グルタミン酸受容体(NMDA)拮抗薬(メマンチン)の作用と副作用

グルタミン酸受容体(NMDA)拮抗薬(メマンチン)の作用と副作用

グルタミン酸受容体(NMDA)拮抗薬(メマンチン)の作用と副作用

グルタミン酸受容体は、主にグルタミン酸が結合する受容体です。
中枢神経系のシナプスに多く存在し、記憶・学習に関与する神経伝達物質です。

 

グルタミン酸受容体にはいくつかサブタイプがあることが知られています。

 

その中で、臨床上重要となるものはNMDA型※グルタミン酸受容体です。

 

(※NMDA(N-メチル-D-アスパラギン酸)が選択的に作用することからNMDA型とされた)

 

そして、NMDA受容体をブロックすることで薬理作用を示す薬にはメマンチン(商品名:メマリー)があります。

 

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メマンチン(商品名:メマリー)の特徴とは?

日本における認知症治療薬の歴史

日本で初めて発売された認知症治療薬はアリセプト(ドネペジル塩酸塩)です。

 

アリセプトはアセチルコリンエステラーゼを阻害することで、シナプス間のアセチルコリン量を増やします。

 

神経伝達物質のアセチルコリンの量が増えれば、シナプス間の情報伝達効率もあがることから、認知機能の改善が期待できます。

 

1999年にアリセプトが発売されて以来、長らく新しい治療薬は生まれませんでした。

 

しかし、2011年にアリセプトと同じ薬理作用を持つ、

  • レニミール(ガランタミン臭化水素酸塩)…内服薬
  • イクセロン、リバスタッチ(リバスチグミン)…パッチ剤

が発売され、薬物治療のバリエーションが増えました。

 

メマンチンは新しい作用機序の認知症治療薬

しかし、2011年に発売されたメマリー(メマンチン)は、これまでの認知症治療薬と比べて異彩を放つ存在です。

 

それは、まったく違う作用機序をもつ薬だからです。

 

これまで、認知症患者の脳内ではコリン作動性神経の障害が目立つことから、脳内のアセチルコリン量を増やすことを目的とした薬が開発されてきました。

 

しかし近年、認知症の約50%を占めるアルツハイマー型の原因は、NMDA受容体が過剰に活性化していることと関係があることが分かってきました。

 

NMDA受容体が常に活性化→神経細胞にダメージ

NMDA受容体はイオンチャネル型※の受容体です。

 

イオンチャネル型受容体とは、Na+、 Ca2+などのイオンが流れ込むことで、生体内の速い情報伝達を担う受容体のことです。

 

参考記事薬物受容体の構造と細胞内情報伝達機構

 

健常人の場合は、通常チャネルは閉じています。Mg+がチャネルをブロックすることで、神経伝達を抑えているのです。

 

そして、学習・記憶のシグナルが来てグルタミン酸が増えると、Mg+はNMDA受容体から離れます。結果、チャネルが開きCa2+が流入して電気シグナルが伝わります。

 

覚醒・睡眠システム

 

しかし、アルツハイマーの患者さんは、通常時でも常にチャネルが開き、過剰のCa2+が流入しています。
つまり、常に電気シグナルを受けているため、神経細胞はダメージを受けてしまいます。

 

また、いざ記憶しようとしても、電気シグナルは常に発生しているため、記憶に関わるシグナルを受けることができないのです。

 

メマンチンはMg+の変わりにNMDA受容体をブロックして、過剰に電気シグナルが伝わらないように作用します。
そして、グルタミン酸が増えればMg+と同じようにNMDA受容体から離れ、チャネルが開かれます。

 

メマリー(メマンチン)の適応症と用法用量

 

適応症

メマリー(メマンチン)は、中等度及び高度アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制作用を示します。

 

アリセプト(ドネペジル塩酸塩)、レミニール(ガランタミン臭化水素酸塩)、イクセロン、リバスタッチ(リバスチグミン)はコリンエステラーゼ阻害作用を持つことから、現時点では併用できません。

 

しかし、メマリー(メマンチン)は違う作用機序なので、上記の薬と併用可能です。

 

段階的に用量を増やしていく

メマリー(メマンチン)は以下のように用量を増やしていきます。

 

1日1回 5mgから開始し、 1 週間に 5mgずつ増量し、維持量として1日1 回20mgを経口投与する。

 

メマリー(メマンチン)は内服初期から、めまい、頭痛といった副作用が起きやすいため、少量から始めて副作用をチェックしながら用量を増やしていきます。

 

メマリー(メマンチン)の副作用

1〜5%の患者に、めまい、頭痛、便秘が起こるとされています。

 

また、眠気も起こりやすい副作用です。

 

メマリー(メマンチン)の注意点

メマリー(メマンチン)は半減期が長い→効果が出るまでに時間がかかる

メマンチンの半減期は60時間前後と非常に長く、定常状態になるまでに時間がかかります。

 

添付文書によれば、上記の用法でメマンチンを反復投与した結果、約4週間で定常状態※に達した、という記録があります。

 

つまり、確実に効果が発揮されるまでに長く時間がかかることが予想されます。

 

服薬指導の時は、「薬が効いてくるまでに時間がかかるから、根気よく飲んでください」と本人や家族に説明したほうがよさそうですね。

 

(※定常状態…薬が体内に入ってくる量と出ていく量が等しくなり、一定の血中濃度を示す状態)

 

腎排泄型の薬→用量に注意

メマンチンは腎排泄型の薬です。

 

つまり、腎機能が低下している患者さんだと、予想よりも効きすぎて副作用が強くでる危険があるのです。

 

そのため「高度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス値:30mL/min未満)のある患者には、維持量は 1 日 1 回10mgとすること」とされています。

 

メマリー(メマンチン)と他剤の相互作用

NMDA受容体拮抗作用を有する薬と併用注意

シンメトレル(アマンタジン塩酸塩)、メジコン(デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物)などの薬はNMDA受容体拮抗作用をもつため、メマリーの作用が強くなる可能性があります。

 

尿のpHを上昇させる薬との併用は注意

炭酸水素ナトリウムやダイアモックス(アセタゾラミド)など尿のpHを上昇させる薬と併用すると、メマリーの尿中排泄が減少するおそれがあります。
※尿pH8で腎クリアランス20%低下

 

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