医療薬学コンテンツ・疾患別薬物治療編

医薬品

 

代表的な疾患における薬物治療についてまとめたコンテンツです。

 

基本的な情報を中心にして、薬物治療の全体像がわかるような構成を心がけています。

 

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循環器疾患治療薬

 

狭心症治療薬

  1. 狭心症とは? なぜ胸が痛くなるのか
  2. 狭心症の薬は3種類をおさえる

 

心筋梗塞治療薬

 

  1. 心筋梗塞とは | 狭心症とどう違うの?
  2. 急性心筋梗塞の治療薬
  3. 心筋梗塞の再発を予防するための薬

 

血栓治療薬

 

  1. 抗血栓薬は3種類に分類できる
  2. 血栓溶解薬とは | 血栓を溶かす強力な薬 : t-PA
  3. 抗血小板薬の種類と特徴
  4. 抗凝固薬の種類と特徴

 

高血圧治療薬

 

  1. なぜ高血圧の治療は必要か?
  2. 代表的な高血圧治療薬
  3. 降圧剤の効果的な併用方法

 

低血圧治療薬

 

  1. 低血圧症と起立性低血圧症
  2. 低血圧治療薬

 

心不全治療薬

  1. 急性心不全と慢性心不全
  2. 急性心不全に用いられる薬〜血管拡張薬と強心薬〜
  3. 慢性心不全治療薬の種類と特徴

 

 

消化系疾患治療薬

 

消化性潰瘍治療薬

  1. 消化性潰瘍の原因と治療法
  2. 消化性潰瘍治療薬の種類と特徴

 

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医療薬学コンテンツ・疾患別薬物治療編記事一覧

ドラマなどで、バスローブを着た中年の男が胸を押さえて倒れこみ、傍らの愛人が小瓶から白い錠剤を取り出して男の口に含ませてしばらくすると発作が治る、というシーンがあります。映画やドラマで使われる定番ですが、あれはたぶん狭心症だろうと思います。このように「胸の痛み」から連想される病気として有名なものが「狭心症」といえます。では、狭心症とはどのような病気なのでしょうか。狭心症は心臓の酸素需要と供給のバラン...

狭心症とは、簡単にいえば「心臓の必要とする酸素が足りない」状態といえます。それは、長年の動脈硬化によって冠動脈が狭くなっているか、冠動脈が痙攣することで血流が減少してしまうことが原因とされています。それならば、心筋が必要とする酸素を冠動脈によって十分供給してあげれば、このような症状はおさまるはずです。狭くなった冠動脈を広げる薬としては、硝酸薬があります。また、冠動脈の痙攣を抑える薬としては、カルシ...

心筋梗塞と聞くと、「命に関わる危険な病気」というイメージを持つ方が多いでしょう。しかも、癌のようにある程度の時間的余裕があるものではなく、すぐに処置をしないと急死してしまうという認識もあります。それでは、心筋梗塞はなぜ危険なのでしょうか。それは、心筋梗塞とは心臓の筋肉細胞に酸素や栄養素を供給している血管(冠動脈血管)が完全に閉塞するか、かなり狭くなってしまい、心筋に血液が行き届かなくなってしまう症...

心筋梗塞といえば、発症直後の危険な状態である急性心筋梗塞(AMI)を指すことが多いです。急性心筋梗塞は非常に危険な状態です。冠動脈が詰まって心臓が死にかけている状態なので、まず命を取り留めるための処置がなされなければなりません。発症12時間以内の急性心筋梗塞の場合は、禁忌がないかぎり再灌流療法(ステントを使用した冠動脈インターベンション:PCI )を行うこととされています。薬物治療は再灌流療法を補...

急性心筋梗塞の急性期を脱すると、慢性期の治療が外来で始まります。心筋梗塞後の死亡原因は心不全不整脈心筋梗塞の再発の3つとされており、これらを防ぐために薬物治療のメニューが組まれます。抗血小板薬再発予防の中で重要なのが、血栓が再び作られるのを防ぐことです。この血栓予防として、抗血小板薬が用いられます。抗血小板薬はあくまで血栓ができるのを予防するものであり、できてしまった血栓を溶かすことはできません。...

抗血栓薬は名前のとおり「血栓」を治療するための薬をいいます。血栓とは血の塊のようなものなのですが、なぜ血栓は体によくないのでしょうか。それは、血管内にできた血栓が血流にのって全身に運ばれ、脳や肺、心臓の血管を詰まらせることで、脳梗塞、肺塞栓、心筋梗塞などの重大な疾患を引き起こす原因となるからです。血栓は動脈硬化、不整脈、加齢、体質……など様々な原因で発生するため、少しでもリスクがあれば早急に対応し...

血栓溶解薬は、心筋梗塞や脳梗塞などの原因となる血栓を溶かす作用を持つ薬です。血栓溶解薬が必要とされるのは、心筋梗塞などが発生した今その時、つまり急性期です。血管を塞栓している血栓を溶かし血流を回復させるため、最近ではt-PAなどを用いて治療します。血液凝固の機序とプラスミンまず、血液が固まるメカニズムについて確認しておきます。血液凝固は、第Tから第]V因子までの12の凝固因子が関与しています(※第...

抗血小板薬は、動脈系にできる血小板血栓の形成を抑制する作用を持つ薬です。動脈硬化などにより血管が狭くなり、ついにプラーク(隆起)が破綻し始めると、血小板は血管内皮下組織と粘着します。一方、活性化された血小板は、粘着した血小板を足場にしてさらに血小板同士を結合させます。互いに粘着し活性化された血小板は、トロンボキサンA2などの血小板凝集物質を放出するので、さらに周囲の血小板が活性化されて凝集が拡大し...

心房細動や肺塞栓症は、詰まった血管とは別の場所で血栓が形成され、それが血流にのって病巣部へ運ばれることで発症します。このような疾患の場合、血液の流れが滞ることで凝固系が亢進することが原因と考えられています。抗凝固薬は、凝固系の様々な因子に作用することで、血栓形成の最終産物であるフィブリンの産生を阻害することで、抗凝固作用を示します。抗凝固薬「ヘパリン」ヘパリンナトリウム(ヘパリンナトリウム)「低分...

高齢者が集まれば話のたねとなるのは「健康・病気」ではないでしょうか。「最近血圧が高くてかなわん」「あんたもか。ようけ薬飲んどるなあ」と、高血圧は健康談義の中でも人気トピックスといえるでしょう。それほど高血圧患者は多く、日本には現在4300万人もの患者がいると推定されています。高血圧患者のうち治療を受けている人は60歳代で50%以上、70歳代で60%以上です。いかに高血圧がメジャーな疾患かがわかりま...

降圧剤には、Ca拮抗薬、ACE阻害薬、ARB、利尿薬、β遮断薬、α1遮断薬など様々な種類があり、なかなか覚えるのが大変です。しかし、第一選択薬となるものは決まっており、薬理作用も分かりやすく、よって副作用も予想しやすいです。また、降圧剤の併用療法では、それぞれの特徴を活かした相乗効果を期待したり、お互いのデメリットを打つ消す目的で併用されるものもあります。降圧剤の種類降圧剤には様々な種類があります...

日々、高血圧の患者さんの処方せんを調剤していると、ほとんどの医師は降圧薬を組み合わせて治療をしていることがわかります。では、医師はどのような基準で降圧薬を選択しているのでしょうか。もちろん医師の「経験」や「こだわり」はあるでしょう。メーカー(MR)との関係にも影響されるかもしれません。しかし、やはり初期の高血圧には使われやすい薬があります。また、併用することでそれぞれのメリットを活かしあったり、逆...

高血圧ばかりが騒がれる世の中ですが、低血圧もまたやっかいな病気です。低血圧の患者は人口の1〜2%といわれています。生活に支障をきたしているようなら、きちんと治療しなければなりません。低血圧症の診断基準安静時血圧が90〜100/60〜70mmHg以下で、日常生活に支障が生じている場合、低血圧と診断されます。低血圧症の種類本態性低血圧症原因が明らかでないものです。きちんと検査しても原因となるような疾患...

低血圧は自覚症状がなかったり生活に支障がない場合は治療しないのが基本です。しかし、めまい、立ちくらみ、頭痛など日常生活に支障がでているなら、まず生活習慣の改善から始めます。それでも良くならなければ薬物治療の対象となります。低血圧治療薬の種類低血圧治療薬は主に昇圧薬自律神経調整薬抗不安薬抗うつ薬が用いられます。また、重症例にはステロイド薬も処方されます。起立性低血圧の場合には、プロスタグランジン合成...

「心不全」は病名ではなく、状態を表す言葉です。「不全」とは「不完全」という意味であり、「心不全」とは「心臓が完全に働いてない状態」いう意味です。つまり、心臓の血液を送るポンプとしての機能が低下している状態を「心不全」といいます。心不全は大きく、急性心不全と慢性心不全に分けられます。急性心不全「定義」心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて急速に心ポンプ機能の代償機転が破綻し,心室拡張末期圧の...

通常、心不全の治療は、急性心不全と慢性心不全に分けて考えられます。急性心不全は急激に心機能が低下している状態なので、命に関わります。そのため、薬物治療は救命が最優先となります。クリニカルシナリオに従った治療選択急性心不全の初期治療では、クリニカルシナリオ(CS)に従った治療選択が推奨されています。クリニカルシナリオ(CS)急性心不全の初期収縮期血圧を参考に、その病態を把握して速やかに治療を開始する...

慢性心不全は、「慢性的に心臓の働きが低下している」状態であり、基本的には完治は望めません。薬物治療は対症療法であり、できるだけ心臓の機能を維持するために、さまざまな薬理作用の薬が用いられます。代表的な慢性心不全の薬をまとめました。※慢性心不全に用いられる薬は、降圧剤(ACE阻害薬、ARB、利尿薬など)として用いられるものも多いです。「代表的な高血圧治療薬 」も併せてご覧ください。慢性心不全治療薬...

消化性潰瘍とは、簡単に言えば胃の粘膜に穴が開いてしまう疾患です。胃の粘膜筋板を越えて組織が深くえぐりとられた状態といえます。消化性潰瘍には胃潰瘍、十二指腸潰瘍があります。消化性潰瘍の症状消化性潰瘍の原因や胃のダメージの受け方は様々なので、症状も個人差があります。最も多い自覚症状は腹痛で、上腹部に出やすいと言われます。胃潰瘍は食後に、十二指腸潰瘍は空腹時に痛みが出やすい傾向があります。痛みがなくても...

消化性潰瘍の原因は、胃液の分泌が増加しすぎて、胃の粘膜を溶かしていまう胃の粘膜が弱くなり、胃液からダメージを受けてしまうとされています。そのため、胃液の出すぎ→胃酸の分泌を抑える薬胃の粘膜が弱くなった→胃の粘膜を保護・強化する薬という考え方のもと、治療薬が選択されます。攻撃因子抑制薬の作用と副作用攻撃因子抑制薬の作用点胃酸分泌抑制作用の強さPPI>H2受容体拮抗薬≒選択的ムスカリン受容体拮抗薬>そ...