断薬はβ受容体を遮断することで相対的にα作用が優位となり、末梢血管収縮を引き起こします。そのため、末梢循環障害のある患者さんの症状を悪化させる可能性がありました。そこで開発されたのが、アドレナリンα・β受容体 遮断薬です。α受容体も遮断することで、末梢の血管収縮を抑え...

アセチルコリン受容体は文字通り、神経伝達物質であるアセチルコリン(ACh)を受けとる受容体です。自律神経節の間のシナプス間の情報を伝達したり、効果器(血管、筋肉、目など)に存在するアセチルコリン受容体が情報を受けとり、薬効が発現するといった、重要な役割を担います。アセチルコリン受容体は以下のように2つに分類できます。ニコチン(N)受容体(ニコチンに高感受性)ムスカリン(M)受容体(ムスカリンに高感...

ムスカリン受容体刺激薬とは、全身に広く分布するムスカリン受容体(M)受容体を介して作用を現す薬です。医薬品の作用機序から考えて重要となるのは、ニコチン受容体よりムスカリン受容体です。ムスカリン受容体に作用または拮抗する薬は多く、臨床でも頻繁に使われるからです。そのため、ムスカリン受容体刺激薬のことを、副交感神経興奮様薬ともいいます。ムスカリン受容体を介する薬物は、その作用様式から以下のように2つに...

抗コリン薬は臨床でよく使用される薬であり、処方せん医薬品だけでなく、ドラッグストアなどで取り扱っている市販薬(OTC医薬品)にも含まれています。散瞳薬、鎮痙薬、、消化性潰瘍治療薬、気管支拡張薬、パーキンソン治療薬、統合失調症治療薬の副作用である錐体外路症状(EPS)の予防など、様々な疾患に使用される薬です。ムスカリン受容体遮断薬の作用散瞳薬点眼薬として使われるムスカリン受容体遮断薬は、眼科的検査や...

ムスカリン受容体を介する薬物は、その作用様式から以下のように2つに分類できます。直接作用型:ムスカリン受容体作用薬間接作用型:コリンエステラーゼ阻害薬ここでは、間接作用型であるコリンエステラーゼ阻害剤について説明します。コリンエステラーゼとはコリンエステラーゼとは、コリンエステル類を加水分解する酵素であり、2種類があります。アセチルコリンエステラーゼ真性コリンエステラーゼ神経組織、赤血球などに存在...

ドパミンはノルエピネフリンが生合成されるときの前駆物質です。中枢神経系における伝達物質であり、運動調節、精神活動への関与、脳下垂体からのホルモン分泌調節などに関与しています。中枢内のドパミン量の異常は、ある種の疾患の原因となります。中枢内ドパミン量の過剰により統合失調症、中枢内ドパミン量の減少によりパーキンソン病(それに伴う錐体外路症状)が起こります。ドパミンは主にドパミン受容体(D1,D2)への...

中枢神経系に存在するドパミン神経系と関与する機能中脳辺縁系→幻覚・妄想など陽性症状中脳皮質系→陽性症状・陰性症状黒質-線条体系→パーキンソニズム・錐体外路症状下垂体漏斗系→プロラクチンなどのホルモンバランスの調整化学受容器引き金帯(chemoreceptor trigger zone「CTZ」)(脳幹領域に存在) →催吐作用ドパミンD2受容体刺激薬の作用ドパミンD2受容体作用薬はパーキンソン病に使...

ドパミンD2受容体遮断薬として有名な医薬品は、統合失調症治療薬です。統合失調症はかつて「精神分裂病」と呼ばれていました。当時からはっきりした原因が分からず、有効な治療法がなかったためです。しかし、病名自体が差別と偏見を生むと考えられたため、近年、「統合失調症」と改名されました。統合失調症を簡単に説明してしまえば、「人間が持つ様々な感情を上手くまとめることができない」といえます。統合失調症の症状は、...

セロトニンとは人体には約10mgのセロトニンが存在していますが、その約90%は消化管の腸クロム親和性細胞)に存在し、8%は血小板に、残りの2%は中枢神経系に存在しています。つまり、ほとんどがオータコイドとして存在しており、中枢神経系の神経伝達物質として働いているのは微々たるものです。しかし、セロトニンの体内での最も大きな役割は、神経伝達物質としての働きです。セロトニンの存在部位中枢神経血管消化管セ...

5-HT(1A)受容体は中枢神経系に分布しており、この受容体に作用する物質は、不安抑制、抑うつ効果、食欲促進、低体温、睡眠促進をもたらすと考えられています。また、ねずみではオスの性行動を促進する効果も報告されています。5-HT(1A)受容体は、中枢神経系の特に縫線核、海馬に分布しており、セロトニン症候群の病態に関与していると考えられています。※セロトニン症候群脳内セロトニン濃度が過剰になることによ...

セロトニン 5-HT(1B/1D)受容体はセロトニン 5-HT1受容体のサブタイプであり、主に中枢神経系の黒質線条体と、脳底動脈に存在しています。黒質線条体に存在している5-HT(1B/1D)受容体は、セロトニン神経終末に存在する自己受容体として、セロトニン神経活動を抑制します(シナプス前抑制)。一方で、医薬品の作用部位として重要となるのは、脳底動脈に存在する5-HT(1B.1D)受容体です。セロ...

セロトニン 5-HT(2A)受容体の存在場所は中枢神経系平滑筋(血管平滑筋、胃腸管平滑筋、気管支・子宮平滑筋)血小板の3つに分類できます。中枢神経系の5-HT(2A)受容体はドパミン放出を抑制するように働いています。また、セロトニンは5-HT(2A)受容体を介して、胃腸管、気管支、血管にある平滑筋を収縮させます。セロトニンには、血小板膜上にある5-HT(2A)受容体を刺激して血小板凝集を促進する働...

セロトニン 5-HT(3)受容体は、セロトニン受容体のうち唯一、イオンチャネル内蔵型受容体です。とくに脳幹領域に存在する化学受容器引金帯(chemoreceptor trigger zone「CTZ」)と、腸管神経に多く存在し、嘔吐発現に関与しています。抗がん剤治療(シスプラチン)の吐気止めとしてカイトリル(グラニセトロン塩酸塩)、ゾフラン(オンダンセトロン塩酸塩水和物)などのセロトニン 5-HT...

セロトニン 5-HT(4)受容体は、中枢神経系(海馬)や胃腸管、心臓などの分布しています。医薬品の作用部位として重要となるのは、胃腸管に存在している5-HT(4)受容体です。消化管運動促進剤として食物などが消化管に入ってくると、刺激によりアセチルコリンが放出され、消化管平滑筋が収縮(消化管運動亢進)します。一方で、腸クロム親和性細胞から遊離されたセロトニンは5-HT(1)受容体を介してアセチルコリ...

毎年春になると、多くの人が花粉症に悩まされます。それは、体が花粉にアレルギー反応を起こし、細胞内に蓄えられたヒスタミンが大量に放出されるからです。このように、ヒスタミンは炎症やアレルギー反応を引き起こす物質といえます。ヒスタミンの貯蔵場所特に肥満細胞と好塩基性白血球において高濃度に蓄えられています。ヒスタミン受容体の種類ヒスタミン受容体には、H1、H2、H3、H4の存在が知られていますが、H3、H...

ヒスタミンがH1受容体に結合することにより、身体に以下のような作用をもたらします。ヒスタミンH1受容体の作用のまとめ平滑筋毛細血管透過性亢進作用(浮腫など)平滑筋収縮作用(気管支、腸管、子宮など)蕁麻疹などのかゆみ、くしゃみ、鼻水血管内皮細胞血管拡張作用→血圧低下、頭痛、顔面紅潮中枢神経系覚醒作用痙攣を抑制する作用嘔吐作用ヒスタミンH1受容体拮抗薬の作用ヒスタミンが体内で多量に放出されることにより...

ヒスタミンH2受容体の作用には、血管拡張作用、胃酸分泌促進作用がありますが、臨床上、もっとも重要となるのは、胃酸分泌促進作用です。多量のヒスタミンが胃壁細胞のヒスタミンH2受容体に作用すると、胃酸が多量に分泌されます。過剰に分泌された胃酸は、自己の胃壁まで消化してしまうことから、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の発生を促すことになります。ヒスタミンH2受容体拮抗薬の作用H2ブロッカーと呼ばれるシメチジン(商品...

ストレス社会日本において、不安、緊張、睡眠障害などを抱える人は増加しています。不安や緊張に用いられる代表的な薬といえば、ベンゾジアゼピン系抗不安薬です。また、睡眠障害に用いられる薬も、ベンゾジアゼピン系睡眠薬が主流です。さらに、ベンゾジアゼピン系薬は抗けいれん作用を持つことから、てんかんにも用いられます。ベンゾジアゼピン受容体とはベンゾジアゼピン系薬が結合する受容体がベンゾジアゼピン(BZD)受容...

ベンゾジアゼピン系(BZD)薬はベンゾジアゼピン受容体を介して、間接的にGABAA受容体の機能を高めることで薬効を示す薬です。ベンゾジアゼピン系薬は1961年に最初の薬剤が開発されて以来、比較的安全性の高い睡眠薬・抗不安薬として臨床現場で広く処方されるようになりました。注意すべき問題点もあり。しかし、現在ではベンゾジアゼピン系薬に関する様々な問題も指摘されています。発売当初は、比較的安全性の高い薬...

バルビツール酸系睡眠薬が作用する受容体が、バルビツール酸受容体です。ただ、バルビツール酸受容体は単独で存在しているわけではありません。下図のようにGABAA受容体が形成するClイオンチャネルの、Clイオンタンパク上にあります。GABAA受容体-BZD受容体-Clイオンチャネル複合体とバルビツール酸受容体の関係図※GABAA受容体:400〜500のアミノ酸の5量体で、α、β、γを中心としたサブユニッ...

睡眠薬の歴史はバルビツール酸系睡眠薬から始まりました。しかし、その依存性と危険性から、より「安全性の高い睡眠薬」を目指して開発が進められてきました。次に登場したベンゾジアゼピン系睡眠薬は、その効果と安全性の高さから、現在広く使われています。睡眠障害治療の主役ともいえるでしょう。しかし、比較的安全性が高いといわれるベンゾジアゼピン系睡眠薬でも、筋弛緩作用によるふらつき、転倒、認知機能障害を悪化させる...

オレキシンの発見は比較的新しく、1998年に日本人研究者によって発表されました。オレキシンは摂食中枢である視床下部で産生される神経ペプチドの一種であり、オレキシンAとオレキシンBの2種類が存在します。そして、オレキシンの受容体にはOX1受容体、OX2受容体の2種類のサブタイプがあり、Gタンパク質共役型受容体であることが分かっています。オレキシンは覚醒を調整するオレキシンの役割を一言でいえば「脳の覚...

オレキシンの発見と、オレキシン受容体拮抗薬の開発は、睡眠障害の治療を大きく変えるかもしれません。なぜなら、従来の不眠症治療薬とはまったく異なる作用機序を持つからです。現在処方される不眠症治療薬は、95%以上がGABA系に作用する薬です。いわゆるベンゾジアゼピン系睡眠薬が不眠症治療の主役であり、1960年代に開発されて以来、幅広い世代に用いられてきました。長く使っても薬剤耐性や依存性が少なく、大量服...

グルタミン酸受容体は、主にグルタミン酸が結合する受容体です。中枢神経系のシナプスに多く存在し、記憶・学習に関与する神経伝達物質です。グルタミン酸受容体にはいくつかサブタイプがあることが知られています。その中で、臨床上重要となるものはNMDA型※グルタミン酸受容体です。(※NMDA(N-メチル-D-アスパラギン酸)が選択的に作用することからNMDA型とされた)そして、NMDA受容体をブロックすること...

投与された薬は、体内で様々な運命を辿ります。これを薬物動態といいます。薬物動態は、吸収(absorption)、分布(distribution)、代謝(metabolism)、排泄(excretion)の4つの機能に分けて考えられることが一般的であり、頭文字をとってADMEと呼ばれたりします。薬物の体内動態吸収(absorption)投与部位から体循環への移行分布(distribution)体循環...

薬は主に経口投与されますが、消化管吸収過程で影響を受けたり初回通過効果で代謝されてしまうなど様々な影響を受けます。よって、薬によっては期待する薬効を得られない場合もあります。また、静脈注射などの血管内投与は患者に苦痛を与えるなどの問題があり、手軽にできるものでもありません。このような問題から、より簡単で効果の高い投与方法が研究されてきました。現在では、口腔粘膜、直腸、膣、鼻粘膜、皮膚、肺など様々な...

吸収された薬は全身循環系に入り、体液によって全身に分布します。しかし、すべての組織や体液に分布するのではありません。薬の特性や患者の状態によって、分布状況や薬効も違いがでてきます。脂溶性の高い薬物脂溶性の高い薬物は脂肪組織に分布します。代表例として,全身麻酔薬のチオペンタール(医薬品例:ラボナール注射用)、セコバルビタール(医薬品例:注射用アイオナール・ナトリウム)や睡眠薬があります。脳は脂質が多...

投与された薬は臓器に分布して薬効を現すわけですが、ある程度の時間が経過したあと活性を低下させ体外へ排出されなければなりません。分解・排泄機構がないと、ずっと薬が体内に残ってしまうことになります。「薬が体内で代謝される」とは「薬の活性が弱められ排泄される準備がなされる」という意味です。薬は身体にとって異物であるため、薬が入ってくるとそれを排泄しようという機能が働きます。防衛機能ともいえるものです。ま...

薬物動態の最終段階です。吸収された薬は代謝過程で変化を受けるか、あるいは未変化体のままで体外に排泄されます。一般的に、水溶性のものは腎臓から尿中へ排泄され、不溶性のものは消化管から便へ排泄されます。腎臓と肝臓が主な排泄経路ですが、この他にも経路はあります。胆汁中への排泄は、腎排泄の次に重要な経路といえます。揮発性物質のように肺から呼気中へ排泄されるものもあります。また、量的に少ないですが、皮膚から...

現代社会は高齢化、疾病の多様化により、多種類の薬を服用している患者が増えています。そこで問題となるのは、予期しない有害な薬物相互作用です。薬物相互作用は、薬の吸収から薬効発現までの過程のあらゆる段階で起こりえます。薬物相互作用は大きく以下のように分類できます。薬物動態学的な相互作用吸収・分布・代謝・排泄過程での薬物相互作用薬力学的な相互作用薬物の作用部位(主に受容体)における相互作用。併用薬の協力...

消化器官(主に小腸)から吸収された薬は全身循環系に入り、体液によって全身に運ばれます。血流量が大きい肝臓や腎臓には瞬時に分布しますが、血流量が小さい脂肪組織、筋肉、皮膚などの組織にはゆっくり分布するため時間がかかります。薬の組織への分布は血流による組織への運搬と組織細胞膜の透過からなるため血流量の変化血漿タンパク結合率の変化は薬の分布に大きな影響を与えます。薬物相互作用とタンパク結合率の変化分布過...

薬物代謝過程での相互作用でもっとも多いものは、シトクロムP450に起因するものです。薬を何度も服用しているうちに、特定の代謝酵素の量や活性が増加または減少することで、その薬や他の薬の代謝に影響がでることがあります。薬物代謝を亢進させることを酵素誘導薬物代謝を遅延または阻害することを酵素阻害と呼びます。主なシトクロムP450分子種と代謝される基質分子種局在組織特徴主な基質CYP1A1肺喫煙者に発現ベ...

薬が排泄される段階での薬物相互作用には糸球体ろ過での相互作用尿細管分泌における相互作用尿細管再吸収における相互作用があります。腎臓の構成単位ネフロンと糸球体ろ過、尿細管分泌、尿細管再吸収機構糸球体ろ過における相互作用糸球体でろ過される薬は、血漿タンパク質(主にアルブミン)と結合していない遊離型のものです。つまり、血漿タンパク結合率の強い薬を併用した場合、タンパク結合率が変化することで糸球体ろ過量に...

多くの薬は、薬物受容体を介して薬効を発現します。薬物受容体は神経や血液によって運ばれてきた情報を受け取り、それを細胞内へ伝達する働きをしています。つまり、薬はこの受容体を刺激、あるいは阻害することで生体に反応を起こさせているのです。薬力学的相互作用とは、同様、あるいは相反する薬理作用をもつ薬同士を併用した場合に、薬物受容体に対する感受性または反応性が変化することをいいます。薬力学的相互作用には協力...

多くの薬は薬物動態学的相互作用(吸収・分布・代謝・排泄)薬力学的相互作用(薬物受容体を介した相互作用)で相互作用を起こします。しかしこれら以外にも物理化学的な相互作用(薬効や物理的な性質が変化する配合禁忌など。輸液、軟膏剤の混合に多い)薬物と食物間の相互作用薬物と環境物質間の相互作用など様々な種類の相互作用を起こすことがあります。物理化学的な相互作用物理化学的な相互作用で注意しなければならないのは...