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病院か? 薬局か?
薬剤師のみなさんは、明確に目標を持って就職活動をしていましたか?
「私は将来こんな仕事がしたい」「この業界に就職したい」というはっきりとした意思を持っていたでしょうか?
「薬剤師になろう」と決めた薬剤師の進路は、大きく3つに分かれます。
「ドラッグストア」「調剤薬局」「病院」ですね。
製薬メーカーの学術やMR、大学院を経ての研究者は基本的には薬剤師免許を使いませんので、「薬剤師」というカテゴリーには分類しづらいですが…
薬学生の憧れる仕事はやはり病院薬剤師です。
「病院は医療の最先端」というイメージがありますし、白衣を着て颯爽と歩いたり、医師とディスカッションする姿を想像する人もいるでしょう。
一方、最近では調剤薬局やドラッグストアを目指す薬剤師も増えています。
一般的に病院より給料が良いですし、住宅補助など福利厚生も充実しています。
病院よりも地域に開かれたイメージがあるので、「地域医療に貢献したい」という高い志を持った学生さんが就職を希望しています。
ところで私はというと、恥ずかしながら明確な目標もなく就職を決めてしまいました。
新卒で就職したのはドラッグストアです。大学院進学を直前で辞めた私は、国家試験が終わっても進路が決まってなかったのです。
ふと、手元にあった新聞の折り込みチラシを見て、「給料も良いし家賃もタダ。こりゃいいわ」とあっさりと決めてしまいました。
「薬剤師さん募集!」と書かれた番号にその場で電話し、翌日面接して就職しました。私ほど適当な薬剤師はめったにいないでしょう(笑)。
しかし、30歳を過ぎてから病院に転職し、紆余曲折を経て今思うことは一つです。
「新卒から病院に就職しておけばよかった!」
これしかありません。
もし、薬学生のあなたが「病院に就職したいけどきびしそう…」と迷っていたり、薬剤師のあなたが「病院に転職したいけど生活苦しいかな…」と迷っているのなら、私は迷わず背中を押します。
「一度は病院薬剤師を経験してみてください!」
なぜ、薬剤師には病院薬剤師の経験が必要だと思うのか。
これからそれを説明します。
関連記事:病院薬剤師の年収と労働環境は?将来はどうなる?現役薬剤師が解説
私が病院薬剤師をオススメする理由は一つです。
それは「医師・看護師と一緒に仕事ができるから」です。
「当たり前だろ」と思われますか?
しかし、この経験があるのと無いのでは大違い。医療や薬物治療の見方がかなり変わってくるのです。
「医療」とはどのタイミングで発生するものでしょうか?
それは医師が「この人は治療が必要である」と診断した時です。
つまり、医療を発生させるのは医師であり、ここがすべての始まりです。
医師が医療を発生させ、「外科治療」「薬物治療」「栄養の管理」など医療の具体的な方向性を組み立てます。
一方、医療において看護師の存在は無くてはなりません。
医師の組み立てた医療の元、実際のケアを行うのは看護師なのです。
法的にも、看護師は「医師の手足」となって働くような位置付けにあります。
少し語弊のある表現ですが、現代医療は複雑であり、医師だけですべての医療行為を行うことは不可能です。「医師の指示通り」に仕事をする人が必要となります。
ただ、最近では「専門看護師」など特定の分野で高い専門性を持つ看護師も活躍するようになりました。
医師と対等な立場で意見交換を行い、医療に貢献している看護師もいます。
医療のツートップは医師と看護師です。
しかし、臨床検査技師、理学療法士など独自の専門性を発揮している人たちもいます。
私の勤めている精神科病院では、臨床心理士は重要な仕事をしています。
精神科医の指示のもと、様々な心理テストを行い、医師の診断を助けているのです。
上記のような医師を中心とする医療チームの中で、病院薬剤師に求められる役割は何でしょうか?
私は「高度なDI(Drug Information)」と「コンプライアンスを高めるための服薬指導」だと思っています。
医師は専門以外の薬物治療には疎い場合が多く、自分の弱い領域の補佐を薬剤師に求めています。
薬剤師に求められるのは、一般的なDIではなく、エビデンスに基づいた高度なDIです。
また、病棟では入院患者が正しく安全に服薬できるように、薬剤師がアドバイスしていくことが求められます。
薬効を高めたり副作用を抑えるために服用タイミングに注意が必要な薬は多いですし、インスリン注射剤、喘息治療薬の吸入剤など使用法が難しいものもあります。
看護師は薬剤師ほど薬に詳しくありませんし、患者ケアの業務が多すぎて細かいところまで見ることができません。
専門性の高い薬剤師が薬の適正使用に目を配ることは、医療安全にかかせないのです。
医療チームの中にいると、他の医療従事者が薬剤師に何を求めているのか、実感できるようになります。
関連記事:病院薬剤師の仕事とは?モノからヒトへ、変化する薬剤師の役割
一方、調剤薬局の薬剤師について考えてみます。
最近では調剤薬局を併設したドラッグストアも増えており、調剤経験のない薬剤師は珍しいでしょう。
調剤薬局の薬剤師は、基本的には処方箋通りに正しく調剤を行います。
門前薬局なら、朝から晩まで調剤の繰り返しなので、5年もすれば相当な数の処方箋を調剤することになります。
当然、市場にあるメジャーな薬について広い知識は得られるでしょう。
しかし、「処方の組み立て」に関わる機会はほぼ無いので「どうやって医師が処方を決めているのか」分かりません。
「処方せんから処方意図を読み取る」的な書籍は多数出版されているので、そういったもので勉強する方法もあります。
ただ、書籍はあくまでスタンダードなものであり、医師によっては独自の理論で処方を組み立てる人もいます。
日本は処方に対する縛りが米国ほどしっかりしてないので、ほぼ自由に処方できるのです。
私も薬局時代に、処方意図を勉強するため様々な書籍を読みました。
しかし、結局分かったような分からないような状況で、あまり進歩はありませんでした…
その後、精神科に勤めるようになり、実際に医師からアドバイスを求められるようになりました。
適当なことは言えないので、必死で調べますよね。
そうやって実地で処方設計に関わっていくと、身に付き方がまったく違います。
適当なことを言って医師に怒られたり、カンファレンスで恥をかいたりすると、知識が血肉となっていきます。
結局、いくら書籍で知識を得ても、情報は情報でしかないのです。
アインシュタインの言うように、知識は実践しなければただの情報です。
インターネットで自転車の乗り方を学習しても、実際に運転するトレーニングをしなければ乗れるようにならないのと同じです。
医療機関で働く人は、調剤薬局の薬剤師をどう見ているでしょうか。
最近では調剤薬局の薬剤師も医療従事者として認知されてきました。
しかし、処方元からすれば、やはり「部外者」という認識でしょう。
総合病院の門前薬局として10年以上存続している薬局があるとします。
病院の医師と様々な取り決めをして、問題なく調剤業務を行い、ある程度の信頼を得ているとしましょう。
しかし、病院側は調剤薬局の薬剤師を「別の会社の人」と認識しています。
院外調剤とは、外来患者の調剤をアウトソーシングしているようなものです。つまり、他社に仕事の一部を任せているわけです。
そのため、私の勤めている病院の看護師は、門前薬局の薬剤師がカルテを見ることを嫌がります。
「部外者に個人情報をみせてもいいのかな?」という不安があるというのです。
調剤薬局の薬剤師はこのような立場に置かれているので、患者情報を得るのがなかなか大変です。
処方せんと患者アンケートぐらいしか、情報源がありません。
これで「医療チームの一員」と言えるのでしょうか。
病院薬剤師の経験は、たとえ調剤薬局に転職しても必ず活きてきます。
なぜなら「医療が病院から地域へシフトしているから」です。
これから日本が迎える社会は超高齢化社会です。病院のベッド数不足、人的リソース不足などに直面するでしょう。
そのため政府は、なるべく入院期間を減らし、地域で医療を完結できるような構造を実現しようとしています。
そういった状況の中、薬局の薬剤師にも医療チームの一員としての期待が高まっています。
すでに多くの薬局チェーンは「在宅医療」に参入しており、医師・看護師を中心とする在宅チームにおいて、薬局薬剤師に期待される役割も増えています。
つまり、今まで病院で行ってきた医療を地域で行おうとしているわけです。
近い将来、薬局の薬剤師にも病院薬剤師のような役割、立ち位置が求められる時代がくるはずです。
薬局薬剤師にも医療チームの一員としての役割を求められるようになった時、調剤だけの経験ではたして貢献できるでしょうか?
その時、医療現場で働いた経験は必ず役にたつはずです。
給料、待遇など仕事選びには様々な選択肢がありますが、10年後、20年後の将来を見つめてキャリアを選びましょう。
病院薬剤師の年収については「病院薬剤師の年収と労働環境」で詳しく説明しています。
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