医薬分業とは何か

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医薬分業とは何か

薬局と処方箋

 

医師は処方箋を発行し、患者に渡す。

 

薬剤師は患者から処方箋を受取り、調剤する。

 

「医師と薬剤師の責任を明らかにして分業する制度」が医薬分業です。

 

医薬分業は欧米では数百年の歴史があり、グローバルスタンダードです。
しかし日本での歴史は浅く、実質40年ほどしかありません。

 

1974年(昭和49年)の診療報酬改定によって、処方せん料が100円から500円に引き上げられました。
この制度改制により医薬分業に弾みがついたことから、1974年は医薬分業元年とも呼ばれます。

 

もともと医薬分業は明治時代から提案されていたシステムなのですが、利権争いなど様々な事情があり、なかなか実現しませんでした。

 

しかし、1990年代初頭から医薬分業率は急激に上昇し始め、2016年に70%を突破。2021年の集計では75.3%となっています。

 

 

処方せん受取率

 

参考:医薬分業進捗状況(保険調剤の動向)−公益社団法人 日本薬剤師会

 

 

 

そもそも、医薬分業のメリットは何でしょうか?

 

医薬分業のメリット

 

(1) 処方せんチェックによる重複投与、相互作用防止

 

特に高血圧、糖尿病、高脂血症など慢性疾患を抱える高齢者は、複数の医療機関で薬をもらっているため、同じ薬、同薬効の薬が重複処方されていることが多いです。

 

最近はジェネリックが増え、薬剤名が違っても実は同じ薬、同系統の薬だった、ということもよくあります。

 

また医薬品には、一緒に飲むと効き過ぎたり、逆に効かなくなったり、副作用が出やすくなるものがあります。これを相互作用といいます。

 

こういったチェックを日々行い、患者さんのリスクを未然に防ぐことは、薬剤師の非常に重要な仕事です。

 

(2) 医師が自由に薬剤を選択できる

 

院内処方がメインだった時代は、医師は採用薬品の範囲でしか処方することができませんでした。

 

しかし、医薬分業が進み院外処方がメインとなると、医師は採用品にしばられることなく、自由に処方することができるようになりました。

 

薬局にとっては在庫の負担が増えますが、医療にとっては利点です。

 

(3) 薬剤師による説明と相談によるアドヒアランスの向上

 

アドヒアランスの向上とは、患者さんがきちんと正しく薬を飲むことを高めるということです。

 

薬剤師から薬の説明を受けることにより、患者は「なぜこの薬を飲むことが必要か」「飲まないと将来どうなるか」を理解しやすくなるため、
服薬のモチベーション向上につながります。

 

若手の医師はそうでもありませんが、年配の医師には、患者に病状をきちんと説明しない方も多いです。

 

「俺の言った通りにして薬を飲めばいい」と言わんばかりに「薬を出しておきます」と伝えるだけで診察が終わると、患者は自身の病状について理解できません。
それで服薬の重要性が理解できず薬を飲まなくなり、さらに病状が悪化するのです。

 

薬剤師は病識も含めて、服薬の重要性をわかりやすく患者に説明することが大切です。

 

特殊な飲み方をしなければならない薬もある

 

薬の飲み方は食後が基本です。

 

しかし、

  • 食直前(食事の5分前)に飲まないと十分な薬効が期待できない、
  • 食間(食後2時間)に飲まないと副作用が起こりやすくなる

といった特徴をもつ薬も少なくありません。

 

薬剤師の服薬指導は、薬物治療の効果と安全性を高めるのに必要なのです。

 

服薬に対する不安の解消

 

薬の副作用を怖がる患者さんは多いです。

 

例えば

  • ステロイドは続けると副作用が起こるのではないか
  • 睡眠薬は癖になるとやめられなくなる

などです。

 

どんな薬にも、多かれ少なかれ副作用はあります。
できれば飲まない方がいいのはあたりまえですが、ご自身の病気と天秤にかけ、服薬するというリスクをとったほうが良いと判断されたから薬を飲むわけです。

 

副作用の被害を最小限に抑えるには、

  • 正しい飲み方をすること
  • 副作用の初期症状に気づくこと

が重要ですから、そういった説明をすることも薬剤師の重要な仕事です。

 

2012年の診療報酬・介護報酬同時改定の議論で示されたデータでは「在宅患者の薬の飲み残しが500億円もあり、薬剤師が関与することで400億円もの改善効果があった」ことが報告されています。

 

薬を飲んで初めて治療が完結するわけですから、飲まなければ何の意味もありません。むしろ国民医療費の無駄使いです。医師も薬が効いてないかのか、そもそも飲んでないのか判断ができません。

 

服薬指導は非常に重要な仕事です。

 

医薬分業のデメリット

 

1970年代から本格稼働した医薬分業ですが、不満の声もあがっています。

 

(1) 調剤薬局に行くことの時間的、費用的負担

患者さんは病院で長い間待たされ処方せんを手にします。
それを近隣の調剤薬局に持っていくのがまず手間だし、調剤の待ち時間もさらに負担です。

 

病院で待たされ、薬局で待たされれば、「早くしろ!」となるのは当然です。

 

また、調剤薬局で薬をもらえば、薬代以外に薬剤師の技術料(処方監査、調剤、服薬指導など)も負担しなければなりません。

 

(2) 医薬分業の本来の目的を果たせてない

医薬分業の目的は「処方せんチェックによる薬の重複投与防止、相互作用防止」「薬剤師による説明と相談によるアドヒアランスの向上」ですが、これを実践できてない薬局もあります。

 

ある調剤チェーン店のレセプトの2.7%に重複投与、6.4%に相互作用のある内容が見つかったという報告があり、技術料をとっているのに必要な仕事ができてないことは大変問題です。

 

これは薬局経営者と薬剤師の能力が原因なのですが、薬局経営者の中ではいまだに処方せんを多くさばくことだけを考えている人もいます。
服薬指導などで時間をかけるより短時間で処方せんをさばしたほうが売上になるからです。

 

このようなモラルの低い薬局経営者、薬剤師は淘汰されるべきなのですが、調剤報酬制度の問題もあります。
現状の調剤報酬制度では、薬剤師が質の高い仕事をしても、直接的に収益に結びつかないからです。

 

 

 

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