セロトニン 5-HT(2A)受容体遮断薬の作用

セロトニン 5-HT(2A)受容体の存在場所は

 

  • 中枢神経系
  • 平滑筋(血管平滑筋、胃腸管平滑筋、気管支・子宮平滑筋)
  • 血小板

 

の3つに分類できます。

 

中枢神経系の5-HT(2A)受容体はドパミン放出を抑制するように働いています。

 

また、セロトニンは5-HT(2A)受容体を介して、胃腸管、気管支、血管にある平滑筋を収縮させます。

 

セロトニンには、血小板膜上にある5-HT(2A)受容体を刺激して血小板凝集を促進する働きもあります。

 

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統合失調症治療薬

 

5-HT(2A)受容体遮断作用を有する医薬品としては、リスペリドン(リスパダール)などの統合失調症治療薬が有名です。

 

統合失調症が「分裂病」と呼ばれていた時代は、クロルプロマジン(商品名:ウインタミン/コントミン)やハロペリドール(商品名:セレネース)という定型薬が主流でした。
強力なドパミンD2受容体遮断作用により陽性症状には効果があるのですが、錐体外路系や循環器系の副作用の発現頻度の多さが問題視されていました。

 

また、統合失調症の陰性症状には効果がほとんどないことから、病歴の長い患者の陰性症状にも効果のある薬が望まれていました。

 

そこで近年登場してきたのが、リスペリドン(リスペリドン)、ルーラン(ペロスピロン)などの非定型薬です。

 

これらの薬はドパミンD2受容体とともに、5-HT(2A)受容体を遮断する作用を持っています。
5-HT(2A)受容体はドパミン放出を抑制する働きがあるので、5-HT(2A)受容体遮断薬によってこの抑制が解除されることにより、ドパミンの放出を増加させます。

 

中脳皮質系のドパミン遊離促進は陰性症状に改善につながり、また黒質線条体系でのドパミン遊離促進は錐体外路系の副作用を軽減します。

 

「医薬品例」
(SDA)
  • リスパダール(リスペリドン)
  • ルーラン(ペロスピロン)
(MARTA)
  • セロクエル(クエチアピン)
  • ジプレキサ(オランザピン)

 

血小板凝集抑制薬

 

アンプラーグ(サルポグレラート塩酸塩)は5-HT2拮抗薬であり、セロトニンよる血小板凝集促進作用および血管収縮作用を抑制します。

 

セロトニン 5-HT(2A)受容体遮断薬の副作用

 

セロトニン 5-HT(2A)受容体遮断薬で代表的な非定型薬は、D2受容体、5-HT(2A)受容体以外にも、アドレナリンα1受容体を阻害する作用があります。

 

これらの薬とアドレナリンを併用した場合、アドレナリンのα1受容体刺激作用が阻害され、β刺激作用が優位となり、重症の低血圧を生じる危険性があります。

 

リスパダール(商品名:リスペリドン)、クエチアピン(商品名:セロクエル)、オランザピン(商品名:ジプレキサ)、ペロスピロン(商品名:ルーラン)、アリピプラゾール(商品名:エビリファイ)はアドレナリンとの併用禁忌となっています。

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