薬剤師の価値って何だ?| 薬剤師の仕事研究室

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薬剤師の価値って何だ?

薬剤師と価値

 

薬剤師は昔から人気の職業です。

 

それは「薬剤師=高収入・安定」という世間のイメージによるところが大きいのでしょう。
現実はそうでもないのですが、日本人は「資格」が大好きです。

 

「資格を取得することが、その人間の価値を高める」と本気で思い込んでいます。

 

「薬剤師になれば一生安泰だ」

 

そう教えられた多くの学生が薬学部を目指します。

 

先行き不透明な薬剤師業界

 

ただ、今後の薬剤師業界ははっきり言って不透明です。
特に問題視されているのは調剤薬局。その存在価値が問われているのです。

 

1997年以降、国は本格的に医薬分業を推進し始めました。そのため「門前薬局」と呼ばれる、日本特有の調剤薬局が増加しました。

 

門前薬局は、隣接する病院からの処方せんを受ける調剤薬局です。

 

医薬分業開始当時は、処方せん調剤はとても儲かるビジネスでした。
粗利が高い処方せんを継続的に受けることができる門前薬局は、経営者にとって美味しいビジネスです。結果、門前薬局が爆発的に増えたのです。

 

2014年度(2014年3月〜2015年2月)の医薬分業率が68.7%に達し、国の政策は実現したかに思われました。
しかし、ここにきて「調剤薬局は儲けすぎ」と批判され始めたのです。

 

医薬分業を推進するため、国は調剤報酬を手厚くしていました。しかし、それに伴う調剤報酬の増加、患者負担増を受けて一転、今度は調剤報酬を引き下げにかかっています。

 

さらに問題視されているのは「薬剤師の価値」です。「薬剤師の仕事が高い報酬を得られるほどの価値があるのか」と問われ始めたのです。

 

私は現場で働く薬剤師なので、薬剤師は医療に必要であることを知っています。
しかし、世間の認識はどうでしょうか。
薬剤師は薬を袋に詰めるだけの人――残念ながら、こういった認識を持つ人はまだまだ多いのです。

 

病院、歯科医院、調剤薬局これらはの経営は、国民から集められた保険料から成り立っています。
当然、医療財源には限りがありますから、お互いに自分たちの業界にお金を引っ張るのに必死です。

 

医師会は「薬剤師の存在意義」を批判することで調剤報酬を減らし、診療報酬を手厚くしようとします。結局はパイの奪い合いなのです。

 

調剤報酬が減れば、当然、調剤薬局の収益も減ります。薬剤師の給料も減ることになるでしょう。

 

薬剤師は声を挙げて自らの価値を訴えないと、非常に厳しい立場に追いやられる可能性があるのです。

 

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薬剤師の価値って何?

 

それでは、「薬剤師の価値」とは何なのでしょうか。

 

「調剤だ」「服薬指導だ」と様々な意見があると思います。
調剤薬局の経営者は「薬剤師免許を持っていることが価値だ」と言うかもしれません。

 

私は、薬剤師の価値はDIである、と考えています。

 

DIとはDrug Information(医薬品情報)の略です。DIは医薬品の研究、開発、製造から使用まで、薬が関わるあらゆるところに存在します。

 

「薬の情報提供」は薬剤師の仕事の要です。

 

患者への服薬指導、処方鑑査、医師への疑義照会・・・などなど、これらはすべてDI業務です。

 

私の尊敬する「在宅褥瘡治療のパイオニア」と言われた薬剤師は、「薬剤師の仕事は薬の適正使用を守ること」と言いました。
「薬の適正使用」だって、薬を正しく使うための情報を提供するDI業務と言えるのです。

 

 

調剤は価値ある仕事?

 

調剤業務は薬剤師の独占業務です。薬剤師しか処方せん調剤は行えません。

 

そのため、調剤薬局の経営者やドラッグストアチェーンの幹部は、「薬剤師の価値は薬剤師免許だ」と考えているかもしれません。
たしかに、処方せん調剤は荒利益が高く、それを行える薬剤師は貴重であり価値があるとも言えます。

 

ただ、今後は「調剤ができる」という価値は落ちていくだろうと思います。
理由は3つあります。

 

医師会・世間からの批判

 

調剤薬局の仕事は、医師の処方せんに基いて調剤することです。

 

とにかく処方せん通りに素早く・正確に調剤して患者さんに渡す――医薬分業が本格化してから、多くの薬剤師はこれだけを行ってきました。

 

しかし、調剤報酬とは「薬剤師の技術料」に対するフィーです。
「ただ袋に薬を詰める仕事に技術料が必要なのか」「調剤報酬は薬剤師の技術レベルにおいて適正なのか」こういった批判が起こり始めているのです。

 

もちろん調剤は「ただ薬を袋に詰める」という単純作業ではありません。「処方ミス」や「薬物間相互作用」をチェックするという専門技術が必要です。

 

薬剤師の仕事は「リスクマネジメント」が中心であり、他の医療従事者、患者にとってとても解りづらい仕事なのです。

 

「自らの仕事をどうやって世間にプレゼンテーションしていくか」がこれからの薬剤師に求められています。

 

調剤の全自動化

 

「いつも調剤ばかり!」と嘆く薬剤師は生き残るでも紹介していますが、最近の調剤機器の技術進歩は素晴らしいです。
入力するだけで錠剤・散剤の調剤をすべて行ってくれる分包機もあります。

 

あと10年くらいすれば、完全に全自動で調剤を行う機械が普及するのではないかと思います。自動販売機のように、ワンタッチで薬が出てくるイメージです。

 

調剤を手動で行っていた時代は、調剤ができる薬剤師が重宝されました。

 

しかし、調剤が全自動化すれば、調剤行為そのものの価値は落ちます。必要な薬剤師の数も減るでしょう。

 

欧米諸国の状況

 

欧米諸国の先進国の薬局では、ファーマシストテクニシャンが調剤を行います。
薬剤師は調剤された薬のチェックと患者カウンセリングがメインの仕事なのです。

 

私が留学していたカナダでは、ファーマシストテクニシャンは8ヶ月ほどの専門学校に通えば取得できるものでした。

 

日本でもファーマシストテクニシャン的な職業を新設する動きはあります。
事実、登録販売者はほとんどのOTC医薬品を扱えますし、「登録販売者に調剤権を与えよう」という議論もなされたそうです。

 

以上を考えると、今後「調剤ができること」が薬剤師の価値であり続けるとは思えません。
むしろ「調剤ができるのは当たり前」で、それ以上の価値を提供できなければ、薬剤師の存在価値が問われてしまうでしょう。

 

インターネットがあるじゃないか!

 

「薬剤師の価値はDIである」という主張に、こう反論されたことがありました。

 

「インターネットがあるじゃないか」

 

今や、インターネットは私達の生活に欠かせないものになっています。スマホやパソコンがあれば、いつでも低コストでインターネットにアクセスすることができます。

 

インターネットで検索すれば、世界中の情報を得ることができます。IT業界では先輩に分からないことを質問すると「ググれカス!」と一括されるとか(笑)。
「知らないことはグーグル(ヤフー)で調べる」これが一般常識化しつつあります。

 

もちろん医薬品においても、インターネットでほぼすべての情報を得ることができます。
製薬会社のホームページ、専門家のブログ、健康情報サイト・・・などなど、どこにでも情報は落ちています。
専門知識があれば、添付文書やインタビューフォームを読んでさらに深い知識を得ることができます。

 

インターネットですべての情報にアクセスできるなら、薬剤師のDIなど必要ないのでしょうか?

 

その情報は正しいの?

 

しかし、私は「インターネットですべての情報が得られるようになった」という考えは安直であると思います。

 

新聞、書籍、ラジオなど多くのメディアの中で、インターネットの情報はもっとも信用できないと考えています。
なぜなら、インターネット上のサイトやブログは誰でも投稿可能であるからです。

 

新聞や書籍は、編集のプロが情報の信憑性を確保しています。しかし、ブログは個人がほぼ主観で記事を書いていることがほとんどなのです(このサイトのように)。

 

インターネットで情報を得る場合は、より情報を精査する能力が必要になります。専門知識や経験がないと、悪意あるサイトに騙されてしまうことだってあるのです。

 

薬剤師には、世の中に膨大にあふれる医薬品情報から正しいものを抽出して提供する能力が必要です。これは専門知識がないとできない仕事なのです。

 

情報をパッケージする

 

私はドラッグストア、調剤薬局、病院で働いてきて、様々な人と関わってきました。

 

そこで感じたのは「情報はそのまま提供しても伝わらない」ということです。

 

薬剤師が医薬品情報を提供する相手は多種多様です。

 

ドラッグストアや調剤薬局なら、お客さまや他の従業員といった人が中心となるでしょう。
病院薬剤師なら、医師、看護師・理学療法士などのコメディカルなど、医療知識を持つ人が多くなります。
製薬会社の学術であれば、その道のプロフェッショナルである専門医、大学教授、医薬品の研究者なども相手にします。

 

彼らは学識、専門知識、生活環境、価値観などすべて違います。当然求めている情報の質もまったく違います。

 

ドラッグストアの店員や患者さんに「この薬はACE阻害剤といって・・・」と専門的な情報を提供しても伝わらないわけです。
「この薬剤師はわけのわからないことを言う」と不快感に思われるかもしれません。

 

逆に、専門医に一般的な情報を提供しても満足してくれません。
医師は添付文書やインタビューフォームといったインターネットで手に入る情報を調べても分からないから、薬剤師に相談してきているわけです。

 

情報はそのまま提供しても価値を持たないことがほとんどです。
受け手にとって役立つように加工することで、初めて価値を持ちます。

 

私はこれを「情報のパッケージ化」と呼んでいます。

 

相手にとって必要な情報を選んで、加工して、最適な順番で提供する。
一つの箱にいくつかの商品をバランスよく置いて、キレイにラッピングして「これが欲しかったんですよね」と差し上げる。そんなイメージです。

 

情報を提供する職業は地位が高い

 

薬剤師は「情報」という形のないモノを提供する職業だと思います。

 

しかし、形がないだけに、受け手にとってその価値が解りづらいこともあります。

 

日本人は「情報に価値を見出さない国民性である」と言われます。
欧米諸国に比べて治安がよく、サービスもクオリティーが高いです。安全や生活に必要な情報が無料で手に入る環境なだけに、「情報にお金を払う」という意識が低いのです。

 

では、情報を提供する職業は重要でないのでしょうか。
そんなことはなく、むしろ情報を提供する職業は地位が高いことが多いです。

 

代表的な職業に、医師や弁護士があります。彼らが売っているのは、医学知識や法律の知識、という情報です。

 

また、経営コンサルタントとして年収数千万を稼ぐ人もいますが、彼らの売るものも情報です。

 

21世紀は情報が価値をもつ

 

デフレでモノが売れない日本では、もうモノは供給過多です。

 

「シンプルライフ」や「ミニマリスト」「断捨離」がブームになるように、「モノを持たずに生きたい」という人が増えているのです。

 

これからの時代に価値を持つのは情報であると思います。

 

人々の生活の質を向上させるような情報を提供できる人が評価され、高い報酬を得るのではないでしょうか。

 

薬剤師も「薬を売る」ことから「情報を売る」仕事に変わっていくはずです。

 

「受け手にとって役に立つ」情報を提供できる薬剤師になるには、実務経験が必須です。
病棟で医療従事者と話したり、患者さんと話す。店舗でお客様の悩みを聞く。その繰り返しで「人は薬の何に対して疑問を持つのか」がだんだん分かってきます。

 

また、継続的な学習も必要です。書籍を読んだり学会に参加して、最新の情報に触れることも大事です。

 

私もまだまだ未熟です。
「薬剤師なんてつまらない」なんて言わず、お互い希望をもって仕事に取り組みたいですね。

 

新しい価値を世の中に提供していきましょう。

 

 

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