心筋梗塞とは?狭心症とどう違うの?

心筋梗塞と聞くと、「命に関わる危険な病気」というイメージを持つ方が多いでしょう。
しかも、癌のようにある程度の時間的余裕があるものではなく、すぐに処置をしないと急死してしまうという認識もあります。

 

それでは、心筋梗塞はなぜ危険なのでしょうか。

 

それは、心筋梗塞とは心臓の筋肉細胞に酸素や栄養素を供給している血管(冠動脈血管)が完全に閉塞するか、かなり狭くなってしまい、心筋に血液が行き届かなくなってしまう症状だからです。

 

心臓に血液が届かなくなれば、心筋は栄養が足りなくなり壊死してしまいます。壊死した心筋はもはや心臓としての役割を担うことができません。

 

つまり、心筋梗塞とは、血液が不足することにより心筋が壊死し、心臓としての機能が停止してしまう病状といえます。

 

 

心筋梗塞は以下のように分類されます。

急性心筋梗塞(AMI)発症から3日以内
亜急性心筋梗塞 発症から30日以内
陳旧性心筋梗塞 発症から30日以上

 

急性心筋梗塞は、命に関わる心筋梗塞が発症し、すぐに治療にしないと急死してしまう、緊急を要するものです。

 

心筋梗塞は、通常、急性期である急性心筋梗塞のことを示します。

 

 

急性期はとにかく命を救うための緊急処置が最優先となります。

 

ショック状態、不整脈、血栓、低血圧、痛みなど多様な症状を示すので、対応を間違えると死につながる厳しい状況といえます。

 

一方、陳旧性心筋梗塞は、急性期の状況を脱し自覚症状や血行状態が安定化した状態です。心臓の状態が比較的安定してきた状態なので、外来で治療していくことになります。

 

しかし安定したといっても治療をしなければ、心臓の状態はどんどん悪くなっていきます。

 

心筋梗塞後の死亡原因は、再発、心不全、不整脈の3つと言われます。この3つを防ぐために、適切な薬物治療を行っていかなければなりません。

 

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心筋梗塞の原因

 

なぜ心筋梗塞が発症するのかというと、何らかの原因により血管が狭くなり、冠動脈の血流量が著しく減少してしまうからです。

 

その原因は主に動脈硬化と言われています。

 

動脈硬化
動脈硬化はいくつかに分類されますが、動脈硬化といえばアテローム性動脈硬化を指すことが多いです。

 

アテローム性動脈硬化は、簡単に言えば血管内膜に粥状の塊のようなものができてしまう症状といえます。

 

これは、加齢や体質はもちろんのこと、脂質異常症、糖尿病、高血圧などの慢性疾患が原因となるといわれています。また、喫煙も危険因子の1つと言われています。

 

血管内にできた塊は始めは小さいのですが、マクロファージやコレステロールの影響で除々に大きくなっていきます。これがついに破裂したり、血栓を形成したりすると冠動脈を完全に閉塞してしまうことになり、心筋梗塞が発症してしまうのです。

 

ただ、心筋梗塞の原因は必ずしも動脈硬化によるとは限りません。
動脈硬化が軽度でも、ここに血管が痙攣して狭くなることで発症することもあります。

 

また、動脈硬化は男性の病気というイメージが強いですが、女性の場合、冠動脈に異常がなくても心筋梗塞が起こるケースがあるそうです。冠動脈ではなく心筋の内部にある微小血管で狭窄が起こることがあるのですが、これは女性ホルモンの低下が影響しているという学説もあります。

 

心筋梗塞の発病原因

 

  • 喫煙
  • 高コレステロール血症
  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 狭心症・心筋梗塞の家族歴(遺伝)
  • 加齢(男性45歳以上、女性65歳以上)
  • ストレス
  • 肥満
  • 男性のほうがリスク高
  • 高尿酸血症
  • 透析
  • 歯周病など

 

 

狭心症と心筋梗塞の違い

 

ここで狭心症と心筋梗塞の違いを確認しておきます。

 

 

狭心症も冠動脈がなんらかの原因で狭くなり、心臓に血液が十分に供給できなくなった状態です。しかし完全に冠動脈が閉塞したわけではないので、胸痛などの発作は数分で治まるのが普通です。

 

一方、心筋梗塞は冠動脈がほぼ完全に閉塞してしまった状況です。一度発症したら安静にしていても症状が軽快することはありません。すぐに入院し治療を受けなければ命の危険があります。

 

つまり、狭心症は少し冠動脈が狭くなった状態であり、それが進行して完全に冠動脈が閉塞してしまうと心筋梗塞ということです。

 

狭心症と心筋梗塞の違い
  狭心症 心筋梗塞
痛む場所 前胸部

胸の中央部
左肩、腕、背中にだるさ、しびれが広がる

痛みの特徴 圧迫感、息苦しい、しめつけられる感じ 非常にはげしい痛み
痛みの持続時間 1〜3分ほどの短い発作を繰り返す 30分以上

中原保裕、処方がわかる医療薬理学、株式会社学研マーケティング、2014/10/15、p8改変

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