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2016年7月31日に、第1回薬剤師生涯学習達成度確認試験が実施されました。
みなさんは受験されましたか?
私は本来「資格試験なんて」と斜に構えるタイプです。
試験や資格よりも実務経験のほうがダンゼン大事と信じている人間です。
しかし、薬剤師生涯学習達成度確認試験は「薬剤師の評価基準の一つ」として将来的に重要視されるのではないか、と噂される試験です。
2016年の調剤報酬改訂で注目されている「かかりつけ薬剤師」の認定に関わるのではないか、とも言われているのです。
記念すべき第1回の統一試験。
その内容はどうゆうものだったのでしょうか。
取材目的もあり、管理人の私はこっそり受験しました。
薬剤師生涯学習達成度確認試験は、2016年7月31日に初めて実施された試験です。
「薬剤師の生涯学習のさらなる進展を図るため」という目的を掲げており、
の5団体が主催しています。
薬剤師生涯学習達成度確認試験は、「試験の真の目的」が未知数の部分が多いです。
がん専門薬剤師のように診療報酬に貢献できるわけでもなく、現状は分かりやすいメリットはありません。
「自分の能力の現状を知る」ための確認試験、という意味合いが強いです。
ただ、2016年の診療報酬改定で「かかりつけ薬剤師」が新設されたことを受けて、今後は「薬剤師の資質」がさらに問われる時代になるはずです。
認定薬剤師、専門薬剤師の取得は薬剤師の評価基準の一つとなりえますが、数が増えすぎて乱立気味は否めません。
「すべての薬剤師の一定の評価基準」を満たすようなシステムは、現状無いわけです。
そのため、薬剤師生涯学習達成度確認試験は「薬剤師の能力を担保する基準」として、今後影響力を持ちそうです。
午前2時間(10:00〜12:00)、午後2時間(13:00〜15:00)で50問ずつ問題を解きます。
マークシート方式で、5つくらいの選択肢から正解を選びます。
「間違っているものを2つ選べ」という形式が多かったです。
つまり1つでも間違えればダメなわけです。
消去法が使えないため、薬剤師国家試験より正解を選ぶのは難しいと感じました。
ただ、時間は十分足りると感じました。
開始から35分経過すれば途中退出可能です(しかし、一度退出すると再入室できません)。
なお、問題文は持ち帰ることができませんでした。
全体の印象は「些末な知識より、オーソドックスな知識を問う問題が多かった」というものでした。
など、薬剤師国家試験のようなイメージを受けました。
臨床でないと出会わないような問題は、少なかったと思います。
糖尿病、気管支喘息、高脂血症、リウマチなどメジャーな疾患と、薬物治療の関係を問う問題もありました。
専門医しか知りえないようなものではなく、各学会が発行しているガイドランに書かれているような内容です。
患者情報(生活習慣、検査値、嗜好性など)があって、それに対する最適な薬剤は何か?薬剤性有害事象の原因と考えられる薬は何か?
という、実際の臨床現場で遭遇するような問題もありました。
高齢者など腎機能が低下している場合に、問題となる薬は何か? もっとも最適な薬は何か?という、薬の肝代謝、腎排泄の知識がないと解けない問題もありました。
薬物間相互作用も重要な論点の一つでした。
CYP3A4に強く影響する薬など、臨床でよく注意しなければいけない相互作用に関するものもありました。
3〜5行程度の英文を読み、()内に当てはまる英単語を選ぶ形式の問題もありました。
ただ、高度な知識が問われるものばかりでなく、英文の意味がだいたい読めれば解けるものもありました。
薬剤師は薬の薬理作用や物理化学的特性には詳しいですが、臨床で用いられる薬物治療には弱いとされてきました。
例えば、「この疾患でこうゆう状況の場合、ファーストチョイスは何なのか」という質問に答えられるか、ということです。
もちろん処方を決めるのは医師です。
しかし、高齢化で多剤併用が一般的である現代の薬物治療は、常に「ポリファーマシー」の問題が潜んでいます。
市場にあるすべての薬の相互作用を予測することは医師だけでは不可能であり、薬物治療の安全性を確保するためのアドバイザーとしての薬剤師が求めれているわけです。
処方通りに調剤するだけでなく、患者や医師にとって価値ある処方提案を実践できる薬剤師を育てたい――そういう思いを、試験内容から強く感じました。
日本薬剤師会は、薬剤師生涯学習達成度確認試験の内容について「日本医療薬学会の認定薬剤師試験に準する内容」と発表しています。
日本医療薬学会ホームページに模擬試験、参考書籍が紹介されています。まず確認しておきたいですね。
上記でも紹介した通り、今回の試験は「有名な疾患の薬物治療に関するガイドライン」に関する内容が多かったように感じました。
そのため、高血圧、糖尿病、心不全など各学会が発表しているガイドラインを読んでおくのも、試験の役にたつと思います。
ガイドラインは、インターネット上のPDFファイルや出版物として読むことができます。
ただ、医学の領域は膨大であり、すべてのガイドラインをしっかり読むことはかなり困難です。
「今日の治療指針 」など、疾患に関する治療法が簡潔にまとめられている書籍を読みポイントをつかむのも良い学習方法だと思います。
薬剤師生涯学習達成度確認試験は範囲が膨大すぎて、「問題集をやれば好成績がとれる」ようなものではありません。
一朝一夕で間に合うようなものではなく、日々の学習の積み重ねが結果に現れる内容です。
実務で遭遇した疾患や問題についてきちんと調べるなど、基礎的な学習をこつこつ続けることが大切かと思いました。
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