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もしあなたの上司が尊敬できる人だったら、それはとても幸運なことです。
なぜなら、尊敬できる上司は、とても少ないからです。
尊敬できる上司がいれば、教えを乞うことができますし、何よりモチベーション維持を助けてくれます。
薬剤師として転職を考えた場合、どこの企業で働くかとうことは重要ですが、「誰と働くか」ということも非常に重要だと思います。
もし、給与面など多少劣っても、希望する職場に尊敬できる先輩や社長がいたら真剣に検討してみてはどうでしょうか。
ここでは、尊敬できる薬剤師の特徴を挙げてみます。
薬剤師の求められる仕事は幅広いですが、
尊敬できる薬剤師は自分の専門について正確な知識をきちんと持っています。
薬剤師に求められる知識は膨大なので、学んでもすぐに忘れてしまいます。
優秀な薬剤師はきちんとメモをとったり、それを分類して整理するなど、情報を管理する能力が高いです。
大学で薬学を学び、薬剤師国家試験に合格しただけでは仕事はできません。実務経験を積むことにより、やっと現場で通用する薬剤師になれます。
薬剤師は現在でもまだまだ不足しているので、実務経験がなくても採用されやすいですが、豊富な実務経験のある薬剤師と新米の薬剤師では、圧倒的な実力の差があります。
一般的な調剤業務は5年もあれば一通り習得できますが、処方提案、チーム医療の中での貢献など高次元の仕事は、知識だけで通用するものではありません。
失敗したり恥をかいたり、現場で苦労した経験なしでは、患者のみならず他の医療従事者にも頼りにされる薬剤師になることはできません。
実務経験が豊富であることに通じますが、尊敬できる上司は部下より働くものです。
これは意外と重要なポイントです。
優秀な経営者の条件に「指揮官先頭」という言葉がありますが、これは「誰よりも働く上司に部下はついてくる」ということです。
部下は上司のことをちゃんと見ているものです。
厳しい上司で無理めの課題を与えてくるような人でも、「この人は誰よりも働く」と認められていれば、部下はついてくるものです。
やはり、言動一致している人は信用できます。
逆に、口では上手いことを言いながら楽をしようとする上司は、必ず見抜かれます。
「患者さまが第一だ」と叫んでいても、忙しいときに患者を適当に扱ったり、店長室でスマホで遊んでいるような人は尊敬されません。
専門にだけ詳しい人は、仕事はできても、話していてあまり面白いものではありません。
「専門バカ」と揶揄されたりするのは、会話の広がりがないからです。
実は人間的魅力というものは、その人の専門外にあるのではないかと思います。
経済や歴史、文学などの教養、スポーツなどの趣味も楽しんでいる薬剤師は、何気ない会話の中でも含蓄のある話をするので、患者さんに好かれることが多いです。
これからの薬剤師は調剤依存から脱却し、患者さんの薬物治療に深く関わるような仕事を求められていますが、ここで必要となるのはコミュニケーション能力です。
コミュニケーション能力というと「話が上手い」など饒舌な人をイメージしますが、実は、「聞き上手」であるということです。
患者が話し終わるまで辛抱強く耳を傾け、言いたいことを理解し要約してあげる。そうすることにより、患者さんは「話を聞いてくれた」と満足するものです。
また、コミュニケーション能力が高い人は、正しい敬語(日本語)を話すことができます。
薬剤師の仕事は高齢者など目上の人を相手にすることが多いので、正しい日本語を話すことによって、患者さんの信頼を得ることができます。
医療人として無くてはならない資質です。
しかし、人間は自分がかわいいので、いつも患者さん本位で行動することはとても難しいものです。
もし「患者さんの役に立つことが生きがいだ」と思っている人がいたら、すばらしい人格者だと思います。
優れたマネージャーは、仕事を自分で抱え込まず、部下を使って上手に回すものです。
仕事を自分のところで停滞させてしまう人は、優秀な上司とは言えません。
そこで大事なのは、「仕事の優先順位をわかっているか」ということです。
仕事は同時並行で進行しているのが常なので、「どれを先にやるべきか」がわかってないと、効率よく仕事を終わらせることができません。
尊敬できる薬剤師は、自分の能力をちゃんと把握しています。
「分からないこと」「できないこと」は素直に認め、きちんと調べることができます。
そのほうが患者さんにとってもありがたいはずです。
また、優秀な薬剤師は「調べる方法」を豊富に知っています。
添付文書、インタビューフォーム、PubMedなど論文を調べるサイトで情報を精査し、きちんとした情報を提供することができます。
逆にダメな薬剤師はメンツばかりにこだわるので、自分の知識がないことを認めることができません。
適当に対応したり、うやむやにしようとするので、結果、患者さんに迷惑をかけることになります。
尊敬できる薬剤師は、コンスタントに勉強しています。
書籍を買って読んだり、薬剤師会、学会などに積極的に参加し、人脈を作るとともに、新しい知識の習得に励みます。
学習のモチベーションを維持することはとても難しいですが、デキる薬剤師は勉強を続けるための仕組みを作ることが上手いです。
例えば、毎週決まった日に勉強会を行ったり、ローテーションで講師を務めるなど、モチベーションを維持するための仕組みを作っています。
また、学んだ知識を実務で活かすことも、デキる薬剤師は積極的に行っています。
アインシュタインの名言にもありますが、知識は経験が伴わなければ、ただの情報に過ぎません。
実務で活用することにより、初めて価値を持つのです。
「学び」をアウトプットすることは患者さんの利益になりますが、同時に本人の学習を深めるきっかけにもなります。
「学ぶ」→「使う」→「知識を定着させる」というサイクルを回すことにより、薬剤師としてのスキルが向上していきます。
私は若い頃に仕事で悩んでいたとき、先輩に「薬剤師の役割は何か?」と議論を吹っかけることをしていました。
やっかいな後輩だと思われていたに違いありませんが、納得する回答を教えてくれる人は少なかったです。
しかし、腑に落ちる回答をした人がいました。
女性の薬剤師で、在宅患者の褥瘡治療のパイオニアとして有名な方でした。
その人は「薬の適正使用です」と即答しました。薬剤師の仕事はすべてそれにつながっていると……。
優秀な薬剤師は、自分なりの「薬剤師の役割」を持っていて、その理想に辿りつこうと努力しています。
薬局の大半の業務を占める調剤は、5年くらいでひと通り習得できてしまうものです。
そうなると、惰性で仕事をしてもやっていけるようになります。
しかし、優秀な薬剤師は常に成長しようと努力しています。
通常業務から、さらに「一歩踏み込む」ことにより、より深い仕事ができるようになります。
良い仕事が生きがいなので、苦労をいとわず、挑戦を続けます。
完璧な人間はいませんから、尊敬できる人にも欠点はあります。なるべく長所に目を向け学んでいきたいものです。
私は「仕事のデキる薬剤師」に何人も出会いました。
彼らに共通していることは「自分を磨くことを継続している」ことでした。
自分から積極的に行動して体験したり、学んだりすることなしに、誰もが認める薬剤師になることはできません。
優秀な薬剤師になる上で、環境はとても大事です。
モチベーションの高い人に囲まれて仕事をすれば、自分も自然とモチベーションが上がるものです。
ですから、あなたが現在の仕事に不満があるなら、思い切って外に飛び出してみることも必要だと思います。
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