急性心不全に用いられる薬〜血管拡張薬と強心薬〜

急性心不全に用いられる薬〜血管拡張薬と強心薬〜

急性心不全に用いられる薬〜血管拡張薬と強心薬〜

通常、心不全の治療は、急性心不全と慢性心不全に分けて考えられます。

 

急性心不全は急激に心機能が低下している状態なので、命に関わります。
そのため、薬物治療は救命が最優先となります。

 

クリニカルシナリオに従った治療選択

 

急性心不全の初期治療では、クリニカルシナリオ(CS)に従った治療選択が推奨されています。

 

クリニカルシナリオ(CS)

 

急性心不全の初期収縮期血圧を参考に、その病態を把握して速やかに治療を開始するアプローチ法。

 

急性心不全治療ガイドライン(2011年改訂版)、2013/9/20更新版、p15 、http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2011_izumi_h.pdf、2016/4/30閲覧

 

クリニカルシナリオ
入院早期における急性心不全患者の管理アルゴリズム(クリニカルシナリオ)
急性心不全治療ガイドライン(2011年改訂版)、2013/9/20更新版、p15 、http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2011_izumi_h.pdf、2016/4/30閲覧

 

 

クリニカルシナリオは主に収縮期血圧によって治療法が分けられています。
収縮期血圧が高い場合は血管拡張薬(硝酸薬など)、低い場合は強心薬(カテコールアミン製剤など)が静注されることが多いです。

 

ただし、血圧値のみから治療方針を決定してはならない、とされています。
また、クリニカルシナリオは明確なエビデンスが確立されているものではなく、今後のデータの蓄積が求められています。

 

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急性心不全で静注される血管拡張薬

 

CS1(収縮期血圧>140mmHg)やCS2(収縮期血圧>100〜140mmHg)のように収縮期血圧が保たれている患者には、血管拡張薬を投与するケースが多いです。

 

血管拡張薬(静注)には

  • 硝酸薬(ニトログリセリン(商品名:ニトログリセリン、ニトロペン)、硝酸イソソルビド(商品名:ニトロール)
  • カルペリチド(商品名:ハンプ)
  • ニコランジル(商品名:シグマート)

があります。

 

血管拡張薬は、後負荷(心臓から血液が押し出される時に心臓にかかる負荷)を軽減することで、急性心不全の症状である呼吸困難を軽減する効果があります。

 

急性心不全で静注される強心薬

 

CS3(収縮期血圧が100mmHg以下)のように血圧が保たれていない場合は、強心薬を投与して血圧を上昇させます。

 

強心薬の持続投与は心筋障害を起こすため、予後を悪化させるとされています。
しかし、ショック状態では救命治療が最優先されるため、躊躇せず投与しなければなりません。

 

急性心不全に用いられる強心薬(静注薬)

ジギタリス製剤
一般名 商品名
ジゴキシン ジゴシン
デスラノシド ジギラノゲン

 

カテコールアミン製剤・類似物
一般名 商品名
ドパミン塩酸塩 イノバン
ドブタミン塩酸塩 ドブトレックス
イソプレナリン塩酸塩 プロタノール
ノルアドレナリン ノルアドレナリン
コルホルシンダロパート塩酸塩 アデール
ブクラデシンナトリウム アクトシン

 

ホスホジエステラーゼ(PDE)V阻害薬
一般名 商品名
ミルリノン ミルリーラ
オルプリノン塩酸塩水和物 コアテック

 

カテコールアミン

急性増悪持に使われる注射薬はカテコールアミンです。
カテコールアミンは急性心不全、慢性心不全の急性増悪の治療に不可欠です。

 

よく使われる薬剤にはイノバン(ドパミン塩酸塩)、ドブトレックス(ドブタミン塩酸塩)があります。

 

イノバン、ドブトレックスは、

  • 心拍数をあまり増加させない
  • 不整脈が起こりにくい

という点で、広く使われています。

 

イノバン(ドパミン塩酸塩)

 

急性心不全の第一選択薬であり、「急性心不全の切り札」と言われています。

 

他のカテコールアミン(エピネフリン、ノルエピネフリン、ドブタミン)と比較して

  • 心拍数をあまり上昇させずに心拍出量を増大させることができる
  • 腎血流を増加させるので十分な尿量が確保できる

という利点があるからです。

 

さらにドパミン塩酸塩は、低用量から高用量で薬理作用に違いがあります。

  • ドパミン低用量(点滴速度0.5〜2μg/kg/分)では、D1受容体刺激作用により、腎、冠血管を拡張させて血液量が増えます。結果、利尿作用がおこります。
  • ドパミン中容量(点滴速度2〜5μg/kg/分)では、β1受容体刺激作用により心筋収縮力増大、心拍数増加がおこります。
  • ドパミン大量投与(点滴速度15μg/kg/min以上)になると、α1作用が最優位となり、すべての血管が収縮することで血圧が上昇します。

 

関連記事

ドパミンとドパミン受容体の種類
カテコールアミン

 

ドブトレックス(ドブタミン塩酸塩)

ドブタミン塩酸塩も強い強心薬として有名です。

 

ドブタミン塩酸塩はβ1作用が中心です。ドパミン受容体刺激作用がない点が、ドパミン塩酸塩との違いと言えます。

 

ドブタミン塩酸塩はドパミン塩酸塩と比較して

  • 末梢血管収縮がないため、血圧上昇作用が弱い
  • 心拍数が増加しにくい
  • 利尿作用はない

という特徴があります。

 

ドパミンとドブタミンの併用療法

上記のようなドパミン塩酸塩とドパミン塩酸塩の違いから、
ドパミン塩酸塩とドパミン塩酸塩を併用することで、副作用を抑えつつ急性心不全の治療効果を高めることができます。

 

ドパミンとドブタミンの併用療法

 

「低用量ドパミン(点滴速度1〜5μg/kg/分):中用量ドブタミン(点滴速度5〜10μg/kg/分)比=1:1〜2」 として併用すると、
ドパミンの利尿作用とドブタミンの強心作用が生かされることなどから、単独よりも副作用を少なくし心不全の治療効果を上げることができる

 

浦部晶夫ら、今日の治療薬2015版、南江堂、2015/1/25、p629

 

カテコールアミンは不整脈に注意

カテコールアミンの長期投与は、不整脈による突然死が増加します。

 

そのため、短期間に限って使い、安定したら他剤に切り替えることが適切とされています。

 

ホスホジエステラーゼ(PDE)V阻害薬は他剤で効果がない場合に使用する

ホスホジエステラーゼ(PDE)V阻害薬は、心筋にあるPDEVを選択的に阻害することでcAMPを増加させ、強心作用を示します。

 

ホスホジエステラーゼ(PDE)V阻害薬は心筋収縮力を強くするとともに、血管拡張作用も強いことが特徴です。

 

心不全の急性期で他剤が効果不十分の時に使われますが、不整脈の発生に注意が必要です。

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