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薬剤師は国民からどう思われているんだろう……
薬剤師なら一度は考えたことがあるでしょう。
私は欧米の薬剤師と較べて、日本の薬剤師の地位はかなり低いと思っています。
そもそも社会的地位とは、その職業の責任、重要性、信頼性に付随するものです
。
つまりその仕事の評価とも言い換えることができるでしょう。
医師の社会的地位が高いのは、一人前になるまでに長い時間を要し、命という人間にとって最も大切なものを扱う仕事であるからです。
医師の判断が患者の人生を左右することもあり、責任が非常に重い。だからその対価として高い報酬と社会的地位を得ているわけです。
対して、薬剤師はどうでしょうか。
薬剤師の仕事は、その職場がどこであれ「薬の適正使用」を目的とするといえるのではないでしょうか。
特に処方せん医薬品の中には作用が強いものもあり、服用量を間違えたり正しく服用しなければ命に関わることもあります。
非常に残念ですが、毎年数件は薬剤師のミスで患者さんが死亡するケースが報告されています。
そう考えると薬剤師も大きな責任を負っているわけですから、社会的地位は高くても良さそうですが、日本の薬剤師は事情が違うのです。
医師と較べて社会的地位は低く、給料は1/3ほどです……
ここでは、欧米の薬剤師事情を踏まえて、日本の薬剤師の認知度がなぜ低いかを説明します。
日本の薬剤師について考える前に、まず欧米の薬剤師について知るべきです。
なぜなら、アメリカやフランスなど欧米諸国の薬剤師は、社会的に非常に高い評価を受けているからです。
薬剤師免許取得の難易度にしても、仕事の裁量権、年収にしても、日本と比べ物になりません。
むしろ、欧米諸国の薬剤師制度がグローバルスタンダードであり、日本の薬剤師制度は非常に特殊といえます。
なぜ、海外の薬剤師の地位は高いのでしょうか。
病院で働き始めて特に強く意識したことは、日本の医療は医師がほぼすべての決定権を持っているということです。
医師が患者を診断し、治療方針を決定したところで医療は発生します。
そこから患者の食事や入浴を補助したり、運動療法を施したり、薬剤を投与するまでに、看護師、理学療法士、薬剤師などコメディカルと言われる医師以外の医療者が関わります。
しかし、患者に対して何をするにも、まず医師の許可をもらわなければなりません。
例えば、ジェネリック医薬品に変更したり、嚥下が悪い方のために錠剤を粉砕したり、コンプライアンスを向上させるため一包化したり……どれをするにも医師の許可が必要です。
それが日本の医療なのです。
しかし、欧米諸国の薬剤師は、薬剤師自身の決定権が格段に大きいです。
以下に例をあげます。
CDTMは医師が診断し、その診断を前提として長期にわたる慢性疾患の薬物療法を薬剤師が管理するものです。
慢性疾患の内容は州によって異なりますが、慢性心臓疾患、高血圧、糖尿病、血栓塞栓症、心不全、喘息、予防接種などが対象となっています。
病院薬剤師が中心に担っていますが、地域の薬局においても緊急避妊、禁煙、旅行医学(伝染病の予防接種)、予防注射などが実施されています。
CDTM先進国の米国では、1970年代にカリフォルニア州、ワシントン州で始まり、現在では47の州で採用されています。
CDTMでは、処方の開始や修正、中止、検査依頼、アウトカム評価などが薬剤師に任され、結果として薬剤師に補助的な処方の権限が与えられています。
薬剤師の投与計画や患者とのやりとり、指導は契約を結んでいる主治医のカルテに記載され、共有されます。
なぜ薬剤師がこのように治療に参加できるかというと、薬剤師は薬物間の相互作用、薬と疾患の関係、薬物動態、多剤併用療法等に関する知識・技能があると認められているからです。
薬剤師の参加により、薬に関する問題点を管理し、医療費用の削減、医療ミスの減少、治療結果の向上などに貢献できると考えられています。
リフィル処方せんは欧米にあって日本にない制度です。
リフィルはrefill re(もう一度) fill(満たす) つまり何度でも使える処方せんのことです。
慢性疾患など比較的症状が落ち着いている患者の処方せんは、一度処方してもらったら次回からは医療機関を受診すること無しで、薬局で調剤してもらうことが可能です。
薬剤師は患者のカウンセリングを通して、同じ薬を投与可能か判断します。
しかし無制限にリフィルが使用可能というわけではなく、麻薬は不可、精神安定剤は回数制限があります。
メリットは、病院に行く手間が省け、医療費の削減が期待できることです。医師は症状が安定している患者は薬剤師にまかせることで、業務を軽減することができます。
デメリットは、患者が長期間医師の診察を受けないことで、体調変化などの発見が遅れるということです。
リフィル処方箋は日本でも導入が検討されていますが、再診料が収益となっている医療機関(医師会)の反発もあり、容易ではありません。
日本でリフィル処方せんが実現するかどうかは、薬剤師が患者の状態を把握できるまで職能を高めることができるか、信頼を得ることができるかにかかっています。
米国の場合、日本とは医薬品や医療機器に対する制度に違いがあります。
例えば、日本では医療用医薬品として販売されている医薬品が、米国ではOTC医薬品として手にとれる棚に置いてあったりします。
また、患者が持参した処方せん内容によっては、その患者の加入している保険でカバーされない処方薬もあります。
しかし、その処方薬のジェネリック医薬品が店舗内のOTC医薬品の棚にあれば、患者の加入している保険でOTC医薬品もカバーされているため、そのジェネリック医薬品を選択することもできます。
また一般的に、米国のOTC医薬品は、複数の医薬品の配合剤ではなく、単一の薬剤なので、相互作用もわかりやすく、組み合わせやすいという特徴もあります。
テクニシャンは調剤助手のことで、欧米の薬局では調剤業務のほとんどをテクニシャンが行います。
テクニシャンがいることで、薬剤師は患者ケア、医師との薬物治療の共同作業に注力することができます。
この制度も日本で導入が検討中ですが、一部の中小薬局が反対するなどで合意には至っていません。
私が留学していたカナダでは、テクニシャンが増えすぎたことで薬剤師の職場が減少していることを抗議するデモ行進が、大々的に行われていました。
テクニシャンが増えれば、調剤薬局チェーンなどの経営者はなるべく人件費の安いテクニシャンを使い、人件費の高い薬剤師は極力減らすようになるからです。
カナダのテクニシャンは約8ヶ月、専門学校で学べは資格を取得することができますが、薬剤師は大学を出てインターンで研修を積むなど長い時間と資金が必要です。
その分、平均年収も8万ドル(約800万)と高給であり、会社経営者はなるべく薬剤師の人件費を抑えたいわけです。
日本でテクニシャン制度が導入されれば、まず同じような現象が起こるでしょう。その時、生き残れる薬剤師であるためには、何が必要なのでしょうか?
私は約半年間、カナダのドラッグストアで働いた経験があります。
カナダで薬剤師はpharmacistと呼ばれ、とても信頼される専門職とみなされています。
カナダでは毎年、信頼できる専門職のランキングを行っていますが、薬剤師は約30年間トップ3にランクインされます。
私が滞在していたときに読んだフリーペーパーには、1位薬剤師、2位外科医、3位牧師、4位兵士、5位教師、と書かれていたことを覚えています。3位と4位はいかにもカナダですね。
薬剤師が信頼される理由を上げてみます。
欧米諸国の国民は、「情報と安全はタダではない」という考えを持っています。
価値のある情報と安全には、相応の対価を払わなければならないことを理解しています。
兵士が信頼される職業の上位にランクされているのは、日本との大きな違いでしょう。
また、欧米諸国は医療費が非常に高いです。
アメリカでは医療費の問題は、破産する理由のトップ3にいつもランクインされます。
医師や弁護士などに相談すれば数分で高い報酬を払わなければなりません。
しかし、薬局やドラッグストアの薬剤師は、いつでもアクセス可能で長時間、無料で相談にのってくれます。これが薬剤師が非常に高く評価される理由です。
欧米諸国の薬剤師事情を説明した後で、日本の薬剤師の現状を説明します
日本の医療の権限は、ほぼすべて医師にあります。
企業に例えれば医師が社長で、コメディカル(看護師、薬剤師、放射線技師、ソーシャルワーカーなど医療スタッフ)が従業員というところでしょうか。
医療を発生させるのは医師ですが、指示が医師からトップダウンで降りてきて、それをコメディカルが行うという図式です。
コメディカルとして行う業務も、何かと医師の許可が必要です。薬剤師で言えば、錠剤の粉砕、一包化、ジェネリック変更などです。剤形変更は薬剤師の判断でできるようになりましたが、まだ細かい規制があります。
つまり、薬剤師独自で決定できることが少ないということです。
職業の社会的地位とは、相応の責任を伴うはずです。
最終的には「医師に聞いてください」という仕事では、社会的に認められるはずはありません。
医薬分業に700年の歴史がある欧米では、薬剤師免許を取得するまでに長い期間と資金を必要としています。
アメリカでは4年制大学を出てから薬学部に入学し、インターンを経てやっと薬剤師になるため、薬学生の平均年齢が30歳近いこともしばしばです。
免許取得までに大変な労力がかかるのですが、相応のリターンも期待できるため(平均年収は1000万円を超える)、学生のモチベーションは非常に高く、よく勉強します。
日本の薬学部は最近やっと6年制になりましたが、現役薬剤師の多くは4年制卒です。
一昔前の薬学部はあまり勉強を必要とせず、比較的自由にキャンパスライフをエンジョイすることができました。
4年間たいして勉強しなくても、国家試験前に3ヶ月くらい過去問をやれば国家試験をクリアできることがほとんどでした。
また1970年代から始まった医薬分業推進により調剤薬局が爆発的に増え、薬剤師を必要とする企業が増えました。
それによりたいした学識、経験がなくても免許さえあれば就職できることがほとんどだったのです。
競争を必要とされない環境で自らを律して、勉強していくことは大変なことです。
厳しいセレクションを勝ち抜いた欧米の薬剤師と、そのスキルやモチベーションは比べるまでもないでしょう。
しかし、2014年の薬剤師国家試験は合格率が60%代と過去最低でした。
6年制になり相応の勉強を強いられる時代が到来したとも考えられますが、増えすぎた薬科大学のため薬剤師の増加を防ぐことが目的とも考えられます。
いずれにせよ薬剤師にも競争社会が到来したわけですが、優秀な薬剤師を養成するにはよいことだと思います。
日本は欧米と較べて安全な国です。私は海外で生活してみて強く感じました。
街は綺麗だし、レストランは清掃が行き届いていてサービスも丁寧。夜間に出歩いても路地裏で拳銃を突きつけられるようなことは滅多に遭遇しません。素晴らしい国です。
しかし、その恵まれた環境が、国民の安全に対する意識を低下させているとはいえないでしょうか。
本来、安全や情報にはコストがかかるものなのです。それを無料で手に入ると思っている日本国民は、薬剤師の情報に対して価値を見い出せません。
私が調剤薬局で勤務していたとき、服薬指導をしようとすると「いいから早く薬をくれ」という患者さんもよくいました。これこそ、安全、情報に価値を感じてない典型でしょう。
薬を飲むことは、常にリスクと隣合わせです。
よく「副作用のない薬はないか」と聞かれますが、副作用のない薬などありません。食品でもアレルギーが起こるのですから、化学物質である薬を飲むことがノーリスクであるはずがないのです。
薬にはリスクがあることを理解している欧米人達は、薬剤師の情報を価値あるものと考え、有効利用しようとします。正しい飲み方や副作用の知識があれば、リスクを最小限にすることができるからです。
しかし、薬にリスクがあることも理解していない多くの日本人は、薬局でも待ち時間を嫌い、薬剤師から情報を得ようとしません。平和ぼけしている、とも言えるのではないでしょうか。
日本は欧米と違い、第二次世界大戦を除いて侵略された歴史がほとんどありません。移民も少なく、日本人だけで国家を形成していることが一つの原因ではないでしょうか。
私が留学していたカナダは200種類以上の移民から成る国家です。アメリカやヨーロッパにも沢山の移民がいます。
異なる言葉、習慣、アイデンティティーを持った人間が集まった国は、コミュニケーション一つをとっても様々な問題が生じます。
生活を快適にしたり、身の安全を確保するためには、正しい情報を得ることが非常に重要になります。
例えば、カナダのドラッグストアで売られているOTC医薬品をフィリピン、ベトナムなどのアジア人が服用すると、副作用が発生しやすくなることを、現地でよく聞きました。
欧米人よりアジア人のほうが体格が小さいため、当然体表面積も小さく、通常量では薬が効き過ぎていることが一つの原因です。
こういった情報を得られるかどうかも、移民の国で生活するには重要なのです。
日本は平和な国であるため、国民は安全と情報は無料で手に入ると思っています。
この意識格差は、そう簡単に解消できるものではないと思っています。
薬学部6年制になっても、薬剤師を取り巻く環境は大きくかわったとは思えません。
相変わらず、日本の薬剤師は中途半端なままなのでしょうか。
いや、薬剤師一人一人の意識が変われば行動が変わり、それはやがて大きなうねりとなるでしょう。
「薬剤師の地位向上のためには、薬剤師個人のスキルアップが必要だ」
それが現在の仕事でできるのなら問題ありませんが、現状に悩んでいる人も多いと思います。
「このまま同じ仕事を続けていて大丈夫だろうか…」
「スキルアップしている実感がない」
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現状維持に甘んじていては、仕事にあぶれるどころか、薬剤師の存在価値まで問われてしまう、そのような危機的状況がすぐそこまで迫っているのを感じました。
では、どうしたらよいのでしょうか。
結局、自分で考え、行動するしかないと思います。
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