「いつも調剤ばかり!」と嘆く薬剤師は生き残る

調剤する薬剤師

 

調剤だけの薬剤師で大丈夫?

 

 

ある程度経験のある薬剤師が抱きやすい不満といえば「調剤ばかり!」ではないでしょうか?

 

患者さんからの「早くしろ」という無言のプレッシャーを感じつつ、調剤ミスに若干怯えながら朝から晩まで調剤ばかりの日々……なかなかストレスの溜まるものです。

 

今までの薬剤師業務は、薬というモノだけで完結する調剤一辺倒のスタイルでした。

 

しかし、病院や在宅医療を中心に、モノだけでなくヒト(患者さん)に主体的に関わっていく医療人としての薬剤師が求められ始めました。

 

薬学部6年制というカリキュラムに相応しい、チーム医療に貢献できる薬剤師の養成が求められているのです。

 

  • 調剤だけじゃない薬剤師
  • 患者さんに寄り添う薬剤師
  • チーム医療に貢献できる薬剤師

 

大学ではこのような理想論が叫ばれ始めたため、薬学生は希望を胸に社会へ飛び立ちます。

 

しかし、すぐに現実を思い知らされます。

 

調剤しても調剤してもいっこうに仕事は減りません。患者さんに丁寧に服薬指導しようとすると「もういいから!」と怒られる。「いつまで待たせるんだ!」とクレームの声。

 

いつしか「素早く正確に調剤して渡す」だけが目的となっています。

 

調剤業務は3年もやればだいたいの流れは把握できてしまうので、マンネリ感は否めません。

 

「こんなことの毎日のために薬剤師になったのかな……」と憂鬱になる気持ちは誰でも一度は感じるものです。

 

調剤薬局は調剤ばかり

 

調剤ばかりの代表といえば調剤薬局でしょう。

 

とくに門前薬局は、隣接する医療機関の処方せんをさばくためだけに存在します。

 

総合病院なら1000〜1500品目ほどの医薬品を扱いますが、眼科や整形外科など単科だと処方される医薬品はほんの数百種類。毎日毎日同じ処方が続くことでしょう。

 

規則正しく同じ仕事をさばく日々。調剤ロボットのように感じることも。

 

ドラッグストアの併設店は?

 

ドラッグストア内に調剤薬局がある「調剤併設店」は、処方せん医薬品以外にもOTC医薬品、健康食品など様々な商品を扱います。いろんな事情を抱えたお客様が来店するので、調剤薬局よりは変化のある職場といえます。

 

ただ、隣接する医療機関から処方せんを受けている場合、ほぼ仕事は調剤一辺倒になります。
調剤だけならいいのですが、商品説明も受けなければならないため、時に過酷な職場になります。

 

ドラッグストアの薬剤師は医療というより商売人としてのスキルが求められるのです。

 

病院薬剤師も調剤ばかり

 

「医療に関わるなら病院」と病院薬剤師を希望する学生は多いです。

 

薬剤師を数十人配置している大学病院や総合病院なら、「カンファレンス」「ベットサイドでの服薬指導」「処方提案」といったチーム医療に関わることができます。

 

ただ、このような恵まれた薬剤師はごく一部です。

 

多くの中小規模の病院では、薬剤師は毎日調剤に追われています。最近は外来を門前薬局に任せる病院も増えていますが、外来も院内で調剤しているならほぼ病棟に上がる時間はないと言ってしまっていい。それくらい調剤地獄の環境である場合が多いです。

 

調剤だけやってるな!?

 

私は上記すべての職場経験があります。

 

その時、一番不満だったのは「調剤ばかりやってるな!」という上司の批判でした。

 

思い出深いのはドラッグストア時代。当時は月500枚程度の処方せんを受ける調剤併設店で管理薬剤師をしていたのですが、店長とよく衝突しました。

 

薬剤師二人で月500枚の処方せんを調剤するのは、結構大変です。

 

それで調剤室にこもって仕事をしていると、店長の機嫌が悪くなるのです。

 

「調剤室にこもってないで店舗にでてOTC医薬品を売れ」

 

しかし、薬剤師の仕事は「調剤して渡して終わり」ではないですよね。在庫の管理、薬歴書きなど雑務もたまります。

 

それを訴えても薬剤師経験のない店長には理解できないわけです。

 

「商品を売るのが仕事だろ。調剤だけやってるな」

 

処方せん調剤は粗利が高いので十分稼げる仕事なのですが「調剤、服薬指導以外にも仕事がある」ということを周りに理解してもらうのはなかなか難しいのです。

 

欧米諸国の薬剤師事情

欧米の薬剤師

 

「日本の薬剤師は調剤だけ」と揶揄されるのは、欧米諸国の薬剤師と比較されているからです。

 

アメリカやカナダの薬剤師(pharmacist)は調剤をメインで行いません。服薬指導を中心とする患者カウンセリングが主な仕事なのです。

 

また、病院薬剤師は医師に処方設計のアドバイスを行ったり投与量を決定したりと、日本では考えられないほどのスキルと権限を持っています。

 

なぜこのような状況が可能かというと「テクニシャン」がいるからです。

 

調剤業務はほぼテクニシャンと呼ばれる調剤の専門家が行います。私が留学していたカナダでもファーマシーテクニシャンは専門学校に8ヶ月ほど通って取得できる資格であり、ドラッグストアなどで重宝される存在でした。

 

薬剤師はテクニシャンをマネジメントし効率よく調剤を行うことで、カウンセリング、病棟業務といった高度な仕事に注力できるわけです。

 

欧米諸国の薬剤師業務は私達からみれば先進的です。でも、欧米諸国がグローバルスタンダードであり、むしろ日本がガラパゴス状態なのです。

 

こういった海外事情もあって、日本の薬学教育が見直され始めました。

 

しかし、薬剤師6年制などの前にやるべきことがあると思います。

 

  • 医師がすべての権限をもつ医療の構造。
  • 薬剤師が調剤一辺倒でないと、とても調剤が回らない。

 

こういった構造を変えない限り、大きな変化を起こすことは難しいでしょう。

 

調剤だけはヤバい!

 

日本の多くの薬剤師は調剤しかできません。つまり、欧米諸国のテクニシャンレベルと言えます。

 

今まではこれでもよかったのですが、将来、調剤しかできない薬剤師はかなり苦しい立場になることが予想されます。

 

それは、テクノロジーの進歩による「調剤のオートメーション化」です。

 

豊田市にあるグッド・ライフ・ファーマシーは、機械による完全自動調剤が行われている珍しい薬局です。

 

種類は限られますが、ピッキングは機械が行います。処方せんの情報が読み取られると機械のアームが伸びて錠剤、カプセル剤をピッキングして薬袋に封入します。
分包されて薬剤師のもとへ届けられるまでにたった3分。あっと言う間に調剤終了です。

 

散剤、水剤、外用剤、注射剤と一部の錠剤は人の手でないとできないようですが、これらも技術の進歩によって可能になるでしょう。

 

このような機械の出現を目にすると、調剤はすべて機械が行って、薬剤師は服薬指導するだけという未来が目に浮かびますね。

 

 

完全自動調剤から見えてくる近未来の薬局像

 

 

また、調剤機器メーカーで有名なyuyamaでは、全自動散薬分包機が発売されています。

 

全自動散剤分包機 |yuyama

 

全自動散薬分包機は多くの病院、調剤薬局に導入されています。錠剤と散剤の一包化など素早く簡単に行えます。
最近のものだと、データを入力するだけで散剤の計量から行ってくれる分包機も発売されているようです。

 

私が務めている病院でも、全自動分包機によってかなり素早く調剤が行えるようになりました。人数が少なくても割と負担なく業務が行えるようになった実感があります。

 

 

米国でも、調剤のオートメーション化に関する研究・開発は着々と進んでいます。

 

カリフォルニア大学サンフランシスコ校は、Swisslogというスイスのロジスティクス会社が製造したロボット一体以外、スタッフを一切おかない薬局を開設しました。

 

米国薬剤協会によれば、全米における人間による調剤ミスは毎年5150万件もおきていますが、このロボットは一度のミスをすることなく、200万件もの調剤を処理しています。

 

薬剤師の調合ミスは毎年5,150万件だが、アルゴリズムを通じたロボットのミスはゼロ | TRACPATH:WORKS

 

いくら暗算が早い人でも、エクセルには勝てません。
インターネットが普及して、百科事典はもはや必要ではなくなりました。

 

調剤が単純な情報処理ならば、ロボットは圧倒的に効率的で正確な仕事を行うことができます。

 

機械化が人間の仕事を奪っていく

 

テクノロジーの進歩が人から仕事を奪ってしまうことは、歴史を見ても明らかです。

 

薬剤師3人で運営していたところに全自動分包機を導入したら薬剤師1人で回せることが分かった。

 

その時、薬局経営者はどう思うでしょうか?

 

薬局経営者は薬剤師を好きで雇っているわけではありません。調剤は儲かる、だが薬剤師の人件費は高い。その葛藤の結果仕方なく雇っている部分はありますよ。

 

調剤をすべて任せられる機械が登場したとき、薬剤師として生き残るには何が必要なのでしょうか?

 

登録販売者に調剤権を与える動きも

 

2009年に新設された登録販売者は、第二類、第三類医薬品を販売することができます。もはやドラッグストアの正社員になるなら必須となっている資格であり、店長を始めとして一般社員も取得しています。

 

この登録販売者に調剤権を与えようとする動きがあります。

 

つまり登録販売者を欧米諸国のテクニシャン的な位置づけにするということですね。

 

この制度改革に賛同するのは多くの調剤薬局、ドラッグストア経営者です。登録販売者を多く雇うことで、薬剤師の人数を減らすことができます。これは大きなコストカットです。

 

この制度が実現するかは未定ですが、やはり将来的には薬剤師の人数を減らす方向にいくでしょう。調剤薬局の社員のほとんどがテクニシャンで薬剤師は1人だけ、という状況も十分想定されます。

 

薬剤師資格があれば安定という時代が終わるのは時間の問題と言えます。

 

薬剤師ならではの価値とは?

 

現在の薬剤師の仕事は、薬事法によってかろうじて守られている部分があります。
国家試験の難化も、薬剤師の需要・供給バランスをとる目的がありそうです。

 

しかし、「防御策」が崩れた時「調剤だけ」の薬剤師はかなり苦しい立場に立たされるでしょう。

 

薬剤師だからこそ提供できる価値とは何でしょうか。そのためにはどのようなスキルが必要なのか真剣に考える必要があります。

 

現状を変えたいなら?

実は私も「調剤ばかりに悩む」薬剤師でした。
それに疑問と危機感を感じていたので、思い切って転職しました。
2度の転職を経てたどり着いたのが、今の病院です。

 

病院薬剤師の魅力は、やはり他の医療従事者と関わることができること。医師や看護師から学ぶことはとても大きいです。

 

また、患者さんに身近に接することで、薬がどのように効いているかをリアルに体験することができます。
転職して良かったと思いますね。

 

転職はなかなかストレスがかかりますが、その分得るものも大きいです。
思い切って外に出てみると、視界が開けてきます。あなたも頑張ってほしいですね。

 

私が利用したのは薬剤師ナビです。

 

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現状を嘆いて環境のせいにしても、何も変わりません。

 

少しだけ、自分の意思で行動を起こしてみましょう。
小さな一歩が、その後の人生を大きく変えるきっかけになるかもしれません。

 

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