狭心症とは? なぜ胸が痛くなるのか

狭心症とは? なぜ胸が痛くなるのか

狭心症とは? なぜ胸が痛くなるのか

 

ドラマなどで、バスローブを着た中年の男が胸を押さえて倒れこみ、傍らの愛人が小瓶から白い錠剤を取り出して男の口に含ませてしばらくすると発作が治る、というシーンがあります。

 

映画やドラマで使われる定番ですが、あれはたぶん狭心症だろうと思います。

 

このように「胸の痛み」から連想される病気として有名なものが「狭心症」といえます。

 

では、狭心症とはどのような病気なのでしょうか。

 

狭心症は心臓の酸素需要と供給のバランスが崩れた状態

 

狭心症とは一言で言えば、「心臓の酸素需要と供給のバランスがなんらかの原因で崩れた状態」と言えます。

 

心臓が必要とする酸素が足りない――このことが原因となり、「胸の痛み・圧迫感」といった症状が発生するのです。

 

心臓に酸素が足りなくなる原因には2つあります。

 

1.冠動脈が狭窄する(狭くなる)

 

冠動脈

 

心臓には冠動脈という太い血管があります。左右2本あり、心臓の周囲を冠状に取り巻いていることから冠状動脈とも呼ばれますが、この動脈により血液が十分に心臓に送られています。

 

しかし、なんらかの原因で冠動脈が狭くなり十分に酸素が心筋に供給できなくなると、狭心症の発作がおこります。

 

冠動脈の狭窄による狭心症は糖尿病、高脂血症などの疾患、喫煙などの生活習慣がリスクとなります。それは、生活習慣病、加齢などで除々に動脈硬化が進行し、血管内にプラークが形成されるからです。
これが原因となって冠動脈が長年かかって少しずつ狭くなり、ついに虚血状態になってしまったといえます。

 

冠動脈の狭窄が原因となる狭心症には、労作性狭心症があります。

 

2.冠動脈の痙攣

 

冠動脈の痙攣(スパズム)により血流量が低下することが主な原因となる場合があります。

 

冠動脈の痙攣が原因となる狭心症に、冠攣縮(れんしゅく)性狭心症があります。

 

日本人に多い狭心症であり、深夜から早朝にかけて胸の圧迫感の発作を訴える患者は、まずこの疾患である場合が多いです。

 

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狭心症の分類

 

狭心症は発作様式により、安定狭心症と不安定狭心症に分類されます。

 

安定狭心症

 

症状が安定している狭心症です。

 

最初の症状から1ヶ月以上経過し、発作があまり出現せず、たとえ出現したとしても一定の条件化で起こることから発作の予測がある程度できるものをいいます。

 

安定狭心症の治療は、今後も発作を起こさないよう薬物治療や生活習慣の指導が行われます。

 

安定狭心症はさらに、発作発現のメカニズムにより3種類に分類されます。

 

労作性狭心症

 

主に動脈硬化により冠動脈が狭くなることで心筋への血流が減少し、運動時に発作が起こるものです。

 

階段を登る、歩くなど通常より少し負荷がかかることで発生することもあれば、食後や寒冷時などにも悪くなることがあります。

 

発作時は安静にして心筋の酸素需要を減らすことにより発作を抑えますが、症状がよくならない場合はニトログリセリンの舌下投与を行います。

 

症状が安定している症状の治療は、β遮断薬が主となります。

 

安静時狭心症(冠攣縮性狭心症)

 

冠動脈が痙攣することで心筋への血流が減少し、発作が起こるものです。

 

日本人に多い狭心症であり、突然死の可能性もある疾患であるため長期的な薬物治療、禁煙など生活習慣の改善が必要です。

 

安静時狭心症は、深夜から明け方にかけて起こることが多いく、胸部圧迫感が主な症状です。

 

発作時は労作性狭心症と同じくニトログリセリンの舌下投与を行います。

 

症状が安定すれば発作予防の治療になります。
硝酸イソソルビド(ニトログリセリンより効果は低いが持続時間が長い)とカルシウム拮抗薬が中心となります。特にカルシウム拮抗薬は冠攣縮性狭心症に優先的に使われる薬です。

 

なお、冠攣縮性狭心症には原則としてβ遮断薬は用いられません。

 

労作性兼安静時狭心症

 

冠動脈の狭窄と痙攣が合併しておこるものです。

 

硝酸薬、カルシウム拮抗薬、β遮断薬を効果、剤形、持続時間など考慮しながら組み合わせて治療していきます。

 

また、血栓の予防のため抗血小板薬が使用されることもあります。

 

 

不安定狭心症

 

症状が安定せず、発作の予想も困難であるものです。

 

冠動脈の病的変化による血栓形成や、冠動脈の痙攣により血流が著しく減少することで起こります。

 

発症や再発が最近であり、安静時や軽度の運動でも起こる、発作が頻発する、発作時間が20分以上である、冷や汗・吐気などの症状がさらに悪くなるなど予断を許しません。

 

急性心筋梗塞や突然死に移行しやすいものもあります。不安定狭心症から急性心筋梗塞を発症する病態は、急性冠症候群と呼ばれます。

 

不安定狭心症の治療目的は、急性心筋梗塞とその合併症(心不全、不整脈など)への移行を防ぐことです。

 

薬物治療では、冠動脈の血栓形成を予防するため、抗血小板薬、抗凝固薬の投与が検討されます。

 

また、狭心症を防ぐため硝酸薬、β遮断薬、カルシウム拮抗薬が用いられます。

 

冠動脈の狭窄など労作性狭心症が疑われる場合はβ遮断薬がメインとなりますが、冠動脈の痙攣が原因である場合はカルシウム拮抗薬が優先されます。

 

また、急性冠症候群の原因は、冠動脈プラークと言われています。

 

プラークとは動脈硬化した血管の内膜にできる塊のようなものなのですが、このプラーク内に脂質が沈着し、マクロファージなどの浸潤が強く、プラーク被膜が薄い、このような不安定なプラークはとくに危険であるとされています。

 

不安定プラークを安定化する上で重要なのは、脂質成分を減少させることです。よって、HMG-CoA還元酵素阻害薬であるスタチン系薬剤の投与が、予後改善に効果的であると言われています。

 

 

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