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商品は、倉庫に保管してあるだけでは価値がありません。
その商品が消費者に届けられ、使用されて、初めて意味を持ちます。
つまり、商品を必要とする場所へ、適正な量を届ける卸売業は、商売の中で重要な役割を担っているといえます。
医薬品卸は、医薬品を創る製薬会社と、医薬品を使う(選択する)医療機関を結ぶ役割を担います。医薬品は特約店と呼ばれる医薬品卸が流通を担うのです。
「製薬会社と医療機関を結ぶ潤滑油」とも言えるでしょう。
医薬品卸の扱う医薬品は、普通の商品と違います。それは、医薬品が「モノ」としての性質と「情報」としての性質を併せ持っているからです。
それゆえ、一般的な商品を扱う運送業者と違い、医薬品の流通を担う医薬品卸には専門性が求められます。
日本医薬品卸業連合会によると、次のように医薬品流通の特徴が定義されています。
具体的に、医薬品卸の機能は3つに分けられます。
調剤薬局や病院内薬局では、ほぼ毎日医薬品の発注が行われます。
1日で消費した医薬品を適正な量発注することは、非常に大事な業務です。なぜなら、発注ミスは医薬品の欠品をまねき、「緊急時に薬がない!」という最悪の状況になりかねないからです。
医薬品の発注は、最近ではインターネットを使用して行われることがほとんどです。パソコン上に蓄積された医薬品の発注データは、その日のうちに医薬品卸に送られます。
一方で、医薬品卸の重要な使命は、「発注された医薬品を、確実に医療機関へ届けること」です。これは簡単なようで、実はとても難しい業務です。
1万8千種類もある医薬品を、滞りなく医療機関に届けるには、非常に高度な在庫管理システムが適正に動いていなければなりません。
医薬品卸は医療機関の要求に答えられるように、製薬会社への発注量を調整しながら、在庫管理を行っています。
製薬会社から出荷された医薬品は、医薬品卸の配送センターなどに保管されます。
医薬品の中には、光や温度変化に弱いものや、麻薬・覚せい剤など法的に厳重な管理が必要なものもあるので、医薬品を適正に保管するための知識や設備を求められます。
保管された医薬品は、定期配送や至急配送など受注先の医療機関のニーズに合わせて、全国に配送されます。
(2)販売機能
医薬品卸は、医療施設ごとに医薬品の納入価を設定しています。
納入価の交渉は毎年行われ、医療機関との交渉役を担うのがMSと呼ばれる職種です。
MSとはMarketing Specialistの略で、医薬品情報を医療機関へ伝達する役割を担っていますが、その仕事内容は非常に幅広いです。
最近はどこの医療機関も経営が厳しいので、ギリギリの値下げを医薬品卸に要求する傾向が高まっています。薬局長から「納入価が高すぎる!」と何度もクレームを付けられているMSさんを見ると、本当に大変な仕事だなと思います。
MSはMRとの情報交換しながら、医薬品の適正使用情報、納期などの情報を医療機関に伝達します。
MSとMRが協力するのには理由があります。
一般的にMSは幅広い医薬品知識を持っていることが多いです。これは、医薬品卸という性質上、日々様々な医薬品を扱っているからです。
対して、MRは自社製品とその関連事項(疾患、競合製品など)に関して、深い専門知識を持っています。
つまり、MSとMRのスキルは相互に補完しあうので、販売促進を協働して行うことに利点があります。
新製品発売時などは、新規採用活動も共同して行います。
最近では、医院や保険薬局へ経営に関するコンサルティングを行う活動も増えています。
大手の医薬品卸は卸売業だけでなく、調剤薬局なども経営しています。病院や調剤薬局における集客方法や財務管理、運営方法に関して有用なノウハウを持っているので、コンサルティング業務も重要な収益の1つとなっています。
医薬品卸には、医薬品情報の提供・収集が法的に義務化されています。
情報提供の中心を担うのがMSです。
MSは一般的に、医療施設への訪問頻度がMRよりも高いために、医薬品に関する情報を伝達・収集しやすいです。
私の勤務している薬局では、ほぼ毎日挨拶に来るMSさんがいます。1日15〜20の医療機関を周り、最後に当院へ訪問しているらしいです。当然、従業員と仲良くなるので、重要な情報を得やすいといえます。
また、各医薬品卸はDIセンターを持っているので、一般的な医薬品情報に対して幅広い知識をもっています。
医薬品卸はグループに分かれ、医薬品市場の約8割のシェアを握っています。
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