調剤薬局経営者としての致命的な失敗談

経営者のミス

 

「調剤薬局経営」のリアルをお話しします。

 

 

こんにちは、私は現在一店舗の薬局経営者兼薬局長という肩書のFSJと申します。

 

この記事は私の経営者としての致命的な失敗談を基に薬局経営のリスクについて記載した内容となっています。

 

将来薬局を経営してみたいと思っている方はぜひご覧になって参考にしていただければと思います。

 

致命的な失敗が薬局経営に及ぼした影響

まず、致命的な失敗とはどの程度のことかというと、年間一千万円以上の利益がほぼゼロになる程度の失敗です。

 

総合病院の大型門前薬局や医療モール内の中規模薬局等でしたら一千万円程度でも致命的ではありませんが、私の薬局はクリニックの門前小規模薬局なので、この失敗はまさに致命的でした。

 

現在私の薬局は営業利益がほとんどなく、従業員を雇うこともできないため、今まで働いていてもらっていたパートの事務員を泣く泣く解雇し、私一人で営業している状況です。

 

薬剤師としての経歴と薬局について

ここで私の簡単な経歴と薬局について記載します。

 

薬学部を卒業後は大学院に進学し、修士課程2年卒業後、中小企業薬局二社を勤務。管理薬剤師、薬局長、エリア長といった役職を経験し、私の父が経営していた薬局を継いで現在の肩書となっています。

 

私の父はもうすぐ70歳と体力的に不安を感じていたので私に薬局を譲る形になりました。私が薬局を継いでからこの記事を書いている現在では1年が経過しています。

 

私の薬局は私自身と私の父が忙しいときにお手伝いで働く薬剤師1.5人、事務2人の体制。門前のクリニックは皮膚科で1日50枚程度の処方せん枚数でした。薬局の所在地が大通りから一本中に入った場所で、門前の皮膚科以外の処方はほとんど来ない状況で営業していました。

 

後発医薬品の割合は当時80%程度で後発医薬品調剤体制加算2を算定、基準調剤加算(今でいう地域支援体制加算)は算定できていませんでした。

 

私の父とクリニックのドクターとは20年以上の付き合いで、もともと昔ながらのOTCメインの薬局で営業していたところ、ドクターから声がかかり、クリニックと一緒に調剤薬局を始めた経緯になります。

 

調剤薬局経営者として致命的な失敗を起こした経緯

話を元に戻しまして、致命的な失敗が起きた経緯についてです。

 

経営者であれば上記薬局の状況から営業利益を上げる、または維持することを考えます。

 

平成29年12月ごろには次の診療報酬改定の予想がある程度ついていました。基準調剤加算はクリニックの門前小規模薬局で算定するのは難しいため、すぐに手を加えられるのは後発医薬品体制加算でした。

 

80%あれば処方せん一枚あたり22点取れるので十分といえるかもしれませんが、この当時の私の予想では75%以上と85%以上の2段階になると考えていました。
そして皮膚科の薬ではこの当時よく処方されていたアボコート軟膏の販売中止とタリオン錠のジェネリックの販売が控えていました。

 

この二つのことから私の薬局のジェネリックの割合は何もしない場合75%ぎりぎりのラインになることが予想できました。

 

後発医薬品調剤体制加算2を算定していた薬局が加算を算定できなくなった場合、処方せん1枚当たり220円の利益減です。年間12000枚程度の処方せん枚数だと220円×12000枚で264万円の利益減になります。

 

この金額は私の薬局のような零細薬局にはかなり痛手となります。単純に私の年収が260万円程下がるようなものですから、私がサラリーマンで働いていたとして、会社からこのような仕打ちを受けたら確実に仕事を辞めていますね。

 

このことから加算が算定できなくなる状況はどうにかして回避しなければと考えました。

 

皮膚科の処方せんはジェネリックの変更不可にチェックはついていない薬品名指定の記載と一般名処方の記載が混在したもので、ジェネリックの採用を増やせば容易にジェネリックの割合を上げられそうでした。

 

しかし一つ問題がありました。

 

薬局の採用薬品は門前のドクターの要望で決まっていたので、ドクターとのトラブルを回避するために勝手に採用薬品を変えるわけにはいけません。
そこで頃合いを見て一般名処方や変更不可でない処方薬についてジェネリックを使わせていただきたい旨をドクターに伝えました。

 

もともとヘパリン類似物質油性クリームやアボコート軟膏、オロパタジン塩酸塩錠などジェネリックを多数使っていたので、すんなり良い返事をもらえると思っていました。
また、仮に私からの要望を伝えたことで気分を害したとしても私の父親がいるのでトラブルになる可能性は少ないと考えていました。

 

しかし、ドクターは少し考えさせてほしいと言い、返事はすぐにもらえませんでした。

 

そして翌日、ドクターからの返答はNOでした。

 

そして、ジェネリック変更不可にチェックをつけるように処方せんの記載方法を変更することになったのです。

 

これは困ったと思っていましたが、数日して処方せんが全て一般名処方に変更になりました。
そしてクリニックからの連絡でAG(オーソライズドジェネリック)だったら使っても良いことになりました。
この変更のおかげでジェネリックの割合は85%を上回り、ひとまずは安心できると思いました。

 

しかし、この状況も長くは続きませんでした。

 

ある日、ドクターが私の薬局にきて言いました。

 

「ここ最近ずっと考えていたんだけど、やっぱり薬局の薬剤師が医者に対して薬を使いたいとかいうのは変だと思うのよね」

 

「薬局は医者がいなかったらやっていけないんだから、あなたはそういうことがちゃんと理解できていない」

 

「薬剤師は余計なこと言わないで医者の間違いだけチェックすればいいの」

 

こんな感じでした。

 

いやいや、二十年前とかだったらこんな感じのことを言う医者は多かったかもしれませんが、平成30年の今こんなことを言う医者がいるんだなって感じですね。
とにかく気分を害してしまったようなのでとにかく謝って反省文なんかも書きました。

 

しかし、結果はダメでした。

 

「もう一緒にやりたくないから出て行ってほしい」

 

薬局はうちの土地でしたのでドクターの発言に従う必要はありません。

 

結局、ドクターの言い分は納得できないのでお断りしました。

 

「先生の患者さんですが、薬局の患者さんでもあるので、患者さんが来局している限り薬局を閉めるわけにはいけません」

 

想定外!致命的な失敗を起こした結果

ドクターと話し合いが終わって3日後、開局後1時間ほど経過した後は患者さんが全然来なくなりました。
なんだろうなと思って薬局の外を見てみるとヘパリン類似物質油性クリームをビニール袋に直に入れた患者さんがいました。

 

周辺に私の薬局以外の薬局はありません。
これは院内調剤に切り替えたのだとすぐにわかりました。

 

そのあとは何人か処方せんをもって来局された患者さんがいましたが、次の日は1日で処方せん8枚、さらに次の日はとうとう0枚になってしまいました。

 

クリニックのすぐ隣に私の薬局がある以上、周りに他の薬局を誘致して患者さんを誘導しようとしてもなかなかうまくいかないはずなので、クリニックが院内調剤を始める可能性はもちろん考えていました。

 

しかし、調剤者を雇う人件費がかかりますし、薬を置くスペースや粉の分包、軟膏の混合などは機械や器具がないとできないため機材を買う費用もかかります。更に処方せん発行料が取れなくなるので患者さん一人当たりの単価も下がります。

 

こんなにデメリットがある以上やる可能性は低いと考えていましたが、そんなことはありませんでした。

 

おそらく調剤は今いる医療事務が担当し、粉の分包はもともとある分包品を使って対処、軟膏の混合は混合せずに別々に調剤することで対処しているようです。

 

失敗した一番の原因はコレ

原因は一言でいうとドクターがどんな性格なのかを深く考えていなかったことです。

  • 患者さんからの評判はあまり良くない。
  • 父親の話によると、昔仲良かった人と疎遠になったケースが何回かある。
  • 昔、担当卸をメディセオからアルフレッサに変えるように言われたことがあった。

など今考えると失敗を回避するヒントはあったと思います。
まずは日常会話の中でドクターがどんな考え方を持っているのか探っていく必要がありました。

 

薬局経営者を目指す方に

ドクターとマンツーマンで薬局を経営するにはリスクがあります。

 

今回の件もそうですし、万が一ドクターが病気や事故で死んでしまったりした場合も同様です。ドクターともめた場合、診療所を別の場所に移されてしまったという話も聞いたことがあります。

 

リスクを減らすには施設の調剤や複数の店舗を経営するなど門前のドクターに99%依存する状態から抜ける必要があります。リスクを減らす算段が付いていない状況で薬局を開業するのはお勧めできません。

 

また、単価が低い眼科門前薬局や後発医薬品調剤体制加算が算定できない調剤薬局では投資分を回収するのに何年もかかることがあります。

 

今現在会社にやとわれて働いているなら今の待遇と比べて経営する価値があるのか熟慮してから判断することをお勧めします。

 


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