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2016年の調剤報酬改訂は、大手薬局チェーンを狙い撃ちするような厳しい評価でした。
2014年、2016年と苦戦を強いられている薬局薬剤師ですが、一方で「病院薬剤師の評価」は年々高まっています。
それは、「病院薬剤師の業務に関わる加算の新設」からも、はっきりと分かります。
まず大きな転機となったのが、2012年の「病棟薬剤業務実施加算」の新設です。
病院薬剤師の業務が高く評価されて新設された加算であり、「病院薬剤師が収益に貢献できる加算」として業界に大きなインパクトを与えました。
さらに、2014年には「がん患者指導管理料3」が新設されました。
そして2016年の診療報酬改訂では新たに
などが新設されています。
名称 | 内容 | 施設基準 |
---|---|---|
「病棟薬剤業務実施加算1」100点(入院患者一人につき週1回) |
一般病棟入院基本料、療養病棟入院基本料、結核病棟入院基本料、 精神病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料、専門病院入院基本料のいずれかを算定している患者に対して、薬剤師が病棟において病院勤務医等の負担軽減及び薬物療法の有効性、安全性の向上に資する薬剤関連業務を実施している場合に 算定する。
◯主な業務内容
など |
など |
「病棟薬剤業務実施加算2」80点(1日につき) | 救命救急入院料、特定集中治療室管理料、脳卒中ケアユニット入院医療管理料、小児特定集中治療室管理料、新生児特定集中治療室管理料又は総合周産期特定集中治療室管理料を算定する治療室において、病棟薬剤業務実施加算1と同様の病棟薬剤業務を実施していること。 |
|
「がん患者指導管理料3」200点(6回に限り) | 医師または薬剤師が、抗悪性腫瘍薬の投薬または注射の必要性について、文書を用いて説明を行った場合に6回に限り算定 |
など |
「薬剤総合評価調整加算 」250 点(退院時に1回) |
保険医療機関に入院している患者であって、以下のいずれかの場合に、退院時に1回に限り所定 (1)入院前に6種類以上の内服薬(入院時において当該患者が処方されている内服薬のうち、頓用薬及び服用を開始して4週間以内の薬剤を除く。)が処方されていたものについて、処方内容を総合的に評価したうえで調整し、当該患者の退院時に処方される内服薬が2種類以上減少した場合 (2)精神病棟に入院中の患者であって、入院直前又は退院1年前のうちいずれか遅い時点で抗精神病薬を4種類以上内服していたものについて退院までの間に抗精神病薬の種類数が2以上減少した等の場合。なお、保険医療機関がクロルプロマジン換算を用いた評価を行う場合には、クロルプロマジン換算で 2,000mg 以上内服していたものについて、1,000mg 以上減少した場合を含めることができる。 |
平成28年度診療報酬改定における主要改定項目(病院・診療所薬剤師関係)一般社団法人 日本病院薬剤師会、平成 28 年 3 月 4 日、https://www.jshp.or.jp/cont/16/0304-0.pdf、2016/6/7閲覧
それでは、なぜ病院薬剤師の業務が今、評価されているのでしょうか。
病院薬剤師は医師や看護師と比べて、表舞台に出ることが少ない職種ではありますが、高度かつ複雑化した現代医療の足場を支える、重要な仕事を担っているからです。
また、病院薬剤師の技術に診療報酬が加算されるようになり、採用枠も増えています。
下図は薬学部の卒業生の進路を表したものです。
2012年の「病棟薬剤業務実施加算」に対応するように、病院への就職率が増加しています。
2009年と2013年の薬学部卒業生の就職状況 薬学教育協議会資料から
ここでは、患者が入院してから退院するまでに、病院薬剤師がどのように医療に関わるかを説明します。
軽度であれ重症であれ、患者が病院に運ばれてきた時、まず薬剤師は持参薬の確認を行います。
医師が処方する予定の薬と、患者が服用している薬との飲み合わせは問題ないか、併用禁忌、併用注意などの相互作用の確認を行うためです。
特に高齢者は、糖尿病、高脂血症、リウマチなど複数の疾患を抱えていることが多く、複数の医療機関に通院していることも少なくありません。
また、現疾患に対する投与予定の薬の安全性などの情報を、医師に提供します。
医師は自身の専門の薬については深い知識を持っていますが、それ以外の薬には疎いこともあります。
また最近ではジェネリック医薬品が普及し、医療現場では先発品、後発品、一般名による表記などが入り乱れ、持参薬の特定が困難になっています。
複雑化する薬物治療の中で、薬剤師の素早く正確なチェックが必要とされています。
医師が処方を決定する場合、選択する薬剤の種類、用量を薬剤師に尋ねるケースも増えています。
例えば、他の医療機関で治療していた疾患の治療を受け持つ場合、同効薬、代替薬の提案を求められることもあります。
一般的な総合病院なら1500種類ほどの採用医薬品を扱っていますが、専門病院の場合その半分くらいしか種類がないこともあります。そのため、他の医療機関で患者に投与されてきた薬となるべく薬理薬効が似た薬を、採用医薬品の中から選択する必要があります。
また、患者が小児や高齢者である場合や、肝疾患、腎疾患を持っている場合、減量しなければならない薬もあります。
輸液を使う場合は、投与量、投与速度の計算を薬剤師が行うこともあります。
入院中、薬剤師が関わる業務は主に、服薬状況の確認と副作用のチェックです。
医師が効果的な薬物治療を決めても、それが正確に行われなければ効果は望めません。そのためには、患者自身が薬を飲む意味を理解し、積極的に治療に参加する姿勢が必要です。このアドヒアランスを高めることに、薬剤師は大きく貢献しています。
薬の中には特殊な飲み方をしなければならないものもありますし、喘息の吸入薬、インスリンの自己注射は患者にとって操作が難しいものもあります。そういった患者のノンコンプライアンスにつながる原因をケアしていくことも仕事です。
また、副作用をチェックすることも必要です。
薬の副作用は
と大きく3つに分類されます。
薬物過敏症は特異体質による過剰な症状や、2回目以降の投与により起こる薬物アレルギーなので、すぐに中止しなければなりません。
しかし、薬理作用による副作用は「薬の効きすぎ」により起こることが多く、その場合は適正量に減量します。
また、抗うつ薬には突然の中止により副作用が起こるものや、適正に使用しないと問題がある薬もあります。
例えば、薬の中には
「起床時に多めの水で服用して30分は横にならない」
「食直前に服用する」「空腹時に服用する」
など特殊な飲み方をするものもあり、それを守らないと副作用が起こりやすくなります。
薬効が強いハイリスク薬(血糖降下剤、抗てんかん薬、統合失調症治療薬
抗がん剤など)は、薬理作用による副作用が生じやすい代表です。特に注意が必用な薬といえます。
医師や看護師は「薬が効いているか」に興味がありますが、副作用には関心がない場合が多いです。患者の微細な変化に気づき、初期の副作用のうちに拾い上げることが、病院薬剤師に求められています。
実際、上記のような業務は「薬剤に関するインシデントの減少に貢献している」と高く評価され、病棟薬剤業務実施加算の新設につながりました。この加算は2012年に新設されましたが、それまでに30年に渡る多くの病院薬剤師の頑張りにより、実現できたと言えます。
病院内薬局は、医師やコメディカルから、薬に関する様々な質問を受けます。
それは抗がん剤から栄養剤、感染予防のための消毒薬、健康食品、海外の薬についてなど多岐にわたります。
こういった質問に答えていく仕事をDI業務といいますが、これも病院薬剤師の業務で高く評価されています。
素早く正確な情報を提供することで、医師や看護師等のコメディカルの負担を大きく減らすことに貢献しています。
患者が退院する場合、薬剤師は退院カンファレンスに参加します。そこでは、退院後に起こりうる問題点などを挙げ、予防策を提案します。
また、退院後も患者が安全に服薬を継続できるよう、薬剤管理指導も行います。
がん患者に外来化学療法を行っている場合は、定期的に患者と面会し、副作用状況の把握、情報提供などを行い、患者の不安を軽減することにも貢献しています。
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