努力、努力。。長い時間がかかる新薬開発 | 薬剤師の仕事研究室

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努力、努力。。長い時間がかかる新薬開発

試験管

新薬の開発には莫大な費用と長い時間がかかります。

 

それは、医薬品が生命に重大な影響をおよぼす物質であるため、基礎研究や各種試験、国による承認審査など多くの厳密なプロセスを通過しなければならないからです。

 

日本では一つの医薬品を開発するために必要な期間は10〜20年であり、その間の費用は80〜150億円といわれています。

 

次のように、医薬品は多くの厳しいプロセスを経て市場にでてきます。

 

(1)基礎研究(2〜3年)

 

医薬品となりうる化学物質を探し、調べる研究です。

 

その基礎調査は多岐に渡り、文献、特許、法規、市場性などの情報を集め検討するプロジェクトが作られ、候補物質が選ばれます。
その候補物質は、動物・植物・好物などの天然素材から抽出したり、バイオテクノロジーや有機合成などで化学的に合成する方法など、様々な手法を用いて選ばれます。

 

また最近では、ヒトゲノムの解明により、ゲノム情報を活用した研究も進められています。

 

創り出した化学物質の性質や化学構造を調べ、スクリーニング試験を行い、医薬品として可能性の高いものだけが非臨床試験へ進むことができます。

 

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(2)前臨床試験(3〜5年)

 

医薬品となる可能性の高い化学物質の、有効性と安全性(毒性)を研究します。

 

具体的には薬効薬理、一般薬理、作用機序、薬物動態(吸収・分布・代謝・排泄)などについて、試験が行われます。

 

この段階ではまだ人に投与せず、ラットや犬などの実験動物や培養細胞を用いて調査します。

 

試験のデータの信頼性を確保するためには、GLP(good laboratory practice、医薬品の安全性試験の実施に関する基準)に基いて試験が行われることが重要です。この基準に基いて、毒性がないか、長期に使用した場合の毒性はどうか、発がん性はないか、催奇形性はないか、など詳細な調査が行われます。

 

ここまでの段階を主に研究といいます。

 

(3)臨床試験(3〜7年)

 

ここからが臨床開発(治験)と呼ばれる段階です。

 

臨床試験(治験)は、前臨床試験をクリアした医薬品候補を、初めて人に投与する試験です。臨床試験は、病院などの医療施設で健康な人や対象疾患を持つ患者を対象に、同意を得た上で症例数を集めて試験を行います。

 

臨床試験も信頼性を確保するため、GCP(good clinical practice、医薬品の臨床試験の実施に関する基準)に基いて実施されます。

 

臨床試験は3段階

 

臨床試験は安全性を確保するため、3段階で行われます

 

第1相試験(phase 1 test)は、少数の成人男子健常者を対象として行われます。
安全性を確保するためには、患者や高齢者、女性、妊婦を対象とせず、活きのいい成人男子を使います。
目的は医薬品候補の安全性と薬物動態を知るためです。

 

第2相試験(phase 2 test)から、患者を対象とする試験が始まります。
また、第2相試験は前期と後期に分けられます。
前期では少数の患者を対象に、後期では前期より多くの患者を対象に実施されます。
目的は医薬品候補の安全性や有効性を確認するためです。

 

第3相試験(phase 3 test)は、さらに規模が大きくなります。
多くの医療機関が参加し、多数の患者に投与する試験なので、多種多様な環境にある患者のデータを得ることができます。

 

プラセボ薬と二重盲検法

 

第3相試験ともなると、多くの患者が必要となります。
そのため、製薬会社は多数の医療機関と契約し、医師に候補医薬品を投与することができる対象患者を紹介してもらえるよう依頼します。

 

例えば癌患者は、手術、化学療法などの一連の医療が終わったあと、第3相の臨床試験に参加することを提案されることがあります。それは、分子標的薬など癌の再発を抑える薬が続々と開発されているからです。製薬会社は候補医薬品を一日でも早く市場に出したいので、臨床試験に参加してくれる患者を多数必要としているのです。

 

医師から「臨床試験に参加してみたらどうか」と提案された患者は、薬に関する詳細な説明を受けます。それで参加するか悩むわけですが、たとえ参加することを決心しても、自分が服用する薬か本物がどうか知ることはできません。第3相試験は、一般的に二重盲検法を用いて行われるからです。

 

二重盲検法とは、医師、患者ともに、服用する薬が本物か偽物が知ることができない試験です。なぜなら、人間は「これは薬だ」と思って服用すると、それが偽物でも効果が出てしまうことがあるからです(プラセボ効果)。二重盲検法に使われるニセの薬を、プラセボ薬と呼びます。
こういった暗示効果が介入する余地をなくし、純粋なデータを得るために、様々な技術を用いて臨床試験は行われます。

 

急成長するCRO

 

臨床試験は以前は製薬会社が独自に行っていましたが、最近では臨床試験を請け負うサービスを提供するCROに委託するケースも増えています。

 

CROはContract Research Organizationの略で、受託臨床試験実施機関という意味です。

 

臨床試験の全工程は非常に複雑で、長い時間を要します。また医師へのアプローチの方法、症例の集め方、データの解析方法、承認申請など、高い専門性を問われる仕事でもあります。

 

製薬会社は、臨床試験にかかる負荷を軽減するため、新薬の発売を早めるために、臨床試験のプロであるCROに依頼することが盛んになっています。

 

以上のように臨床試験は、長い期間と莫大なコストをかけて行われます。集まった症例データは専門的な手法を用いて解析され、有効性、安全性を検討し、医薬品として市場に出せるかどうかを判断します。

 

(4)承認申請と審査(1〜2年)

 

医薬品候補の有効性・安全性・品質が証明されたあと、医薬品としての製造・販売の許可を得るために、厚生労働省に申請します。

 

承認を得るために必要な書類は膨大であるため、この段階もCROに委託するケースもあります。

 

提出した書類が、薬事・食品衛生審議会などの審査を通過すると、晴れて医薬品として市場に出すことができます。

 

こうした長く厳しいプロセスを経て、医薬品は患者の元に届きます。

 

(5)市販後調査

 

新薬は発売されても、臨床試験は終わりません。

 

第4相試験(phase 4 test)として、薬効や副作用について追跡調査がなされます。
実際、発売されてから新たな副作用など問題が発生するケースは多く、死亡症例も報告されています。

 

こういった新たな問題を発見し、精査していくのは、現場の医師や薬剤師の重要な仕事です。

 

 

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