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これからの「調剤薬局」のあり方を考える
日本にある調剤薬局の多くは「調剤を行うためだけ」に存在していると言っても過言ではありません。
隣接する医療機関から処方箋を受け、ひたすら調剤して患者さんに素早く渡す。非常にシンプルなビジネスモデルです。
1990年代から院外処方箋が急増し、それに対応することで調剤薬局チェーンは莫大な利益を得てきました。ひたすら「処方箋に依存」することで、会社を成長させてきたのです。
しかし、近年、調剤バブルともいえる状況に終わりがみえはじめています。
院外処方箋の頭打ち、調剤薬局の飽和に伴う処方箋獲得競争の激化によって、経営環境は除々に苦しくなっているのです。
これまで20年間続けてきた「処方箋のみに依存するビジネスモデル」では、薬局経営はいずれ立ち行かなくなる・・・多くの経営者は危機感を感じています。
そもそも、なぜ処方箋に依存することに問題があるのでしょうか。
どうしたら処方箋依存から脱却し、新しいビジネスを構築することができるのでしょうか。
ほとんどの薬剤師は当然知っていることですが、新人薬剤師や学生さんのために、「調剤薬局のビジネスモデル」について説明します。
「ビジネスモデル」というと大げさに感じますが、調剤薬局にもビジネスモデルはあります。
それは「とにかく処方箋を集める!」という方法です…
これ以上ないってくらい、シンプルかつ分かりやすいですね。
医療機関に隣接して、発行される処方箋を一手に引き受ける調剤薬局は「門前薬局」と呼ばれます。
門前薬局は、院外処方箋が急増し始めた1990年代から急増しました。
当時は政府が医薬分業を推進すべく、調剤報酬をどんどん手厚くしていた時です。
薬価差益でも莫大な収益が得られる時代でもありました。
これに目をつけた経営者は、医師とのコネクションを作り、どんどん門前薬局を設置していきました。
処方箋を増やせば増やすほど儲かる時代だったのです。
時代は変わり、最近では「面分業薬局」が増えつつあります。
周辺地域の医療機関から少しずつ処方箋を集める調剤薬局のことですね。
これはスギ薬局やココカラファインなど大手ドラッグストアが積極的に取り入れている形態です。
今や、調剤薬局が設置されているドラッグストアは珍しくありません。
門前薬局の経営の生命線は立地です。とにかく医療機関に一番違い土地を押さえることがすべてと言っても過言ではないでしょう。
対して、面分業薬局は、集客力が大事です。
隣接する門前薬局をさけて、わざわざ処方せんを持ってきてもらうには、それだけのメリットが必要です。
などですね。
つまり、上記のようなサービスを提供するためには、豊富な品揃えと高いサービスで集客できる大手ドラッグストアが圧倒的に有利なわけです。
もちろん、個人経営の調剤薬局には、在宅医療に積極的に参加することで、特定の医療機関に依存せず処方箋を集めているところもあります。
ただ、在宅医療は普通の薬剤師にはまだまだハードルが高く、経営も不安定になりがちです。
上記で説明した門前薬局は、収益の90%以上を隣接する医療機関からの処方箋に頼っています。
しかし、今やこのビジネスモデルはかなり苦戦を強いられるようになっています。1990年代から鉄板だった経営戦略が通用しなくなってきているわけです。
なぜ「処方箋依存の経営」はマズイのでしょうか。
まず、大きな理由の一つとして「門前薬局の調剤報酬の適正化」があります。
「いままで門前薬局は儲けすぎだったから、これからは厳しくします」という流れになってきているわけです。
2016年の調剤報酬改定で、調剤基本料と基準調剤加算が大きく変わりました。
(※参考記事:専門薬剤師、認定薬剤師はキャリアアップになる?転職に役立つのか)
特定の医療機関から大量に処方箋を受ければ受けるほど、調剤基本料が低くなるシステムになったのです。
処方箋の単価は「薬価差益」と「技術料」から成ります。技術料は、薬剤師の調剤や服薬指導など「薬剤師の専門的技術」に対する報酬です。
そして、この技術料の基礎となるのが調剤基本料です。
「調剤基本料1(41点)」と「基準調剤加算(32点)※調剤基本料1を算定している薬局のみ算定可」の両方が加算できる薬局と、
「調剤基本料3(20点)」しか算定できない薬局では、処方箋受付1回につき53点もの差が生じることなります。
4000回/月の薬局なら212,000点の減算です。つまり約200万円/月もの収入減となるのです。
門前薬局を複数展開する薬局チェーンなら、会社規模での減収額はかなりのものでしょう。
国が本格的に門前薬局を狙い撃ちにしてきたという印象があります。
処方箋調剤は、実はとても儲かるビジネスです。
処方箋1枚あたりの調剤報酬は、診療科によって幅がありますが4,000〜8,000円ほどです。総合病院や大学病院だと、10,000円を超えることも珍しくありません。
これだけ高単価の商品は、OTC医薬品でも珍しいでしょう。
大手薬局チェーンの処方箋獲得競争が激化するのも当然と言えます。
しかし、数年後には日本の人口は減少に転じます。
それとともに、処方箋枚数も減少していくので、さらに競争が激化することが予想されます。
門前薬局の最大のリスクは、収益のほぼすべてを隣接する医療機関に依存していることです。
つまり、医療機関が倒産したり、院長が倒れるなどして経営できなくなると、共倒れになる可能性大です。
数店舗しかない地方の調剤薬局チェーンや個人薬局だと、会社そのものの存続にも関わります。
処方箋のみに頼るビジネスモデルは、「処方箋枚数が正義」ということです。
とにかく処方箋を集めなければ収益を上げられないため、行き着くところは「処方箋枚数至上主義」です。
経営者は基本的に儲けたいので「処方箋枚数を重視するのは当たり前だ」と言うでしょう。
しかし、医療機関としての価値を提供しなければならない調剤薬局が、処方箋枚数獲得だけを目標にするのはどうでしょうか。
患者さんや他の医療従事者は、こういった調剤薬局(薬剤師)をどう評価するでしょうか。
「薬を渡しているだけなのに、調剤薬局の薬剤師に技術料を払うのはおかしい」という意見が出るのも当然の結果です。
結局、利益重視、処方箋枚数至上主義でやってきた調剤薬局のあり方が、現在の「薬剤師批判」を生んでいるわけです。自業自得と言えるでしょう。
処方せん枚数をひたすら求める経営スタイルは、やはり弊害があると思います。
まず、店舗の薬剤師数に対して処方せん枚数が増えすぎると、明らかに患者サービスが低下します。
処方せんをさばくのに精一杯で、とても患者さんとじっくり話す時間はありません。
何十人も待たせた状態で1人の患者さんと話し込めば、クレームが出るのは当たり前です。
2016年に新設された「かかりつけ薬剤師指導料」などから分かるように、調剤報酬は薬剤師の技術に対してフィーを与える流れになっています。
しかし、こういった加算を算定するには、ある程度患者さんにじっくり向き合う時間が必要です。
調剤をこなすのに精一杯では、とても算定要件を満たせるものではありません。無理に算定しようとすれば、薬局の業務が回らなくなります。
朝から晩まで時間に追われながら調剤する日常は、想像以上に消耗します。
薬剤師は「早くしろ」という患者さんのプレッシャーと、調剤過誤のプレッシャーの両方に耐えているわけです。
モチベーションが落ちるのも仕方ありません。
処方せん枚数至上主義は、薬剤師に「調剤を早く正確にこなす」ことを強います。
患者さんは待たされることを嫌うので、クレームを回避するためにも、とにかくスピードを挙げなければなりません。
調剤のスピードと正確性が上がるほど、処方せん枚数が増えて、会社は儲かります。
しかし、薬剤師の承認欲求は満たされるでしょうか。
マシンのように「早く・間違えない」ことをだけを求められる仕事に、やりがいを見いだせるのでしょうか。
ハードワーク、承認欲求の満たされない職場は離職率が上昇します。
薬剤師が辞めていく会社はさらに労働環境が悪化するので、さらに社員に負担を強います。
そしてさらに薬剤師が辞めていくという悪循環・・・
もちろん、今後も調剤薬局にとって、処方箋調剤は重要な業務であり続けるでしょう。
門前薬局というスタイルは、新規の企業にとってありがたいものです。
安定収入が得られるので、収支予想がたてやすいわけです。最初の一店舗目で絶対失敗できない経営者にとって、信頼できる医療機関との関係は必ず必要です。
しかし、上記のように処方箋依存の薬局経営はやはり
といった理由で閉塞感が漂います。
それでは、どうしたら処方箋依存から脱することができるのでしょうか。
それは、単純な話「処方箋以外の商売で儲ける」しかないです。
今まで95%を処方箋調剤に依存していた収益モデルから、処方箋からの収益を70%程度にし、残りの30%は違うビジネスで稼ぐ、ということです。
「待つ」ビジネスから「稼ぎにいく」ビジネスに少しずつシフトしていくわけです。
「そんなことは無理だ」と言う方もいるでしょう。
しかし、全国の薬局をみていると、すでにそういった動きがありますね。
実際に、どのような方法があるのでしょうか。
最もオーソドックスな方法としては「OTC医薬品の販売」があります。
体調を崩して来店してきたお客さまに、最適な市販薬をお勧めします。
OTCの販売はドラッグストアの専売特許のようになっていて、調剤薬局で購入することは珍しいかもしれません。
ただ、戦前の薬局は、患者さんからに体調を聞いて、最適な薬を勧めることが当たり前でした。むしろ、これが本来の薬局のスタイルであったわけです。
個人薬局など小さな薬局がOTC医薬品の販売で稼ぐなら、やはり専門性とサービスがカギだと思います。
なぜなら、価格では大手ドラッグストアに勝てないからです。
ドラッグストアチェーンは、一度に大量の商品を仕入れることで仕入れ値を下げ、売価も下げることができます。
薄利多売で十分な収益を上がることができるわけです。
そのため、小規模薬局は、訪れる患者さんに「価格以外の価値」を提供できないと、なかなか固定客を得ることはできないでしょう。
つまり、丁寧な接客や、信頼される人間性、頼りになる専門知識などですね。
ただ、門前薬局だとOTCを売ることに躊躇するケースもあります。
例えば、門前の医療機関の医師がアレルギーの専門医である場合、薬局で抗アレルギー剤を売るのはやはり気まずいです。
処方医にしてみれば「おいおい、俺の病院の横で何売ってんだよ」となりますよね。
病院のお客様を奪っているわけで、トラブルの原因にもなりえます。
特定の医療機関に依存することは、こういった問題も発生する可能性があります。
そう考えると、OTC医薬品の販売は、門前薬局よりも面分業薬局のほうが相性が良さそうです。
戦前は国民皆保険制度が無かったので、当然「調剤薬局」もありませんでした。
その代わりに、薬局の薬剤師は地域住民からの幅広い相談に答え、生活全般のアドバイスをしていました。「街の科学者」として頼られる存在だったわけです。
現在でも、医療機関の少ない地方や過疎地域では、地域住民に熱烈に支持される薬局があったりします。
そういった薬局は、OTC医薬品以外にも健康食品や生活用品全般を扱うことで薬局経営を行っています。
また、オシャレな薬局だと、自社製品の香水やコーヒー、お茶などを販売しているところもあります。
医薬分業開始当時は、調剤薬局は調剤だけの機能のために設計されることが一般的でした。
しかし、現在は調剤薬局が急増し、総合病院前など立地のよい場所は競争が激化しています。
そのため、各社は「異業種とコラボした調剤薬局」で差別化を図る傾向があります。
もっとも一般的な形態は「調剤併設型ドラッグストア」ですね。これは、ウォルマートなどで有名な米国のドラッグストアを参考して作られたシステムです。
最近では、喫茶店、本屋などに併設するなど、さらにパターンが増えています。大手調剤チェーンのクオールは、ビックカメラ店内に調剤薬局を設置していたりしますね。
ドライブスルー薬局もありますし、そのうちマックと提携する薬局が登場するかもしれません。
長々と書いてきましたが、実は私がこの記事で一番書きたかったのはこれです。
「薬局が自社のサイトを運営し、その広告費で稼ぐ」というビジネスモデルがあれば、今までにない可能性が生まれると考えています。
「サイト」はインターネット上にあるウェブサイトのことです。
サイトは情報発信のために主にテキストで構成されています。現在は、多くの企業が自社の宣伝のため、魅力的なサイトを持っていますよね。
ウェブサイトと似たものに「ブログ」があります。
普段インターネットはほとんど見ないという人でも、名前くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。
ブログもサイトのようにインターネット上に情報を発信するものなので、ほぼ同じものとして良いです。
ブログは「情報発信」のために使われるものですが、情報発信するのはタレントなど有名人だけではありません。
アメーバブログ、ライブドアブログなどの無料ブログに書き込む一般人も増えています。
ブログは趣味の一つとして楽しむものと考える人が大多数です。
しかし、やり方によっては十分な収益を生むビジネスにできるのです。
実際に当サイト「薬剤師の仕事研究室」は、広告収入でマネタイズしています。
管理人1人で運営しているウェブサイトですが、個人にとっては十分な収益が出ています。そこからサイトの維持費、ライターさんへの報酬などを得ているわけです。
単純な話、「サイト運営を会社ぐるみでやれば、かなり儲かるのではないか」と思ってます。
では、薬局がどうやって自社サイトを持ち、どう収益化するのか?
薬局が自社サイトを持つことにどんなメリットがあるのでしょうか。
これは長くなるので、また別の記事で。
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