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製薬会社は、医薬品のほかにも、医療機器、健康食品、トイレタリーなど様々な製品を作っています。
しかし、ここでは市場規模として一番大きい、医薬品を中心に紹介します。
製薬会社は医薬品を製造し販売しますが、医薬品には、「モノ」としての価値と、「情報」としての価値があります。
製薬会社は「モノ」としての医薬品を医薬品卸に販売し、「情報」としての医薬品を医療機関へ提供しています。
製薬会社は研究開発の視点から従業員が多く、新薬開発には莫大な費用が必要とされるため、大規模な企業であることが多いです。
また、近年はバイオテクノロジーの発展から、その技術を応用した医薬品開発に注力している企業も増えています。
製薬産業は医療と密接に関わっており、世界的な高齢化と人口増加により医薬品の需要が高まっています。
2000年から2010年までの10年間で、世界の医薬品市場は約36兆円から約86兆円と、およそ2.4倍もの規模に成長しました。生活習慣病などの新薬発売によって、主に北米での拡大が大きく世界市場を牽引しています。
一方で、日本の医薬品市場は北米市場に次ぐ第2位維持しています。
しかし、2010年のシェアは2000年の約3分の2の11.2%です。2年に一度の薬価引き下げや、市場拡大再算定などで、世界市場から見ても日本の医薬品市場の成長は抑制されていることがわかります。
2000年 | 3628億ドル |
2010年 | 8612億ドル |
北米 | 日本 | ドイツ | フランス | イタリア | イギリス | その他 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2000年 | 43.0% | 15.9% | 4.8% | 4.6% | 3.0% | 3.1% | 25.6 |
2010年 | 38.6% | 11.2% | 4.7% | 4.5% | 3.1% | 2.4% | 35.6% |
製薬会社の使命は、医薬品を開発することで病気の治療、生命維持、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上などに貢献することです。
人類の歴史は感染症、難病との戦いでしたが、製薬会社が新薬を開発することで、多くの命が救われてきました。
20世紀において、人類を最も幸せにしたものは医薬品(特に抗生物質)であるといわれています。
現在までの製薬会社の社会貢献は
などです。
腕のいい医師がいても、医薬品がなければ治療はできません。
今後は難病といわれる悪性腫瘍やアルツハイマーなどの中枢神経系の疾患、アレルギー症状などにおいて、新たな医薬品、治療法を確立することに大きな期待をよせられています。
日本には製薬会社が約400社あり、内資系、外資系、兼業系、ジェネリック系の大きく4つにわかれています。
●内資系
kaisya
●外資系
●兼業系
●ジェネリック系
1990年代後半から外資系の再編が活発化しました。
例えば、ファイザーが2003年にファルマシアを買収し、世界一のメガファーマになったことは、記憶に新しいです。
このような外資系の再編を受けて、内資系の製薬会社の再編も活発化しました。
2000年代にM&Aが急速に進み、企業間が吸収・合併を繰り返したため、2000年代に約1400社あった日本の製薬会社は、現在では約400社ほどに激減してしまいました。
10年前から存続している企業は武田薬品工業、塩野義製薬、エーザイくらいで、多くは会社名がかわりました。
例えば
などです。
日本に製薬会社の売上規模は、世界的な企業と比べて低い水準にとどまっています。
国内最大手の武田薬品工業でさえ、世界規模ではトップ10にも入れていないのが現状です。
これは研究開発費が相対的に低いことや、世界的な新薬が少ないことなどが原因とされています。
最近では、外資系企業の国内進出や買収が活発であることから、内資系企業の国際競争力や資本強化が急務とされており、大型合併も続いています。
新薬開発と一般商品の開発との大きな違いは、開発にかかる莫大な費用と期間です。
数万とのいわれる候補から、実際に市場で発売される新薬は、ほんの一握りです。
医療のニーズを満たすような新薬は、基礎研究、臨床試験、国による承認審査という厳しいプロセスを経て、初めて患者が手にすることができます。
日本では、一つの医薬品を開発するために必要な期間は10年以上であり、その費用は約5億円といわれています。
武田薬品工業、第一三共など上位10社の平均研究開発費用は1300億円を超え、さらにすこし広げて20社平均でも約800億円にも上ります。
上位20社合計で1兆5千億円以上もかかっていることから、新薬開発がいかに莫大な費用を要するかがわかります。
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