なぜ薬局の薬剤師はいろいろ聞いてくるの?

なぜ薬局の薬剤師はいろいろ聞いてくるの?

なぜ薬局の薬剤師はいろいろ聞いてくるの?必要なの?

40代女性の方からの投稿です。

 

「薬局に行ったら薬剤師からいろいろ質問された。医師と同じように症状を伝えなければならないのはいろいろと不安になる」とのことでした。

 

調剤薬局で働いている薬剤師なら、身に覚えのある話ではないでしょうか?

 

今回は投稿者様の了承を得て、全文掲載させていただきました。

 

はじめまして。40代の管理職兼、子育て、家事の女性です。

 

メイプル様の『薬剤師の仕事研究室』の「薬剤師の服務指導は必要か」を拝読しました。

 

本日、薬局の窓口にて、症状について(お医者さんにお話ししたことと同様のことを)再度お話しなければならない、しかも待っている他の患者さんの耳にも入ってしまう、ということで違和感を覚えましたので、薬剤師さんの服務指導について検索させて頂きましたところ、メイプル様の記事にたどりつき、非常に納得させて頂きました。

 

つきましては、一つ質問させて頂きたいのですが、症状やそれに基づく医師の診断を、医師(医院、病院)から薬剤師さんに直接伝えていただくわけにはいかないのでしょうか。

 

医院でもらい、薬局の窓口に提出した処方箋をよく見ませんでしたが、もしかしたら、そちらに記載されていたのかも知れませんが、患者としましては、医師、薬剤師とも、同じデータを共有していただき、診断と処方の統一をお願いしたいと思いますがいかがでしょうか。

 

患者から、医師と薬剤師それぞれに伝えなければならないというのは、面倒というのではなく、判断が2つになってしまうわけで、不安になります。

 

医師、薬剤師と双方を俯瞰できるような医療の知識のある方でしたら良いのですが、全く医学の知識の無いものとしましては、自分の症状であっても、自分の話すことが、医師と薬剤師さんに対してきちんと同じ理解を得られるかどうか自信がありません。こちらの言い方一つで、医師と違う判断になってしまうかもという不安もあります。(例えば、花粉症なのですが、多くくしゃみが出る、という事一つでも多く、というような主観的な感覚が、どのように伝わるのかわかりません。そのあたりは、実際の検査やデータを通して、医師が正確な数値として判断しているので、医師に聞いて頂くのが一番かと思うのです)。

 

本日は(秋に出ましたのは初めてでしたので、2週間ほど前に血液検査を受け)、その結果を聞きにいったのですが、薬局の窓口でも、どのような検査を受けたか、またその結果はどうであったかを、具体的に(アレルギーのもとになるものの種類は何か、いつから出始めているか、春の時とどのように違うかなど)を聞かれました。

 

処方の量や種類などの間違いなどを確認するためということもあってお尋ねになっているということも理解しましたが、そのあたりも、お医者さんと連携をとり、お医者さんから伝わっていれば、同じベースを基に判断して頂け、お医者さんの間違いに気がつきやすくなるのではないでしょうか。

 

ご回答については、特に急ぎませんし、お時間のあります時に、読んで頂きますだけでも嬉しく存じます。

 

長文にて失礼いたしました。

 

40代女性

 

 

 

貴重なご意見ありがとうございました。 

 

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ごもっともなご指摘です

 

メールを下さった方はどのような人でしょうか。

 

「40代の管理職兼、子育て、家事の女性」というプロフィールしか分かりませんが、かなり鋭い指摘ですよね。メールを読んでいて「ごもっとも!」と共感する部分が多々ありました。

 

では、一つ一つ見ていきましょう。

 

「薬剤師に症状を話すのはなぜ?」は薬局あるある

薬局の窓口にて、症状について(お医者さんにお話ししたことと同様のことを)再度お話しなければならない、しかも待っている他の患者さんの耳にも入ってしまう、ということで違和感を覚えました

 

これは調剤薬局の薬剤師なら誰でも経験するクレームですよね。薬剤師の服薬指導に違和感、拒否感を感じる患者さんは多いです。

 

担当の薬剤師は「他の患者さんの耳にも入ってしまう」ほど大きな声で話してきたわけですね。これも本当に多いクレーム。デリカシーなさすぎな薬剤師ですが、経営方針にも問題があると言わざるおえません。

 

ちゃんとした経営者なら、患者プライバシーにはかなり配慮しているはずです。薬剤師教育をきちんと行う、窓口と窓口の間に仕切を設ける、個別の部屋を用意するなど患者さんを不安にさせることはありません。

 

ちょっとモラルに欠ける薬局に遭遇してしまったのでしょうか。

 

薬剤師がいろいろ聞いてくるのがイヤ!

 

薬剤師に「今日はどうされましたか?」と聞かれたら(なんであなたに話さなければならないの…?)と感じるのは当然だと思いますよ。

 

患者さんは病院で医師に症状を詳しく話しています。医師から病状説明、生活習慣の注意事項などのアドバイスももらっているでしょう。

 

でも、「薬をもらうためだけ」に薬局へ行ったら薬剤師にまた病状を聞かれる。しかも相手は医師ではなく薬剤師。「なぜ?それ必要なの?」と思うのはあたりまえです。

 

患者から、医師と薬剤師それぞれに伝えなければならないというのは、面倒というのではなく、判断が2つになってしまうわけで、不安になります。

 

「医師と薬剤師両方に自分の病状が同じように伝わっているか心配」ということですね。投稿者様は「薬剤師に話すのが面倒」というわけではなく「自分の説明のせいで薬剤師が間違った判断をしてしまうのではないか?」と心配してくださっているわけです。

 

こんな患者さんばかりだったら、なんて私たちの仕事は楽でしょうか。

 

患者さんの中には薬剤師の質問に露骨に嫌な顔をしたり、「なぜあなたに私の話をしなければならないの?プライバシーの侵害よ!」とお怒りになる方もいます。こんな人たちに比べれば、投稿者さまは本当にありがたい患者さんです。

 

なぜ薬剤師はいろいろ聞くのか?

 

薬局の窓口でも、どのような検査を受けたか、またその結果はどうであったかを、具体的に(アレルギーのもとになるものの種類は何か、いつから出始めているか、春の時とどのように違うかなど)を聞かれました。

 

なぜ薬剤師は患者さんの情報を根堀り葉掘り聞き出そうとするのか?

 

「患者さんと仲良くなりたいから」というフレンドリーな薬剤師もいるでしょう。

 

しかし、最も大きな理由は「医師が処方した薬をこの患者が服用した場合リスクはないか?」をチェックするためです。

 

「医師は神様だ」と思っている患者さんにとって、「医師が処方ミスをする」なんてことはとても想像できないでしょう。しかし、実際はけっこうな確率でミスをするのです。

 

  • 用法用量が記載されていない
  • 規格が書かれていない

という初歩的なミスはもちろんのこと

 

  • 薬の名前ミス(ノルバスクとノルバデックスなど)
  • 用量ミス(子供に成人量が処方など)
  • ある種の疾患にダメな薬が処方されている(前立腺肥大に抗コリン薬など)
  • 腎障害、肝障害にダメな薬が処方されている
  • 副作用歴のある薬がまた処方されている

 

といった危険度の高いミスもあります。とくに「用量ミス」「禁忌薬の処方」「アレルギー歴のある薬の処方」はかなり危険です。見逃した場合、最悪患者さんの命を危険にさらすような状況も招きかねません。

 

患者さんの病歴、副作用歴、アレルギー、併用薬といった情報は病院で管理され、医師が処方する際には当然考慮されるべきです。

 

しかし、何の対応もされずそのまま危険な処方がされてしまう。なぜなのか?

 

これは病院の管理体制の問題もありますが、患者側にも原因はあります。

 

薬剤師をやってきて強く感じているのは、「患者は自分の病歴や服用している薬、副作用歴に無頓着である」ということです。「危機感がなさすぎる」ともいえます。

 

患者さん自身に「自分で自分の体は守る」という危機感がないため、病院にいってもすべてスタッフまかせ。自分から病状を詳しく説明しません。当然お薬手帳などもってなく、自分が飲んでいる薬の名前も把握できてないわけです。

 

昔、抗生物質でひどい副作用があったのに薬の名前を把握できてない(メモしていない)。糖尿病、前立腺肥大、高脂血症など治療中の病気があるのにアンケートに書かない。

 

これでは「絶対に伝えなければならない情報」が病院のスタッフに伝わらず、当然医師も把握していません。そのまま処方され、薬局で薬剤師が「禁忌薬が処方されている」ことに初めて気付く、という状況になるのです。

 

薬剤師は患者に薬が渡る間際の「最後の番人」です。ここで処方ミスが発見できなければ、患者さんに渡って終わりです。

 

だから薬剤師は

 

  • 患者さんの情報はアンケートに書かれていることで十分なのか?
  • 何か重大なリスクが放置されていないか?
  • そもそもアンケートに書かれている情報は正しいのか?(禁忌薬、併用薬の名前間違い。記憶違いなど)

 

といったことを最後にチェックするために、患者さんに嫌がられてもいろいろ聞くわけです。

 

調剤薬局の薬剤師は患者情報を得るのに苦労する

 

患者としましては、医師、薬剤師とも、同じデータを共有していただき、診断と処方の統一をお願いしたいと思いますがいかがでしょうか

 

もっともなご指摘です。これが実現できたら、薬剤師にとっては願ってもない環境でしょう。

 

しかし、調剤薬局の薬剤師が医師(カルテ)と同じ情報を常に共有することは現実的に難しいと思います。

 

調剤薬局の薬剤師が病院レベルの患者情報を得るのは非常に困難なのです。

 

現在の調剤薬局の薬剤師は

 

  • 診断名
  • 併用薬
  • 禁忌薬
  • アレルギー歴

 

こういった重要な情報を得ることができないまま調剤させられる状況が頻繁にあり、神経をすり減らしています。

 

上記のことを詳しく話してくれたり、お薬手帳でご自身の情報をしっかり管理されている患者さんなら、安心して調剤することができます。

 

しかし、薬剤師に病状を話すことに拒否感を示す患者さんだと、情報を得ることは非常に困難です。処方内容で診断名を推測し、ちょっとした質問に対する返答のみでリスクがあるかないかを判断しなければなりません。

 

病院にとって調剤薬局は部外者

 

お医者さんと連携をとり、お医者さんから伝わっていれば、同じベースを基に判断して頂け、お医者さんの間違いに気がつきやすくなるのではないでしょうか。

 

このように医師と連携をとり情報を共有できる状態なら、薬剤師も患者さんも安心ですよね。

 

しかし、現状、医師と連携をとるのはなかなか難しい。多くの壁があるのです。

 

医師にはそう簡単に電話できません

 

調剤薬局の薬剤師から医師に連絡をとることはそうあるものではありません。

 

門前薬局や在宅のチームでよほど医師から信頼を得ていないかぎり、薬剤師は医師に電話することはあまりありません。

 

電話するときは唯一「疑義照会」するときです。疑義照会とは、医師に処方の疑わしい部分(コレ間違っているんじゃないか…とかです)を問い合わせること。処方に疑わしい部分がある場合、薬剤師は疑義照会することなしで調剤することはできません。これは薬剤師法で定められています。

 

私が疑義照会するときは、間違いがあると確信しているときです。「これはもう9割方間違っているだろ」という場合しか問い合わせることはまずありません。

 

医師は忙しいです。分刻みのスケジュールで外来をこなし、入院患者の治療も行っています。

 

気軽に電話できる雰囲気ではないということですね。もし適当に調べて「間違っているのではないでしょうか?」などと問い合わせれば一喝されかねない。

 

最近の若い医師はそうでもないですが、50代以降の先生は厳格な人も多いです。少しでも勉強不足と思われれば「そんなことで連絡してくるな!」と罵倒されることもあります。

 

疑義照会の問題はしばしば病院と調剤薬局の関係を悪化させる原因にもなります。そのため、門前薬局の経営者は疑義照会を積極的する薬剤師をよく思わない人もいます。経営者としては、医師の指示通り、淡々と調剤する薬剤師のほうがいいわけですね。

 

処方の間違いを指摘する(ケチをつける)薬剤師は、医師の機嫌を損ねるトラブルメーカーというわけです。

 

疑義照会は患者さんのためを思えば、少しの疑いでも行うべきです。薬剤師側としても「処方ミスを発見できなかった」責任で訴えられることを避けるため疑義照会しますよ。自分の身は自分で守らなければならないんで。

 

しかし、調剤薬局の経営者は薬剤師でない場合が多いので、薬剤師業務を理解していない人もいます。安定した経営のために、医師との関係悪化をとにかく嫌います。

 

ことなかれ主義。

 

守秘義務の問題

 

門前薬局は病院に隣接するように建てられた薬局。患者さんの中には「病院の一部」と思っていうる方もいるでしょう。

 

しかし、ご存知の通り病院と門前薬局はまったく違う経営母体です。医薬分業といって、病院と調剤薬局は独立していなければならない、とされています。あくまで建前ですが……。

 

つまり、病院にとって調剤薬局はあくまで別企業。言い方は悪いですが部外者なのです。

 

病院には守秘義務があり、患者の情報を部外者にもらすことはできません。私の勤める病院では、たまに門前薬局の薬剤師がカルテを確認にきますが、看護師は嫌がっていますね。「関係者以外にカルテを見せるのはちょっとまずいのでは……」と心配しています。

 

なので、門前薬局の薬剤師がカルテを閲覧するときは、病院の薬剤師が必ず立ち会っています。

 

以上のように調剤薬局の薬剤師が患者情報を得るのはなかなか難しいものなのです。苦労しますよね。

 

患者情報が自由に閲覧できたら……?

 

もし今後、カルテレベルの患者情報が自由に閲覧できる時代が来たらどうでしょうか?

 

例えば、患者情報はすべてサーバー上で管理され、薬剤師はサイトにログインして患者IDを入力するだけですべての情報が入手できたら……と、これは私の妄想ですが、仮にこうゆう時代がきたら薬剤師の仕事はめちゃくちゃ楽になるでしょう。
患者さんが感じるストレス、待ち時間も激減するはずです。

 

 

ただ、当然のことながら個人情報保護の問題で難しいでしょう。本当に実施するにしても、乗り越えなければならない壁が高すぎます。

 

薬剤師の常識は患者の非常識

 

処方の量や種類などの間違いなどを確認するためということもあってお尋ねになっているということも理解しましたが、そのあたりも、お医者さんと連携をとり、お医者さんから伝わっていれば、同じベースを基に判断して頂け、お医者さんの間違いに気がつきやすくなるのではないでしょうか。

 

投稿者さまは「薬剤師は処方の安全性を確認するためにいろいろ聞いてくる」ということをご理解されています。

 

でもこのような患者さんは少数派で、多くの方は「なんでいろいろ聞いてくるの?早くしてよ……」と不満を抱いています。

 

薬剤師にとって処方鑑査や服薬指導は当たり前であり、患者さんの身を守るために当然のことです。むしろ、それが薬剤師の専門性を発揮する仕事であり、誇りでもあるわけです。

 

しかし、良かれと思って行っている仕事が、実は患者さんにとっては非常識であるわけですね。要らぬおせっかいならまだしも、プライバシーの侵害と思う方もいます。

 

薬剤師の仕事は目立ちにくく、一般の方にとっては何をしているかわからないでしょう。「薬の相互作用で禁忌があったので先生に問い合わせましたよ」と薬剤師が誇らしげに話しても、患者さんにとっては「何よそれ。勝手に病院に電話しないでよ」と思っていると思いますよ。なんて悲しい仕事なんだ……

 

病院(医師)と薬剤師の関係や医療の構造についてまでご理解いただくのは難しいでしょう。

 

でも、薬剤師の職能を分かっていただく努力はこれからもっと必要なのではないでしょうか?

 

一般の方にも分かりやすく薬剤師の仕事の意義を広めていくにはどうしたらいいのでしょうか?少なくとも調剤室の中だけにいては難しいと思いますね。

 

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なぜ薬剤師の服薬指導は必要かでは、薬剤師の重要な仕事の一つである服薬指導について解説しています。

 

欧米諸国の薬剤師の地位は高く、患者から支持される医療職の代表です。しかし、それに比べて日本の薬剤師の認知度は低すぎです。
なぜ日本の薬剤師の地位は低いのかで解説していますのでご覧ください。

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