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厚生省が37のモデル国立病院に対して完全分業(院外処方箋受取率70%以上)を指示した1997年以降、医薬分業は急速に進みました。
そしてもう一つ、医療業界に大きな変化がありました。
それはジェネリック医薬品の普及です。
ジェネリック医薬品(後発医薬品)
特許が切れた医薬品(先発医薬品)に対して他の製薬会社が発売する医薬品
先発医薬品と同じ成分を使っており、品質、効き目、安全性が同等と言われている。
また、製品によっては大きさや味、香り、使用感などを改良したジェネリック医薬品もある。
ジェネリック医薬品(後発医薬品)の普及率(使用割合)は平成23年(2014年)以降右肩上がりに伸び続け、平成29年(2017年)9月には65.8%まで到達しました。
診療報酬制度の改定、処方箋様式の変更など、国を上げての普及の推進の結果が出ています。
さらに、平成32年(2020年)までには80%の目標を掲げており、さらなる推進活動に力を入れています。
先進国の後発医薬品の普及率を数量ベースでみたデータです。
もともと後発医薬品のシェアの高いアメリカ、ドイツと比較して、伸びしろのある日本は2014年以降右肩上がりに上がっています。
テレビをつければ「沢井製薬」などが「患者様の負担を安くできます」などと大々的にCMしています。
たしかに、ジェネリック医薬品は患者負担を安くする有効な方法の1つですが、国がジェネリック医薬品をを普及させる本当の目的は、年々増加する国民医療費を抑制するためです。
厚生労働省によると、2011年度に病気や怪我の治療で全国の医療機関に支払われた医療費の総額(国民医療費)が、前年度比1兆1648億円増(3.1%増)の38兆5850億だったと発表しています。
国民医療費が国民所得に占める割合は11.1%であり、5年連続で過去最高です。
これは戦後、栄養状態の飛躍的な改善と医療技術の進歩により、高齢化が進んだことによって、医療費が膨らんだことが主な原因です。
さらに日本は少子高齢化が深刻であるため、養わなければならない人(高齢者)は増える、労働者は減るという負のスパイラルが止まりません。
このままでは国民皆保険制度が維持できなくなることも懸念されています。
つまり医療費抑制のためのジェネリック医薬品の普及は、国の重要な公共事業なのです。
新薬と効き目が同じとされ、開発コストがかからない分、新薬と較べて安いジェネリック医薬品。
良いことばかりに見えますが、実際には問題点も指摘されています。
ジェネリック変更を認めない医師はまだまだ多いです。
ジェネリックは患者が希望すればできるのではなく、医師の許可が必要なのです。
具体的には、処方箋の右下にある「後発医薬品不可」の欄に記名、押印があれば、その処方せんはジェネリックに変更することはできません。
ジェネリックに対して「安かろう、悪かろう」というイメージを持つ医師は多いです。
いくら国が先発品と同等であると認めていても、そのジェネリック医薬品自体には使用経験も副作用データも少ないからです。
使い慣れた先発品からジェネリックに変更し、患者の体調が悪化したり事故が発生することを心配する医師も多いでしょう。
私は以前、総合病院の門前薬局で勤務していたのですが、その病院の院長は外来向けの機関誌でジェネリックを批判する記事を書いていました。
内容は「同じ材料を使っても、一流の職人が作る饅頭は真似することはできない。それは医薬品にも言える」というものでした。
これについてみなさんはどう思いますか?
たしかに、この院長の話は一理あります。
実はジェネリックは先発品と100%同じではないのです。
ジェネリック医薬品は特許が切れた薬ですが、完全に特許が切れたわけではありません。
特許は、4つに大きく分けられます。
物質特許が切れていても製剤特許が切れてなければ、先発品と同じ添加物を加えることはできません。添加物は薬を溶けやすくしたり、安定させたりする役割があるので、添加物が違えば、薬の溶け方、吸収速度の違いがでます。
薬の溶け出す速度が違う→「薬の効きすぎる」「効果がでるのが遅くなる」
このような違いもでてくるわけです。
先発品とジェネリックで薬効の違いが顕著に出るのは外用剤です。
例えば、アンテベート軟膏、マイザー軟膏などのステロイドの塗り薬は、「基剤」に主成分が溶解されて作られています。
「基剤」とは、外用剤に主薬(ステロイド、抗生剤、保湿剤など)を溶解するもので、軟膏やクリーム、ローション、ゲルなどの違いは、この基剤によるものです。
多くの皮膚科専門医の意見や論文をみると、外用剤の先発品とジェネリックで薬効にかなりの差があることがわかります。
ある大学病院の薬剤師の研究データによると、先発品とジェネリックを比べた結果、場合によっては血中濃度に数倍の差が出ることがあるそうです。
これは、先発品とジェネリックの基剤の違いが原因であると考えられます。
以上のことから、ジェネリック医薬品は先発品と100%同じとは言えないのです。
ジェネリックに不信感を持つ患者さんは多いです。
「安かろう、悪かろう」という考えが強い日本人は、ジェネリックのほうが劣ってるというイメージを抱きがちです。
また、医師の書いた薬剤名を変更することに、不安を持つ方も多いです。
薬剤師が説明しても、「先生の書いた医薬品名と違うと不安」「薬を変えたら先生に怒られるのではないか」という患者さんは、特に高齢者に多いです。
先発品とジェネリック医薬品の説明を理解していただくのは難しいですが、ジェネリック医薬品の普及は国の公共事業として非常に重要です。
薬剤師が丁寧に説明することが大切です。
稀ですが、ジェネリック医薬品に変更したら副作用がでることはあります。
以前勤めていた薬局では、前立腺癌の患者さんの抗癌剤をジェネリックに変更したら薬疹がでてしまい、すぐに先発品に戻した経験があります。
他系統の薬でも「薬疹」がでた経験は多いですが、薬疹はアレルギー症状の一つです。
ジェネリック医薬品は先発品と較べて、有効成分は同じでも、それを錠剤にするための材料(添加物など)が違うことが多いため、その成分によりアレルギーが発生している可能性は高いです。
やはりジェネリック医薬品は先発品と100%同じとは言えず、きちんと患者さんに説明する必要があります。
塗り薬や貼り薬、点鼻薬などでは、ジェネリック医薬品は先発品と使用感が違うことがよくあります。
(例)
ジェネリックは先発品と有効成分は同じでも、添加物などが違いますから、使用感の違いは当然といえば当然です。
しかし、点鼻薬や点眼薬などは、先発品より使用感が改善されている場合もあります。
使用感の違いは使ってみないと分からないですが、長年使用してきた先発品を変更するさいは、きちんと説明することが大切です。
以上のように、ジェネリック医薬品にはまだまだ問題があります。
主成分は同じでも、それ以外の添加物、基剤などの違いにより薬効に変化が生じたり、副作用が発生したりします。そのため、医師も安易にジェネリックに変更するのを躊躇しているのです。
「ジェネリックのメリットとデメリット」が議論される中で注目されているのが、「オーソライズドジェネリック」です。
オーソライズドジェネリックとは、簡単に言えば先発品と完全に同じジェネリック医薬品のことです。主成分だけでなく、添加物、製造方法までまったく同じです。
先発品の製造メーカーがジェネリックメーカーに特許権を与えて開発しているので、先発品と完全に同じものを作ることができるのです。
最大のメリットは「先発品と同じだから安全なんですよ」と医師にアピールできること。
医師がもっとも怖れるのは「薬による副作用」。リスクがないことが一番です。
オーソライズドジェネリックは添加物や製造方法まで完全に同じなので、血中濃度の変化など生物化学的同等性も保証されています。
とくに精神科などナーバスな患者さんの場合、ジェネリックに変更するのを極端に怖がる人もいます。そういう方にもオーソライズドジェネリックは安心感があります。
オーソライズドジェネリックは、先発品の特許が切れる半年前からの独占販売が認められています。
先発品の特許が切れると、ジェネリックメーカー各社がいっせいにジェネリック医薬品を発売するため、競争が激化します。「オーソライズドジェネリックの半年間の独占販売権」は、先行販売による利益確保とシェア確保に非常に有効です。
「先発品の特許切れ」は大手製薬会社にとって死活問題です。数種類の先発品が会社の売上げの大部分を占めることも珍しくありません。大手製薬会社各社はなんとか先発品の利益を確保しようと必死なのです。
そのため、子会社であるジェネリックメーカーに製造販売権を与えることや、ジェネリック医薬品事業のための業務提携により、他社に利益を奪われるのを防いでいるのです。
例えば、代表的なオーソライズドジェネリックには以下のようなものがあります。
バルサルタンを製造している「サンド」は、ノバルティスグループのジェネリック医薬品事業部門であり、ノバルティスの子会社です。
また、「日医工サノフィ」は、日医工株式会社とサノフィ・アベンティスグループがジェネリック医薬品事業の戦略的提携に合意して作られた会社です。
オーソライズドジェネリックは患者さんや医師にとって安心できるものですが、先発医薬品メーカーにとっても非常に都合がいいのです。
ジェネリック医薬品の中には「ただ主成分が同じ」だけでなく、「製剤として工夫されているもの」もあります。
これを、アドバンスドジェネリックといいます。
アドバンスドジェネリックは、先発品の成分は同じですが、「患者さんや医療者にとってより使いやすくするため」様々な工夫がほどこされています。
例えば、
などなど、便利で面白い工夫がされています。
外用薬にもアドバンスドジェネリックはあります。
(例)
また、先発メーカーが利益を追求する上で、薬価の低下により戦力外の製品として製造を中止した薬剤を、ジェネリック医薬品が継承して販売しているものもあります。
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