専門薬剤師と認定薬剤師

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専門薬剤師と認定薬剤師

専門薬剤師

 

1970年代、医薬分業開始当時、薬剤師は医師の処方せんを調剤するだけの存在でした。

 

しかし時代は変わりました。

 

この40年で、医療は医学や薬学の進歩とともに高度かつ複雑化したのです。

 

医師をはじめ医療スタッフは、患者さんに最善の治療を提供するために、いろいろな職種がチームを組み、連携して治療にあたるようになりました。
いわゆるチーム医療です。

 

このチーム医療の一員として医師や看護師とともに臨床の現場に立ち、効果的な薬物治療を行うために活躍している薬剤師(臨床薬剤師)が増えています。

 

最近では、がん治療での分子標的治療薬など新たな薬剤も登場し、専門領域での最新の知識・技能が薬剤師に求められるようになってきました。

 

このようにして誕生したのが「専門薬剤師」です。

 

専門薬剤師は、各専門領域の医学や医療の知識、薬物治療の高度な知識と技能を持っている薬のプロフェッショナルです。

 

その医療の場で役立つ最新の薬学的専門情報をつねに医療スタッフに提供し、患者さんへの治療がより効果的で安全に行えるように活躍しています。

 

専門薬剤師、認定薬剤師とは?

専門薬剤師とは

 

現在、専門薬剤師として認定されているのは

 

  • がん専門薬剤師
  • 感染制御専門薬剤師
  • 精神科専門薬剤師
  • 妊娠・授乳婦専門薬剤師
  • HIV感染症専門薬剤師


などがあり、他にも専門薬剤師の名称を使ってないものの、各種の認定薬剤師制度があります。

認定薬剤師とは専門薬剤師の途上というイメージがわかりやすいです。
基本的には、認定薬剤師の上に専門薬剤師があります。

専門薬剤師を認定しているのは、主に日本病院薬剤師会です

現在、(1)がん(2)感染制御(3)精神科(4)妊婦・授乳婦(5)HIV感染症の 5 つの領域で専門薬剤師が認定されています。(がん専門薬剤師制度は平成21年11月1日より日本医療薬学会に移管)





  • がん専門薬剤師
  • 精神科専門薬剤師
  • HIV感染症専門薬剤師
専門領域の病気を深く理解し、薬の専門知識を生かすとともに、患者さんを取り巻く環境などを考慮して、安全で効果的な薬物治療を推進しています。
  • 妊婦・授乳婦専門薬剤師
妊娠・授乳期の薬に関する高度な知識と正確な情報収集技術で、母子への薬の影響を考え、医師と連携して母子の健康に貢献しています。
  • 感染制御専門薬剤師
細菌やウイルスの感染、消毒薬や抗菌薬 に対する高度な知識を持って、患者さんの安全と安心できる治療環境を提供するために幅広く活動しています。

日本病院薬剤師会ホームページより

 

すごい数がある!認定薬剤師

 

上述の専門薬剤師の他にも、さまざまな学会や認証機構(団体)が認定薬剤師制度を設けています。

 

そのため、認定薬剤師はかなりの数が存在しています。
「乱立しすぎ」「数が増えすぎて質の確保ができない」といった批判も挙がっています。

 

認定薬剤師取得を目指す場合は、こういった点も考慮しながら決めたいですね。

 

ジャンル別・疾患別 専門・認定薬剤師 一覧

 

※下記情報は、「専門・認定薬剤師ガイド2015年版 2015年 07 月号 [雑誌]: 月刊薬事 増刊」を参考にしています。
詳しくは書籍をご覧ください。

 

多領域の知識・技能
認定組織 資格名称
公益財団法人 日本薬剤師研修センター 研修認定薬剤師
一般社団法人 日本病院薬剤師会 日病薬病院薬学認定薬剤師
一般社団法人 日本医療薬学会 日本医療薬学会認定薬剤師
  日本医療薬学会指導薬剤師
一般社団法人 日本医療薬学会 薬物療法専門薬剤師
  薬物療法指導薬剤師

 

悪性腫瘍
認定組織 資格名称
一般社団法人 日本医療薬学会 がん専門薬剤師
  がん指導薬剤師
一般社団法人 日本病院薬剤師会 がん薬物療法認定薬剤師
一般社団法人 日本臨床腫瘍薬学会 外来がん治療認定薬剤師
一般社団法人 日本緩和医療薬学会 緩和薬物療法認定薬剤師

 

感染症
認定組織 資格名称
一般社団法人 日本病院薬剤師会 感染制御認定薬剤師
  感染制御専門薬剤師
一般社団法人 日本病院薬剤師会 HIV感染症薬物療法認定薬剤師
  HIV感染症専門薬剤師
公益社団法人 日本化学療法学会 抗菌化学療法認定薬剤師
ICD制度協議会 インフェクション コントロール ドクター(ICD)

 

腎疾患
認定組織 資格名称
日本腎臓病薬物療法学会 腎臓病薬物療法認定薬剤師
  腎臓病薬物療法専門薬剤師

 

内分泌・代謝疾患
認定組織 資格名称
一般社団法人 日本糖尿病療養指導士認定機構 日本糖尿病療養指導士
一般社団法人 日本骨粗鬆症学会 骨粗鬆症マネージャー

 

免疫疾患
認定組織 資格名称
公益財団法人 日本リウマチ財団 リウマチ財団登録薬剤師

 

皮膚科疾患

 

認定組織 資格名称
一般社団法人 日本褥瘡学会 日本褥瘡学会認定師(認定褥瘡薬剤師)
  日本褥瘡学会在宅褥瘡予防・管理士

 

精神科疾患
認定組織 資格名称
一般社団法人 日本病院薬剤師会 精神科薬物療法認定薬剤師
  精神科専門薬剤師

 

産科・婦人科領域
認定組織 資格名称
一般社団法人 日本病院薬剤師会 妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師
  妊婦・授乳婦専門薬剤師

 

小児科疾患
認定組織 資格名称
公益財団法人 日本薬剤師研修センター 小児薬物療法認定薬剤師

 

栄養療法
認定組織 資格名称
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会 栄養サポートチーム専門療法士(NST専門療法士)
一般社団法人 日本臨床栄養協会 NR・サプリメントアドバイザー

 

救急・中毒医療
認定組織 資格名称
一般社団法人 日本臨床救急医学会 救急認定薬剤師
一般社団法人 日本中毒学会 認定クリニカル・トキシコロジスト

 

プライマリケア・在宅医療
認定組織 資格名称
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会 プライマリ・ケア認定薬剤師
一般社団法人/とk亭非営利活動法人 日本禁煙学会 日本禁煙学会認定指導者
  日本禁煙学会認定専門指導者
一般社団法人 日本在宅薬学会 在宅療養支援認定薬剤師

 

医薬品情報・医療システム
認定組織  資格名称
一般社団法人 日本医薬品情報学会 医薬品情報専門薬剤師
一般社団法人 日本医療情報学会 医療情報技師育成部会 医療情報技師
  上級医療情報技師

 

臨床薬理・臨床試験
認定組織 資格名称
一般社団法人 日本臨床薬理学会 日本臨床薬理学会認定CRC
一般社団法人 日本臨床薬理学会 日本臨床薬理学会認定薬剤師
  日本臨床薬理学会指導薬剤師

 

漢方薬・生薬
認定組織 資格名称
公益財団法人 日本薬剤師研修センター 漢方薬・生薬認定薬剤師

 

その他
認定組織 資格名称
公益財団法人 日本アンチ・ドーピング機構(JADA) 公認スポーツファーマシスト

 

 

参考書籍:「専門・認定薬剤師ガイド2015年版 2015年 07 月号 [雑誌]: 月刊薬事 増刊」

 

 

専門薬剤師取得の難易度

テスト

 

「専門薬剤師」になるには、まず各専門領域において薬物治療の実際的な能力が必要とされる「認定薬剤師(領域別)」の認定を受けていなければなりません。

 

この資格は各専門領域での実務経験や実績、一定期間の研修や講習で知識と技能を高め、試験に合格することで認定されます。

 

その上で各専門領域の研究業績が吟味されてはじめて「専門薬剤師」と認定されます。

 

また、認定を受けた後も5年毎の資格更新が必要です。なぜ資格更新が必要かというと、日々進歩する医学、医療の進歩についていくためです。

 

専門薬剤師取得の難易度はかなり高いです。

 

下記が感染制御専門薬剤師取得の条件ですが、最低条件として病院薬剤師であることが必須です。

 

認定薬剤師までなら中小病院でも可能ですが、専門薬剤師になると研究能力のある大学病院などでないと困難であることがわかります。
専門薬剤師を目指すなら、病院へ就職をお勧めします。

 

※関連記事:未経験で病院薬剤師へ転職できるのか

 

 

感染制御認定薬剤師認定申請資格
以下の全てを満たす者は認定を申請することができる。

  • (1)日本国の薬剤師免許を有し、薬剤師として優れた見識を備えていること。
  • (2)薬剤師としての実務経験を5年以上有し、日本病院薬剤師会の会員であること。ただし、別に定める団体のいずれかの会員であればこれを満たす。
  • (3)別に定める学会のいずれかの会員であること。
  • (4)日病薬病院薬学認定薬剤師であること。ただし、日本医療薬学会認定薬剤師であればこれを満たす。
  • (5)申請時において、引き続いて3年以上、施設内の感染対策委員会または院内感染対策チームの一員(院内感染対策チームと連携しての活動を含む)として感染制御活動に従事していること(病院長あるいは施設長等の証明が必要)。
  • (6)施設内において、感染制御に貢献した業務内容及び薬剤師としての薬学的介入により実施した対策の内容を20例以上報告できること。
  • (7)日本病院薬剤師会が認定する感染制御領域の講習会、及び別に定める学会が主催する感染制御領域の講習会などを所定の単位(20時間、10単位)以上履修していること。
  • (8)病院長あるいは施設長等の推薦があること。
  • (9)日本病院薬剤師会が行う感染制御認定薬剤師認定試験に合格していること。

※ただし、平成33年度までに認定申請するものにあっては(4)は従前の認定申請資格(日本病院薬剤師会生涯研修履修認定薬剤師、薬剤師認定制度認証機構により認証された生涯研修認定制度、日本臨床薬理学会認定薬剤師)で差し支えない。

 

「別添」
感染制御認定薬剤師認定申請資格に関する事項

 

1.(2)で「別に定める団体」とは、以下の通りである。

  • 日本薬剤師会
  • 日本女性薬剤師会

2.(3)、(7)で「別に定める学会」とは、以下の通りである。

  • 日本医療薬学会
  • 日本薬学会
  • 日本臨床薬理学会
  • 日本TDM学会
  • ICD制度協議会に加盟している学会・研究会

3.(6)で「感染制御に貢献した内容」とは、以下の通りである。

  • 院内ラウンドの実施
  • 薬物血中濃度モニタリング業務への参画
  • 院内感染対策マニュアル及び抗菌薬使用ガイドラインの作成
  • 感染制御に関する各種サーベイランスへの参加 等

4.(7)で「日本病院薬剤師会が認定する感染制御領域の講習会」とは、以下の機関または団体が実施する講習会である。

  • 厚生労働省・都道府県
  • 日本病院薬剤師会
  • 日本病院薬剤師会が実施する e ラーニング
  • 各都道府県病院薬剤師会(ブロック開催も含む)

 

一般財団法人 日本病院薬剤師会 ホームページ、https://www.jshp.or.jp/senmon/contents/kansen-01.pdf、2016/5/21閲覧

 

感染制御専門薬剤師認定申請資格
以下の全てを満たす者は認定を申請することができる。

  • 申請時において、感染制御認定薬剤師あるいはICD制度協議会が認定するインフェクションコントロールドクター(以下「ICD」という。)の資格を有している者であり、かつ、ICD制度協議会に加盟している学会・研究会のいずれかの会員であること。
  • 日本医療薬学会、日本薬学会、日本臨床薬理学会、日本TDM学会、ICD制度協議会に加盟している学会・研究会、日本薬剤師会学術大会、関連する国際学会あるいは日本病院薬剤師会ブロック学術大会において感染制御領域に関する学会発表が3回以上(うち、少なくとも1回は発表者)、複数査読制のある国際的あるいは全国的な学会誌・学術雑誌に感染制御領域に関する学術論文が2編以上(うち、少なくとも1編は筆頭著者)の全てを満たしていること。
  • 病院長あるいは施設長等の推薦があること。
  • 日本病院薬剤師会が行う感染制御専門薬剤師認定試験に合格していること。
  • 一般財団法人 日本病院薬剤師会 ホームページ、https://www.jshp.or.jp/senmon/senmon2-3.pdf、2016/5/21閲覧

 

 

他職種からの専門薬剤師の評価

 

専門薬剤師は他職種から非常に信頼される存在です。

 

とくに、がん専門薬剤師は、医師から一目置かれる存在といっても過言ではないでしょう。

 

専門薬剤師によって医師の負担が軽減され、薬物治療の効果を上げ、副作用を抑えることができるので、医療チームの中で高い評価を得ることができます。

 

専門薬剤師は転職、収入に有利か

 

病院に転職するのであれば、専門薬剤師は評価されると思います。

 

しかし、それは転職が有利になるというだけで、収入に反映されるわけではありません。

 

現在の専門薬剤師は名誉職という意味合いが強く、なかなか収入増につながらないのが問題ではあります。

 

ただ、今後は臨床経験豊富な専門薬剤師が、大学で教鞭を執る時代が来ると思います。臨床薬剤師の必要性が叫ばれている今、現在の大学では、実務経験のある教授が不足しているからです。

 

現在は実利的なリターンが望めなくても、将来的には様々なキャリアが期待できます。

 

 

 

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